2015年12月21日月曜日

【読了】Johnston McCulley, The Mark of Zorro (MMR Level 3)

やさしい英語の本、通算122冊目は、

マクミラン・リーダーズの
レベル3(1100語レベル)の9冊目として、

アメリカ合衆国の作家
ジョンストン・マッカレー(1883.2-1958.11)の
冒険小説『快傑ゾロ』を読みました。

著者36歳の時(1919.8)に
週刊誌『オール・ストーリー All-Story Weekly上に
『カピストラノの疫病神 The Curse of Capistrano
の原題で5週にわたって発表された作品です。

翌年(1920.11)には映画化され、
『快傑ゾロ The Mark of Zorroの題で公開されました。

単行本は映画化ののち、
1924年にThe Mark of Zorroの題で刊行されました。


Johnston McCulley
The Mark of Zorro

〔Macmillan Readers Level 3〕
This retold version by Anne Collins for Macmillan Readers
First published 2000
This edition first published 2005
12,144語

正義の味方が活躍する
ヒーロー物の冒険小説として、
アメリカで有名な作品のようですが、
これまでまったく知りませんでした。

マスクで顔を隠したヒーローが、
時に苦境に陥りながらも、
弱者を助け、悪を懲らしめていく、
ヒロインとの恋慕もおりまぜてあり、
飽きる間もなく楽しむことができました。

映画でも観るように、
次々と場面が展開していき、
思わず熱くさせられる要素満載の
楽しい作品でした。

やさしい英語では
同じタイプの作品として、
 アレクサンドル・デュマの『三銃士』
 アンソニー・ホープの『ゼンダ城の虜』
を読んできましたが、

おもしろさだけで選ぶなら、
『怪傑ゾロ』>『ゼンダ城の虜』>『三銃士』
の順でお薦めです。


  ***

翻訳は2種類見つかりました。
1975年の広瀬順弘(ひろせまさひろ)訳以来40年、
新訳は出ていないようです。

ただ1959年の井上一夫(いのうえかずお)訳が、
非常に読みやすく、今読んでも特に不都合を感じないので、
新訳でなくても問題なく読めます。

初めて読まれるばあいは井上訳をお薦めします。


 井上一夫(いのうえかずお)訳
『快傑ゾロ』
(創元推理文庫、1969年12月。新版、2005年12月)

広瀬訳もそれほど読みにくいわけではなく、
表紙は明らかにこちらのほうが魅力的なのですが、
読みやすさでは井上訳に一歩譲るようです。


広瀬順弘(ひろせまさひろ)訳
『快傑ゾロ』
(角川文庫、1975年6月。改版、1998年8月)


※通算122冊目。計1,005,060語。

※Wikipediaの「ジョンストン・マッカレー」「怪傑ゾロ」「奇傑ゾロ」を参照。

2015年12月17日木曜日

【読了】Arthur Conan Doyle, The Hound of the Baskervilles (MMR Level 3)

やさしい英語の本、通算121冊目は、

マクミラン・リーダーズの
レベル3(1100語レベル)の8冊目として、

イギリスの小説家
アーサー・コナン・ドイル(1859.5-1930.7)の
推理小説『バスカヴィル家の犬』を読みました。

シャーロック・ホームズ・シリーズの
3番目の長編小説であり、

著者42歳の時に
月刊誌『ストランド The Strand Magazine 』
1901年8月号から1902年4月号まで、
9回に分けて連載され、

連載終了前の1902年3月に
単行本が刊行されました(英国版)。

※米国版は月刊誌『ストランド』
 1901年9月から1902年5月まで連載。
 単行本は1902年4月に刊行。


Sir Arthur Conan Doyle
The Hound of the Baskervilles

〔Macmillan Readers Level 3〕
This retold version by Stephen Colbourn for Macmillan Readers
First published 1992
This edition first published 2005
8,901語

ホームズ物は、
小中学生の時にほんの少しかじった程度なので、
書名だけ知って読んでいない作品がたくさんあります。

『バスカヴィル家の犬』も
書名は子供の頃から知っていましたが、
読むのは今回が初めてでした。

著者34歳の時(1893年12月)に発表された
24番目の短編「最後の事件 The Final Problem
ホームズを死亡させたドイルが、

ホームズ物を再開するきっかけになったのが、
ドイル42歳の時(1901.8-1902.4)に発表された
3番目の長編『バスカヴィル家の犬』でした。

発表の前年、
41歳の時(1900.7)にイギリスの駆け出しの作家
バートラム・フレッチャー・ロビンソン
(Bertram Fletcher Robinson 1870.8-1907.1)
と出会い、

