2015年12月21日月曜日

【読了】Johnston McCulley, The Mark of Zorro (MMR Level 3)

やさしい英語の本、通算122冊目は、

マクミラン・リーダーズの
レベル3(1100語レベル)の9冊目として、

アメリカ合衆国の作家
ジョンストン・マッカレー(1883.2-1958.11)の
冒険小説『快傑ゾロ』を読みました。

著者36歳の時(1919.8)に
週刊誌『オール・ストーリー All-Story Weekly上に
『カピストラノの疫病神 The Curse of Capistrano
の原題で5週にわたって発表された作品です。

翌年(1920.11)には映画化され、
『快傑ゾロ The Mark of Zorroの題で公開されました。

単行本は映画化ののち、
1924年にThe Mark of Zorroの題で刊行されました。


Johnston McCulley
The Mark of Zorro

〔Macmillan Readers Level 3〕
This retold version by Anne Collins for Macmillan Readers
First published 2000
This edition first published 2005
12,144語

正義の味方が活躍する
ヒーロー物の冒険小説として、
アメリカで有名な作品のようですが、
これまでまったく知りませんでした。

マスクで顔を隠したヒーローが、
時に苦境に陥りながらも、
弱者を助け、悪を懲らしめていく、
ヒロインとの恋慕もおりまぜてあり、
飽きる間もなく楽しむことができました。

映画でも観るように、
次々と場面が展開していき、
思わず熱くさせられる要素満載の
楽しい作品でした。

やさしい英語では
同じタイプの作品として、
 アレクサンドル・デュマの『三銃士』
 アンソニー・ホープの『ゼンダ城の虜』
を読んできましたが、

おもしろさだけで選ぶなら、
『怪傑ゾロ』>『ゼンダ城の虜』>『三銃士』
の順でお薦めです。


  ***

翻訳は2種類見つかりました。
1975年の広瀬順弘(ひろせまさひろ)訳以来40年、
新訳は出ていないようです。

ただ1959年の井上一夫(いのうえかずお)訳が、
非常に読みやすく、今読んでも特に不都合を感じないので、
新訳でなくても問題なく読めます。

初めて読まれるばあいは井上訳をお薦めします。


 井上一夫(いのうえかずお)訳
『快傑ゾロ』
(創元推理文庫、1969年12月。新版、2005年12月)

広瀬訳もそれほど読みにくいわけではなく、
表紙は明らかにこちらのほうが魅力的なのですが、
読みやすさでは井上訳に一歩譲るようです。


広瀬順弘(ひろせまさひろ)訳
『快傑ゾロ』
(角川文庫、1975年6月。改版、1998年8月)


※通算122冊目。計1,005,060語。

※Wikipediaの「ジョンストン・マッカレー」「怪傑ゾロ」「奇傑ゾロ」を参照。

2015年12月17日木曜日

【読了】Arthur Conan Doyle, The Hound of the Baskervilles (MMR Level 3)

やさしい英語の本、通算121冊目は、

マクミラン・リーダーズの
レベル3(1100語レベル)の8冊目として、

イギリスの小説家
アーサー・コナン・ドイル(1859.5-1930.7)の
推理小説『バスカヴィル家の犬』を読みました。

シャーロック・ホームズ・シリーズの
3番目の長編小説であり、

著者42歳の時に
月刊誌『ストランド The Strand Magazine 』
1901年8月号から1902年4月号まで、
9回に分けて連載され、

連載終了前の1902年3月に
単行本が刊行されました(英国版)。

※米国版は月刊誌『ストランド』
 1901年9月から1902年5月まで連載。
 単行本は1902年4月に刊行。


Sir Arthur Conan Doyle
The Hound of the Baskervilles

〔Macmillan Readers Level 3〕
This retold version by Stephen Colbourn for Macmillan Readers
First published 1992
This edition first published 2005
8,901語

ホームズ物は、
小中学生の時にほんの少しかじった程度なので、
書名だけ知って読んでいない作品がたくさんあります。

『バスカヴィル家の犬』も
書名は子供の頃から知っていましたが、
読むのは今回が初めてでした。

著者34歳の時(1893年12月)に発表された
24番目の短編「最後の事件 The Final Problem
ホームズを死亡させたドイルが、

ホームズ物を再開するきっかけになったのが、
ドイル42歳の時(1901.8-1902.4)に発表された
3番目の長編『バスカヴィル家の犬』でした。

発表の前年、
41歳の時(1900.7)にイギリスの駆け出しの作家
バートラム・フレッチャー・ロビンソン
(Bertram Fletcher Robinson 1870.8-1907.1)
と出会い、

彼から物語の着想を得たことが、
8年余りの沈黙を破るきっかけとなったそうです。

原作者としてどの程度寄与していたのか、
興味深い議論があるようですが、
ここでは深入りしません。

ちなみに25番目の短編
「空き家の冒険 The Adventure of the Empty House
が発表されたのは、
それから1年半をへた44歳の時(1903年10月)のことでした。


