2016年8月28日日曜日

【139冊目】William Shakespeare, King Lear (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算139冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベル)の9冊目として、

イングランドの劇作家
ウィリアム・シェイクスピア
(William Shakespeare 1564.4-1616.4)の
戯曲『リア王』を読みました。

推定執筆年は1605-6年、初版は1608年とされているので、
シェイクスピア40代初めの作品ということになります。

※河合祥一郎『あらすじで読むシェイクスピア全作品』(祥伝社新書、2013年12月)45頁参照。


William Shakespeare
King Lear

Retold by Chris Rice
〔Penguin Readers Level 3〕
This edition first published by Pearson Education Ltd 2010
14,605語

『リア王』は初挑戦でした。

本当に何も知らないままでは読みづらいと思い、
昔読みかけて挫折していた安西徹雄(あんざいてつお)氏の翻訳をひっぱり出して来ました。


安西徹雄(あんざいてつお)訳
『リア王』
(光文社古典新訳文庫、2006年9月)

新潮文庫の福田恆存(ふくだつねあり)訳、
白水uブックスの小田島雄志(おだしまゆうし)訳、
ちくま文庫の松岡和子(まつおかかずこ)訳と比べた中では、
圧倒的に読みやすい翻訳でした。

もう一つ、
意外によく出来ていたのが漫画版で、
手っ取り早くあらすじをつかむのには一番役立ちました。

もとは演劇なので、
活字だけよりも遥かにわかりやすかったです。


バラエティ・アートワークス漫画
『リア王 ―まんがで読破』
(イースト・プレス、2008年5月)

漫画版を読んだ上で、
安西訳を隣りにおいて、
やさしい英語版を読み進めましたので、
特に混乱することもなく読み進めることができました。

ただし劇中の、
狂った人々の独特な言い回しは、
日本語で書かれてもわかりにくいものなので、
英語ではなおさらわかりにくかったです。

初めての『リア王』は、
これでもかと毒を吐きまくり、人の心の醜さを暴いてみせる、
シェイクスピアの凄味を感じることができました。

あまり好きではなかったはずの
悲劇の魅力に気がつくことが出来たのは収穫でした。

※第139冊目。総計1,213,876語。

2016年8月19日金曜日

【読了】シェイクスピア著(安西徹雄訳)『ヴェニスの商人』(光文社古典新訳文庫)

イギリスの劇作家
ウィリアム・シェイクスピア
(William Shakespeare 1564.4-1616.4)の
喜劇『ヴェニスの商人』を読みました。

推定執筆年は1596-98年、初版は1600年なので、
シェイクスピア30代前半の作品ということになります。

最近やさしい英語で読んだので、
この際、翻訳も読んでおこうと思いました。


ウィリアム・シェイクスピア著
安西徹雄(あんざいてつお)訳
『ヴェニスの商人』
(光文社古典新訳文庫、2007年6月)

 ※訳者あとがきに、「一九九〇年の四月、今からもう、十七年も前のことになるが、安西自身の訳・演出で、『ヴェニスの商人』を東京グローブ座で上演した。(中略)本訳書は、前述の上演台本版(当然、主として上演時間を考慮して、かなりのカットが施してある)をもとに、省略した部分はすべて新しく訳して補い、全体にわたって改訂を加えた完訳版である」とある(文庫238・240頁)。

『ヴェニスの商人』には
河合祥一郎(かわいしょういちろう)氏の翻訳も出ているので、
はじめは河合訳で読もうかと思っていたのですが、

これまで河合訳で読んできた
 『ハムレット』
 『ロミオとジュリエット』
 『マクベス』
 『夏の夜の夢』
 『から騒ぎ』と比べて、
今ひとつ文章のリズムに切れを欠くように感じられ、
途中で読むのを止めてしまいました。

ほかに良いものはないか探していたところ、
福田恆存訳、小田島雄志訳、松岡和子訳については、
河合訳をこえるほどではありませんでした。

ただ最新の安西徹雄訳は、
4者の翻訳と比べれば圧倒的にわかりやすく、
現代のふつうの日本語の小説に接するのと同じ感覚で、
すらすら読み進めることができました。

福田恆存訳
『ヴェニスの商人』
(新潮文庫、1967年11月)
 ※初出はシェイクスピア全集5(新潮社、1960年1月)。

小田島雄志訳
『ヴェニスの商人』
(白水uブックス〔シェイクスピア全集14〕1983年10月)