彼から物語の着想を得たことが、
8年余りの沈黙を破るきっかけとなったそうです。

原作者としてどの程度寄与していたのか、
興味深い議論があるようですが、
ここでは深入りしません。

ちなみに25番目の短編
「空き家の冒険 The Adventure of the Empty House
が発表されたのは、
それから1年半をへた44歳の時(1903年10月)のことでした。


  ***

やさしい英語版とはいえ、
ホームズの長編を読めるのか心配でしたが、

読みやすい英文で、
あらすじのみ上手にまとめてあって、
楽しみながら読み進めることができました。

翻訳は、
まずほかの短編の時と同じように、
日暮まさみち訳を手に入れました。


日暮まさみち訳
『名探偵ホームズ バスカビル家の犬』
(講談社青い鳥文庫、2010年12月)

子供向けに、
文章を若干読みやすくしてあるので、
短編のあらすじを急いで知りたい時に便利だったのですが、
長編だとかえってまどろっこしい感じもありました。

そこで、大人向けの
日暮雅通(ひぐれまさみち)訳を手に入れてみたところ、

こちらのほうが
歯切れのよい、テンポ感のある訳文で、
全体的にうまく整理されている感じがあって、
先へ先へと読み進めることができました。


日暮雅通(ひぐらしまさみち)著
『新訳シャーロック・ホームズ全集 バスカヴィル家の犬』
(光文社文庫、2007年7月)

大人向けの翻訳は、
このほか以下の4点も手に入れましたが、
読みやすさの点では、
日暮雅通訳が秀でているように感じました。

延原謙(のぶはらけん)訳
『バスカヴィル家の犬』
(新潮文庫、1954年5月。103刷改版、2011年6月)
 ※2011年の改版において、延原謙氏の嗣子延原展氏の手により、訳文の修正が行われている。

小林司/東山あかね共訳
[注・解説]W・W・ロブスン(高田寛訳)
『シャーロック・ホームズ全集5 バスカヴィル家の犬』
(河出文庫、2014年4月)
 ※単行本は河出書房新社、2002年5月刊。1993年刊の「オックスフォード大学出版社版の注・解説付 シャーロック・ホームズ全集」の文庫化(文庫458頁参照)。

深町眞理子訳
『バスカヴィル家の犬』
(創元推理文庫、2013年2月)

駒月雅子訳
『バスカヴィル家の犬』
(角川文庫、2014年2月)


子供向けの翻訳としては、
古本屋で偶然手に入れた
偕成社の完訳決定版 シャーロック=ホームズ全集
からの1冊が、個人訳ではありませんが
凝った作りの丁寧な翻訳で好感がもてました。


各務三郎訳
『シャーロック=ホームズ3 バスカビル家の犬』
(偕成社、1985年8月)


※通算121冊目。計992,916語。

※Wikipediaの「アーサー・コナン・ドイル」「バスカヴィル家の犬」「最後の事件」を参照。

※書誌の情報は、日暮雅通著『新訳シャーロック・ホームズ全集 バスカヴィル家の犬』(光文社文庫、2007年7月)の解説を参照。

2015年12月7日月曜日

【読了】Meg Cabot, The Princess Diaries (MMR Level 3)

やさしい英語の本、通算120冊目は、

マクミラン・リーダーズの
レベル3(1100語レベル)の7冊目として、

アメリカの小説家
メグ・キャボット(1967.2- )の
小説『プリンセス・ダイアリー』を読みました。

著者33歳の時(2000.10)に出版された作品です


Meg Cabot
The Princess Diaries

〔Macmillan Readers Level 3〕
This retold version by Anne Collins for Macmillan Readers
This edition first published 2005
12,444語