  ***

やさしい英語版とはいえ、
ホームズの長編を読めるのか心配でしたが、

読みやすい英文で、
あらすじのみ上手にまとめてあって、
楽しみながら読み進めることができました。

翻訳は、
まずほかの短編の時と同じように、
日暮まさみち訳を手に入れました。


日暮まさみち訳
『名探偵ホームズ バスカビル家の犬』
(講談社青い鳥文庫、2010年12月)

子供向けに、
文章を若干読みやすくしてあるので、
短編のあらすじを急いで知りたい時に便利だったのですが、
長編だとかえってまどろっこしい感じもありました。

そこで、大人向けの
日暮雅通(ひぐれまさみち)訳を手に入れてみたところ、

こちらのほうが
歯切れのよい、テンポ感のある訳文で、
全体的にうまく整理されている感じがあって、
先へ先へと読み進めることができました。


日暮雅通(ひぐらしまさみち)著
『新訳シャーロック・ホームズ全集 バスカヴィル家の犬』
(光文社文庫、2007年7月)

大人向けの翻訳は、
このほか以下の4点も手に入れましたが、
読みやすさの点では、
日暮雅通訳が秀でているように感じました。

延原謙(のぶはらけん)訳
『バスカヴィル家の犬』
(新潮文庫、1954年5月。103刷改版、2011年6月)
 ※2011年の改版において、延原謙氏の嗣子延原展氏の手により、訳文の修正が行われている。

小林司/東山あかね共訳
[注・解説]W・W・ロブスン(高田寛訳)
『シャーロック・ホームズ全集5 バスカヴィル家の犬』
(河出文庫、2014年4月)
 ※単行本は河出書房新社、2002年5月刊。1993年刊の「オックスフォード大学出版社版の注・解説付 シャーロック・ホームズ全集」の文庫化(文庫458頁参照)。

深町眞理子訳
『バスカヴィル家の犬』
(創元推理文庫、2013年2月)

駒月雅子訳
『バスカヴィル家の犬』
(角川文庫、2014年2月)


子供向けの翻訳としては、
古本屋で偶然手に入れた
偕成社の完訳決定版 シャーロック=ホームズ全集
からの1冊が、個人訳ではありませんが
凝った作りの丁寧な翻訳で好感がもてました。


各務三郎訳
『シャーロック=ホームズ3 バスカビル家の犬』
(偕成社、1985年8月)


※通算121冊目。計992,916語。

※Wikipediaの「アーサー・コナン・ドイル」「バスカヴィル家の犬」「最後の事件」を参照。

※書誌の情報は、日暮雅通著『新訳シャーロック・ホームズ全集 バスカヴィル家の犬』(光文社文庫、2007年7月)の解説を参照。

2015年12月7日月曜日

【読了】Meg Cabot, The Princess Diaries (MMR Level 3)

やさしい英語の本、通算120冊目は、

マクミラン・リーダーズの
レベル3(1100語レベル)の7冊目として、

アメリカの小説家
メグ・キャボット(1967.2- )の
小説『プリンセス・ダイアリー』を読みました。

著者33歳の時(2000.10)に出版された作品です


Meg Cabot
The Princess Diaries

〔Macmillan Readers Level 3〕
This retold version by Anne Collins for Macmillan Readers
This edition first published 2005
12,444語

出版(2000.10)とほぼ同時期に映画化され、
翌年(2001)8月にアメリカで公開されました。

日本でも2002年1月に
『プリティ・プリンセス』の邦題で映画が公開され、
翻訳もほぼ同時(2002.2)に出版されました。


金原瑞人・代田亜香子(翻訳)
『プリンセス・ダイアリー(1)』
(河出文庫、2006年6月)
 ※初出の単行本は河出書房新社、2002年2月。

アメリカの10代半ばの女の子が綴った日記という体裁で、

ある年の9月23日から10月19日まで、
主人公ミアが経験した一ヶ月ほどの出来事が描かれています。

アメリカのふつうの高校生だと思っていた主人公が、
実は外国のプリンセスだった!というありがちな、
でも実際にはなかなか描けない物語だと思います。

10代の女の子が描く風のくだけた文体なので、
翻訳だと却ってまどろっこしい感じもありましたが、
やさしい英語版では難なく読み進めることができました。

40男が読むには
感覚的についていけないところもあるのですが、
軽く明るい雰囲気は嫌いじゃありません。

気軽に読んで、気軽に楽しめば良い作品だと思います。

続編も執筆され、
2010年7月の完結までに10巻の本編と3巻の番外編が刊行され、

マクミラン・リーダーズのやさしい英語でも
4冊目まで読めるようなので、

少し時間をおいてまた1冊手に取りたいと思います。


※通算120冊目。計984,015語。

※Wikipediaの「メグ・キャボット」を参照。