松岡和子訳
『ヴェニスの商人』
(ちくま文庫〔シェイクスピア全集10〕2002年4月)

河合祥一郎訳
『新訳 ヴェニスの商人』
(角川文庫、2005年10月)

もう一つお薦めなのが漫画版です。


バラエティ・アートワークス(企画・漫画)
『ヴェニスの商人 ―まんがで読破』
(株式会社イースト・プレス、2009年7月)

原作に忠実に、
わかりやすく再現されているので、
はじめに手っ取り早く内容をつかみたい時に最適です。

  ***

読み終えてみると、
それなりに面白くはあるのですが、
あからさまなユダヤ人差別が出てくるので、
これがもし金貸しの日本人として描かれるとしたら、
穏やかな気持で読み進めるのは難しいと思いました。

ユダヤ人差別の記述を直してしまうと、
原作をかなり変えることになるので、
舞台での上演には難しい側面があるように感じられました。


2016年8月12日金曜日

【138冊目】William Shakespeare, Hamlet (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算138冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベル)の8冊目として、

イングランドの劇作家
ウィリアム・シェイクスピア
(William Shakespeare 1564.4-1616.4)の
戯曲『ハムレット』を読みました。

推定執筆年は1600年、初版は1603年とされているので、
シェイクスピア30代半ばの作品ということになります


William Shakespeare
Hamlet

Retold by Chris Rice
〔Penguin Readers Level 3〕
First published 2006
This edition published 2008
11,552語

2年3ヶ月前(2014年5月)に、
オックスフォード・ブックワームのステージ2
(700語レベル/5,945語)、

1ヶ月前(2016年7月)に、
ペンギンリーダーズのレベル3
(1,200語レベル/4作合わせて13,148語)
で読んでいるので、

やさしい英語で3回目の『ハムレット』です。

陰湿な悲劇はそれほど好きではないのですが、
思わず惹き込まれる不思議な魅力をもった作品であることは、
よくわかってきました。

  ***

翻訳はいくつか手にした中で、いまは
角川文庫の河合祥一郎(かわいしょういちろう)訳が気に入っています。

狂言師の野村萬斎(のむらまんさい)氏による
徹底的な吟味(文庫220頁)を経ているからか、
ほかの翻訳よりも頭一つ抜け出ているように感じています。

翻訳調なところはどこにもなく、
現代の日本語による優れた芸術作品として読み進めることができるので、
お薦めです。


河合祥一郎訳
『新訳 ハムレット』
(角川文庫、2003年5月)

※「この翻訳は、野村萬斎氏により委託され、彼が主演する「ハムレット」公演のために訳し下ろしたものである。」(河合祥一郎「訳者あとがき」220頁)

※「この翻訳は、私が芸術監督を務める世田谷パブリックシアターでの『Hamlet』(二〇〇三年六~七月)上演に際し、タイトルロールを演じる私の独断で河合祥一郎氏に依頼したものです。」(野村萬斎「後口上、日本演劇への翻訳」231頁)

※「この翻訳による初演は、2003年6月17日~7月26日世田谷パブリックシアター、7月30、31日りゅーとぴあ・新潟市民芸術文化会館、8月27日~9月6日ロンドン、サドラーズ・ウェルズ上演予定の公演であり」(文庫の巻末)


まったく初めての場合は、漫画版も悪くありません。


シェイクスピア(原作)
バラエティ・アートワークス(企画・漫画)
『まんがで読破 ハムレット』
(イースト・プレス、2011年4月)

もともと上演に3日も4日もかかる作品ではないので、
変な省略もなく、話の内容が手際よく整理されていると思います。


映画はまだ翻訳すら読んでいないうちに、

1948年に製作、公開された
ローレンス・オリヴィエ(Laurence Olivier, 1907.5-1989.7)
監督兼主演のものを観ていますが、

この戯曲をよく知った人が観てこそ
楽しめる玄人向けの作品だったようで、
最初に観たときは何が良いのかさっぱりわかりませんでした。

それでも話の内容をよく知ったうえで改めて観てみると、
ローレンス・オリヴィエの演技の凄みが伝わって来て、
よくできた映画であることがわかって来ました。




最近改めて調べてみると、
1990年に制作され、翌年に公開された
フランコ・ゼフィレッリ(Franco Zeffirelli, 1923.2- )監督、
メル・ギブソン(Mel Gibson, 1956.1- )主演のものが
初心者向けとしても高評価のようなので、
こちらも近々観てみようと思います。




※第138冊目。総計1,199,271語。