出版(2000.10)とほぼ同時期に映画化され、
翌年(2001)8月にアメリカで公開されました。

日本でも2002年1月に
『プリティ・プリンセス』の邦題で映画が公開され、
翻訳もほぼ同時(2002.2)に出版されました。


金原瑞人・代田亜香子(翻訳)
『プリンセス・ダイアリー(1)』
(河出文庫、2006年6月)
 ※初出の単行本は河出書房新社、2002年2月。

アメリカの10代半ばの女の子が綴った日記という体裁で、

ある年の9月23日から10月19日まで、
主人公ミアが経験した一ヶ月ほどの出来事が描かれています。

アメリカのふつうの高校生だと思っていた主人公が、
実は外国のプリンセスだった!というありがちな、
でも実際にはなかなか描けない物語だと思います。

10代の女の子が描く風のくだけた文体なので、
翻訳だと却ってまどろっこしい感じもありましたが、
やさしい英語版では難なく読み進めることができました。

40男が読むには
感覚的についていけないところもあるのですが、
軽く明るい雰囲気は嫌いじゃありません。

気軽に読んで、気軽に楽しめば良い作品だと思います。

続編も執筆され、
2010年7月の完結までに10巻の本編と3巻の番外編が刊行され、

マクミラン・リーダーズのやさしい英語でも
4冊目まで読めるようなので、

少し時間をおいてまた1冊手に取りたいと思います。


※通算120冊目。計984,015語。

※Wikipediaの「メグ・キャボット」を参照。


2015年11月23日月曜日

【読了】Sir Arthur Conan Doyle, The Lost World (MMR Level 3)

やさしい英語の本、通算119冊目は、

マクミラン・リーダーズの
レベル3(1100語レベル)の6冊目として、

イギリスの小説家
アーサー・コナン・ドイル(1859.5-1930.7)の
『ロスト・ワールド ―失われた世界』を読みました。

著者53歳の時に
『ストランド・マガジン Strand Magazine誌上で
発表され(1912年4-11月)、同年中に刊行された作品です。


Sir Arthur Conan Doyle
The Lost World

〔Macmillan Readers Level 3〕
This retold version by Anne Collins for Macmillan Readers
First published 1995
This edition first published 2005
11,955語

コナン・ドイルといえば、
シャーロック・ホームズの探偵物で有名なので、
最近まで、冒険小説を書いているとは知りませんでした。

イギリスの新聞記者マローンが、
風変わりな動物学者チャレンジャー教授らとともに、

南米の奥地に、
恐竜の生息地を見つけるため
冒険の旅に出る小説です。

恐竜をテーマにした小説の嚆矢として有名なようですが、

アメリカの小説家
マイケル・クライトン(1942.10-2008.11)が、
48歳の時(1990.11)に出版した
小説『ジュラシック・パーク』すら読んでいないので、
お初の恐竜小説ということになります。


やさしい英語で読んでみると、

大人が読んでも
荒唐無稽なものに感じないように、
かなり手堅く作り込まれた小説で、
最後まで楽しみながら読み終えることができました。

ドイルならではの冷静緻密な筆致に、
冒険物ならではの独特の高揚感が加わるので、
個人的にはホームズより読ませる力があるように思いました。


  ***

翻訳は、
菅紘(かんひろし)氏の講談社青い鳥文庫を手に入れて、
読み始めたところです。
わかりやすい訳文ですらすら読み進めます。


菅紘訳
『ロスト・ワールド ―失われた世界』
(講談社青い鳥文庫、新装版、2015年8月)
 ※初出は『失われた世界』(講談社青い鳥文庫、2004年5月)

ほかの翻訳は、
瀧口訳(創元SF文庫)くらいしか知らなかったのですが、
調べてみるとたくさん見つかりました。

まだ網羅していませんが、
ざっと調べた分だけ掲げておきます。

森詠 編訳
『森詠の失われた世界』(講談社、2002年7月)
 ※初出は『失われた世界』(講談社〔痛快世界の冒険文学13〕1998年10月)


高野孝子 訳
『悪魔の棲む台地 ―ロスト・ワールド』
(小学館〔地球人ライブラリー11〕1995年3月)

白木茂 編訳
『恐竜世界の探検』
(あかね書房〔少年少女世界SF文学全集3〕1971年7月)


瀧口直太朗 訳
『失われた世界 ―チャレンジャー教授シリーズ』
(創元SF文庫、1970年9月)

加島祥造 訳
『失われた世界 ―ロスト・ワールド』
(ハヤカワ文庫、1996年8月)
 ※初出は早川書房〔世界SF全集3〕1970年8月。

久米穣訳
『ロスト・ワールド』
(岩波書店〔冒険ファンタジー名作選1〕2003年10月)
 ※初出は『恐竜の世界』(岩崎書店〔SF世界の名作13〕1967年3月)

永井淳 訳
『失われた世界』
(角川文庫、1967年1月)

新庄哲夫 訳
『ロスト・ワールド』
(早川書房〔ハヤカワ・SF・シリーズ〕1963年5月)

片方善治 訳
『恐竜の足あと』
(岩崎書店〔ドイル冒険・探偵名作全集2〕1960年4月)

大仏次郎 訳
『失われた世界/豪勇ジェラール』
(小山書店〔世界大衆小説全集第1期第1巻〕1954年12月)

面白そうなものは手に入れて、
よりわかりやすい翻訳があれば、
また紹介していきます。


※通算119冊目。計971,571語。

月2冊ほどのペースで、
やさしい英語の本を読み進めて参りましたが、
もう間もなく100万語を超えそうです。

100万語に近づいてみると、
100万語はまだまだ通過点であることが実感できますが、

それなりに力がついて来ていたことも確かで、
高校1、2年生のリーダー程度の英文なら、
日本語を読むのとあまり変わらない感覚で、
読み進められるようになって来ました。

仕事をしながら、
日本語の本も読みながらでは月2、3冊が限度なので、
なかなか先に進みませんが、

自分の好きな本を選んで、
自分のペースで読み進められるからこそ、
4年たっても飽きずに続けられているのだと思います。

恐らく200万語をこえるあたりで
大学入試レベルの英文をすらすら読めるようになって、
簡単な児童小説なら原書のまま読めているのではないかと期待しています。

2015年11月16日月曜日

【読了】三浦綾子著『続 氷点(上・下)』(1970-71年発表)

前作『氷点』に続いて、

北海道旭川市出身の女性作家
三浦綾子(1922.4-1999.10)の
小説『続 氷点』を読み終えました。

『朝日新聞』朝刊
〔1970年5月12日-71年5月10日〕に連載され、
著者49歳の時(1971年5月)に朝日新聞社から刊行された小説です。


三浦綾子著
『続 氷点(上・下)』
(角川文庫、1982年3月、改版、2014年8月)

前作は『朝日新聞』朝刊
〔1964年12月9日-65年11月14日〕に連載され、
著者43歳の時(1965年11月)に朝日新聞社から刊行されていたので、
6年近くのちに書かれた続編ということになります。

今回も読みやすい文章で、
興味深く、最後まで読み終えることができました。

前作が「原罪」をテーマにしていたのに対して、
今回は「ゆるし」をテーマにされていたそうです。

前作で未解決のまま
放置されていた問題に対して、
著者なりの解答を出そうとした結果、

力技でまとめた感じの
若干残念な作品になっていたように思いました。


  ***

特に残念だったのは、
物語の核心的な部分で、

日本軍によるありえないレベルの残虐行為を、
登場人物の一人に自らの原罪として告白させていたところです。

今読めば荒唐無稽にしか感じない内容が、
あたかも事実であったかのように描かれていたので、

物語の最後に来て、読書熱が一気に冷めてしまいました。

三浦氏は歴史の専門家ではなく、
小説家である以上、真実を描く必要はないのですが、

物語のクライマックスで、
正直に、自らの「原罪」を語る場面で、
巧みに虚構の歴史を織り交ぜてくるところは、

作者の政治的な意図が垣間見え、
非常に残念でした。


  ***

1970-71年当時の
三浦氏の歴史認識は、
何によっていたのか興味がわきました。

すぐに思いついたのは、
本多勝一氏の『中国の旅』です。


本多勝一著
『中国の旅』
(朝日新聞社、1972年1月)

同書は
『朝日新聞』の1971年8月から12月まで連載され、
1972年1月に朝日新聞社から刊行された作品です。

三浦氏は、
『中国の旅』の内容を歴史的事実と認識し、
自著に利用したのではないかと思ったのですが、

『続 氷点』は
1970年5月から翌年5月まで
『朝日新聞』に連載されたものなので、

1971年8月から発表された『中国の旅』を、
三浦氏が参照することは不可能でした。


それでは三浦氏は、
何を読んだのだろうと思い、
もう少し調べたところ、

『中国の旅』の15年前、
1957年3月に同じような書物として、

三光―日本人の中国における戦争犯罪の告白 (1957年) (カッパ・ブックス)

神吉晴夫編
『三光 ―日本人の中国における戦争犯罪の告白』
(光文社 カッパ・ブックス、1957年3月)

が出ていたことに気がつきました。

中国の戦犯収容所に収容された
日本人戦犯の手記という名目で刊行されたものなので、

三浦氏は『三光』の記述を事実と判断し、

『続 氷点』にみえる
日本軍の残虐行為の記述に反映された可能性が高いように思われます。

今読めば、
政治的な情報操作の行われていたことが明白な書物なのですが、

当時は、
それを事実と信じることこそが、
善良な日本人のあり方だ考えたのかもしれません。

しかし、
原罪とゆるしをテーマとする小説を執筆する中で、

冷静に考えれば
史実でないことが明らかな、
人道にもとる残虐行為を私は犯しました!

と嘘の告白をさせ、
偽りの原罪を背負わせてしまうことは、
物語の構成上、かなり安易であるように思われました。

2015年11月9日月曜日

【読了】Alex Raynham, The Human Body (OBW Stage 3)

やさしい英語の本、通算118冊目は、

一つ前のレベルに戻って、
オックスフォード・ブックワームズの
ステージ3(1000語レベル)の18冊目として、

英語学習者向けに
やさしい英語の本を執筆されている
アレックス・レインハム氏による
生物分野の入門書『人体 The Human Bodyを読みました。


Alex Raynham
The Human Body

〔Oxford Bookworms Stage 3〕
(c) Oxford University Press 2014
10,489語

人間の身体の構造についてのわかりやすい概説書でした。

高校の生物ほどではありませんが、
中学理科のレベルは超えているので、

日本語でふだんあまり目にしない
解剖学の専門用語もいろいろ出てきましたが、

わからない専門用語については、
インターネットで検索をかけながら読み進めました。

それなりに大変でしたが、

科学関係の本だからか、
文章に曖昧なところがなく、
文法的には簡単なレベルだったので、
意外に読みやすかったです。

実学系の本は、
新出単語が多いので、
一つ上のレベルに感じられるのですが、

語彙力を増やすのにはいい機会なので、
時々挑戦していこうと思います。


 ***

この分野の日本語での入門書は、
専門外なのでよくわからないのですが、

今回役に立ったのは、
坂井建雄(さかいたつお)氏監修による
次の1冊です。


坂井建雄(監修)
沢田麻間・サイドランチ(マンガ)
『マンガでわかる人体のしくみ』
(池田書店、2013年7月)

高校を出た後、専門学校などで
看護系の勉強をする人向けの入門書

といった趣なので、
レベルは少し難しめですが、

読み方のわからない
臓器の各部位の名称など、
ほとんどの専門用語に
ふりがなを付けてあるので、
専門外の私にも使いやすかったです。


※通算118冊目。計959,616語。

2015年11月2日月曜日

【読了】ジャック・ロンドン著(辻井栄滋訳)『野性の呼び声』(2001年翻訳)

アメリカ合衆国の作家
ジャック・ロンドン(1876.1-1916.11)の
小説『野性の呼び声』を読みました。

著者27歳の時(1903.7)に出版された作品です。


ジャック・ロンドン著
/辻井栄滋(つじいえいじ)訳
『野性の呼び声』
(現代教養文庫、2001年12月)
 ※辻井訳『決定版 ジャック・ロンドン選集1 野性の呼び声・どん底の人々』(本の友社、2005年10月)に再録。

やさしい英語では、

2012年12月に
ペンギン・アクティブ・リーディングの
レベル2(600語レベル)

今年9月に
オックスフォード・ブックワームズの
ステージ3(1000語レベル)

で、2つの『野性の呼び声』を読み終えていました。

そろそろ翻訳をと思い、
辻井訳のほかにも、

深町眞理子(ふかまちまりこ)訳
『野性の呼び声』
(光文社古典新訳文庫、2007年9月)

海保眞夫(かいほまさお)訳
『荒野の呼び声』
(岩波文庫、1997年12月)

の2つを手に入れましたが、

文章に勢いがあり、
一番読みやすかったのは辻井訳でした。

他にもたくさん翻訳は出ていますが、
どれも50年以上昔のものです。

目についたもののみ挙げておきます。

瀧口直太朗 訳
『野性の呼び声』
(旺文社文庫、1968年11月)

大石真 訳
『野性の呼び声』
(新潮文庫、1959年6月)

阿部知二 訳
『荒野の呼び声』
(偕成社文庫、1977年2月)
 ※初出は『世界少年少女文学全集36 アメリカ編6』(創元社、1955年12月)。
 ※『世界大ロマン全集28 白い牙・荒野の呼び声』(東京創元社、1957年10月)にも再録。

 三浦新市 訳
『野性の呼び声』
(河出文庫、1955年9月)

岩田欣三 訳
『荒野の呼び声』
(岩波文庫、1954年12月)

山本政喜 訳
『荒野の呼び声』
(角川文庫、1953年4月)

堺利彦 訳
『野性の呼び声』
(叢文閣、1928年4月)


動物が主人公になる小説は
普段それほど読み慣れていないので、

最初は何となく違和感があったのですが、

やさしい英語で読んで、
あらすじを知った上での挑戦だったので、

楽しみながら読み進めることができました。

方向性は違うのですが、
アンナ・シュウエルの『黒馬物語』
と同じような記述の濃密さを感じました。

正直なところ、
まだまだ原書で読みたいほど好きとはいえませんが、

それほど長い作品でもありませんし、
少し時間を置いてから、また読んでみたいと思います。

2015年10月26日月曜日

【読了】Kenneth Grahame, The Wind in the Willows (OBW Stage 3)

やさしい英語の本、通算117冊目は、

再び、オックスフォード・ブックワームズの
ステージ3(1000語レベル)の17冊目として、

スコットランド生まれの小説家
ケネス・グレアム(1859.3-1932.7)の
小説『たのしい川べ ―ヒキガエルの冒険』を読みました。

著者が49歳の時(1908.10)に出版された作品です


Kenneth Grahame
The Wind in the Willows

Retold by Jennifer Bassett
〔Oxford Bookwarms Stage 3〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookwarms 1995
11,540語

自然に包まれた
落ちついた雰囲気の表紙だったので、
大人向けの『徒然草』のような作品かと思っていたのですが、

読んでみてびっくり、

モグラ、ネズミ、カワウソ、
ヒキガエル、アナグマなど、
川辺に住む小動物がたくさん登場する、
子供向けの楽しいお話でした。

知らないのは私だけで、
イギリスの児童文学を取り上げるうえで、
欠かせない作品でした。


はじめはモグラとネズミによる
ほのぼのとしたお話なのですが、

途中から、
キャラの立ったヒキガエルが出てきて、
面白おかしい冒険話が展開していきます。

ケネス・グレアム氏が、
息子アラステア(Alastair)に語り聞かせたお話しにもとづいているそうです。

わが子のために作られたといえば、

ロンドン生まれの作家
アラン・アレクサンダー・ミルン
(Alan Alexander Milne 1882.1-1956.1)の
小説『クマのプーさん』が有名ですが、

プーさんは1926年の出版なので、
ヒキガエルのほうが20年近く早いです。


邦題は一定しておらず、
ざっと調べた限りでは、
「たのしい川べ」(中野好夫訳 1940年)
「ヒキガエルの冒険」(石井桃子訳 1963年)
「たのしい川べ―ヒキガエルの冒険」(石井桃子訳 1963年)
「やなぎに吹く風―ヒキガエルの冒険」(岡松きぬ子訳 1991年)
「川べにそよ風」(岡本浜江訳 1992年)
「川べのゆかいな仲間たち」(鈴木悦夫訳 1993年)
などと訳されています。

直訳なら『やなぎに吹く風』、
意訳なら『ヒキガエルの冒険』、
が一番のように思いますが、

このブログでは、
中野好夫訳を受け継いだ石井桃子訳の邦題
『たのしい川べ―ヒキガエルの冒険』に従いました。


邦訳は完訳だと、
石井桃子(いしいももこ)氏と
岡本浜江(おかもとはまえ)氏のものが見つかりました。


石井桃子訳
『たのしい川べ ―ヒキガエルの冒険― 』
(岩波書店、1963年11月)
 ※初出は英宝社、1950年(原題『ヒキガエルの冒険』)。
 ※のち岩波少年文庫、2002年7月に再録(改題『たのしい川べ』)。


岡本浜江(おかもとはまえ)訳
『川べにそよ風』
(講談社青い鳥文庫、1993年5月。新訂版、1997年11月)
 ※初出の単行本は講談社、1992年6月。

石井氏の訳文には、
多少の古めかしさを感じますが、
最初の取っ付きにくさを越えれば、
かえって味わい深くなりそうです。

新しい岡本訳は、
90年代の子供向けに噛み砕いた表現をしようとして、
今読むとどことなく違和感がありました。

どちらかで読了したら、また報告します。

読んでいるうちに、
新訳が出るなんてこともあるかもしれません。


※通算117冊目。計949,127語。

※Wikipediaの「ケネス・グレアム」「たのしい川べ」を参照。

2015年10月15日木曜日

【読了】Arthur Conan Doyle, Sherlock Holmes Short Stories (OBW Stage 2)

やさしい英語の本、通算116冊目は、

一つ前のレベルに戻って、
オックスフォード・ブックワームズの
ステージ2(700語レベル)の24冊目として、

イギリスの小説家
アーサー・コナン・ドイル(1859.5-1930.7)の
『シャーロック・ホームズ短編集』を読みました。

ドイル33歳の時(1892年10月)に刊行された

第1短編集
『シャーロック・ホームズの冒険
 The Adventures of Sherlock Holmes
からの3編が収録されています。


Sir Arthur Conan Doyle
Sherkock Holmes
 Short Stories

Retold by Clare West
〔Oxford Bookwarms Stage 2〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookwarms 1989
6280語

収録作品は
1) The Speckled Band(まだらの紐)
2) A Scandal in Bohemia(ボヘミアの醜聞)
3) The Five Orange Pips(オレンジの種五つ)
の3編です。


1) The Speckled Band(まだらの紐)は、
「The Adventure of the Speckled Band 」という原題で、

月刊誌
『ストランド・マガジン
 The Strand Magazine 』1892年2月号
に発表されました。

翻訳はいろいろ出ていますが、
読みやすさ第一で選ぶならば、個人訳で、
大人向けと子供向けの二通りの全訳を出されている
日暮まさみち氏のがお勧めです。


日暮まさみち訳
「まだらのひも」
(『名探偵ホームズ まだらのひも』
  講談社青い鳥文庫、2011年1月所収)

子供向けなのですらすら読めますが、
ストーリーの省略があるわけではないので、
手っ取り早く読みたい場合は一番だと思います。


2) A Scandal in Bohemia(ボヘミアの醜聞)は、
このままの原題で、

月刊誌
『ストランド・マガジン
 The Strand Magazine 』1891年7月号
に発表されました。

こちらの日暮訳は、
次の1冊に収録されています。


日暮まさみち訳
「ボヘミアのスキャンダル」
(『名探偵ホームズ 消えた花むこ』
  講談社青い鳥文庫、2011年2月所収)


3) The Five Orange Pips(オレンジの種五つ)は、
このままの原題で、

月刊誌
『ストランド・マガジン
 The Strand Magazine 』1891年11月号
に発表されました。

こちらの日暮訳は、
次の1冊に収録されています。


日暮まさみち訳「オレンジの種五つ」
(『名探偵ホームズ ぶな屋敷のなぞ』
  講談社青い鳥文庫、2011年5月所収)


日暮氏は、
大人向けの全訳も完成されており、
「まだらの紐」
「ボヘミアの醜聞」
「オレンジの種五つ」
の3編を1冊で愉しむこともできます。


日暮雅通訳
『新訳シャーロック・ホームズ全集
  シャーロック・ホームズの冒険』
(光文社文庫、2006年1月)

『シャーロック・ホームズの冒険』は、
ほかにもいろいろ邦訳が出ているので、
読み比べてみるのも面白いかもしれません。

  ***

英文はレベル2ということもあって、
難なく読み進めることが出来ました。

推理物は、
夢中になるほどは読んでいませんが、

いろいろある中で、
ホームズ物がいちばんしっくり来るようです。

全編読んでやろうと思うほどの熱意があるわけではありませんが、

やさしい英語でホームズが出てくるときは、
できるだけ読んでいこうと思っています。


※通算116冊目。計937,587語。