2020年11月22日日曜日

【読了】C・S・ルイス著〔土屋京子訳〕『ナルニア国物語⑦ 最後の戦い』(2018年3月刊行)

北アイルランド生まれの小説家、クライブ・ステープルス・ルイス(Clive Staples Lewis, 1898年11月29日生-1963年11月22日没)の小説『最後の戦い The Last Battle を読みました。

全7巻からなる『ナルニア国物語』の1冊で、著者57歳の時(1956年3月)にシリーズ7番目の作品として刊行されました物語内の時系列でも最後(7番目)のお話なので、土屋訳の第7巻として刊行されました。


土屋京子訳
『ナルニア国物語⑦ 最後の戦い』
(光文社古典新訳文庫、2018年3月)

  ***

岩波少年文庫の瀬田訳と、光文社古典新訳文庫の土屋訳との関係を整理しておきます。

◎瀬田貞二(せたていじ, 1916.4-1979.8)訳
ナルニア国ものがたり(瀬田訳)
 1『ライオンと魔女』
  (1966年5月刊行)←〔1950年10月英国、同年11月米国〕
 2『カスピアン王子のつのぶえ』
  (1966年7月刊行)←〔1951年10月英国、52年9月米国〕
 3『朝びらき丸 東の海へ』
  (1966年8月刊行)←〔1952年9月英国・米国〕
 4『銀のいす』
  (1966年10月刊行)←〔1953年9月英国、10月米国〕
 5『馬と少年』
  (1966年11月刊行)←〔1954年9月英国、10月米国〕
 6『魔術師のおい』
  (1966年9月刊行)←〔1955年5月英国、10月米国〕
 7『さいごの戦い』
  (1966年12月刊行)←〔1956年3月英国、9月米国〕

◎土屋京子(つちやきょうこ, 1956- )訳
ナルニア国物語(土屋訳)
 1『魔術師のおい』
  (2016年9月刊行)←〔1955年5月英国、10月米国
 2『ライオンと魔女と衣装だんす』
  2016年12月刊行)←〔1950年10月英国、同年11月米国
 3『馬と少年』
  2017年3月刊行)←〔1954年9月英国、10月米国
 4『カスピアン王子』
  2017年6月刊行)←〔1951年10月英国、52年9月米国
 5『ドーン・トレッダー号の航海』
  2017年10月刊行)←〔1952年9月英国・米国
 6『銀の椅子』
  2017年12月刊行)←〔1953年9月英国、10月米国
 7『最後の戦い』
  2018年3月刊行)←〔1956年3月英国、9月米国


  ***

ようやく最後までたどり着きました。第7巻はこれまでになく、人間の負の感情と向き合う場面が多く、しかもそれに打ち勝つというよりは、戦いつつもあっさりと敗北し、滅亡を受け入れてしまう意外さが印象に残る作品でした。さらに滅亡後、天国的な世界が描かれていくという発想も、聖書になじみのない私には新鮮に感じました。平家物語で、滅んだ平家のその後を描こうとはあまり思わないのではないかと。

ルイスの類まれな筆力のおかげで、最後には大きな感銘が得られたのですが、日本ではまず見られないストーリーの展開に違和感が残りました。しかし『不思議の国のアリス』よりはよほど好ましく、とても興味深い読書体験になりました。普段あまりファンタジーには惹かれないのですが、この「ナルニア国物語」はぜひ今後も繰り返し読んで行きたいと思いました。

幸い土屋訳が出て間もなく、河合祥一郎氏の翻訳も出始めたので、少し時間を置いてから、河合訳で再読しようと考えています。その後は、翻訳を傍らにおいて、原書でも読めたらいいなと思案中です。

河合訳に挑戦する前に、同じ河合祥一郎氏の翻訳で、ドリトル先生シリーズの続きを読んでみようと思っています。調べてみると2014年4月に『ドリトル先生アフリカゆき』を読んで以来、久しぶりの挑戦になります。当時は動物がしゃべるという「ありえなさ」に違和感を感じたのですが、「ナルニア国物語」を経験してしまうと、まあそれくらいいいんじゃないかと思えている自分がいます。

ありがたいことに本業が忙しく、ゆっくり本を読む暇はありませんが、空き時間を見つけて少しずつ読み進めていきます。

2020年10月31日土曜日

中間報告

昨年の秋頃に再開した研究の中間報告です。

仕事が最優先なので思うようには進みませんが、少しずつでもいいので休まないようにして執筆を続けています。

2本出ていた拙論への批判論文のうち、最近のものへの反論をまず一本にまとめる予定で、少しずつ執筆を進めているところです(論文A)。

ただ執筆中に、ご批判をいただいた先生の突然のご逝去を知りました。私とそれほど変わらない年齢の方で、完成した論文へのご意見をお聞きするのを楽しみにしていたので、大変残念です。

そういう背景があるので、完成しても発表まで少し時間を置くことになりそうですが、とりあえず来春までを目処に書き上げてしまおうと思っています。

もう1本、15年ほど前にいただいたご批判については、もともと拙論に言葉足らずなところがあったので、ご批判を一部受け入れて結論を一箇所修正する予定です。ただし同意できないところも多いので、その点についてはきちんと反論する予定です(論文B)。

こちらはそれほど長いものにはならないので、他のテーマと合わせて1本にするか、反論だけで手短にまとめてしまうかは思案中です。

これらの論文2本をまとめた後の、研究の大きな見通しもすでに出来ていて、そちらのほうが私には魅力的なのですが、いただいたご批判を放ったらかしにしたまま次に進むわけにも行かないので、まずは今の論文に集中です。

現在の研究テーマの中心は『西宮記』が8割、『清涼記』と『北山抄』が2割ほど。ブログにいろいろ書いて行ったほうがはかどるはずですが、いざ掲載先を探すときに著作権の問題が出てくるので、曖昧にしか書けません。

次の報告は年明け頃に。

2020年9月27日日曜日

【読了】C・S・ルイス著〔土屋京子訳〕『ナルニア国物語⑥ 銀の椅子』(2017年12月刊行)

北アイルランド生まれの小説家、クライブ・ステープルス・ルイス(Clive Staples Lewis, 1898年11月29日生-1963年11月22日没)の小説『銀の椅子 The Silver Chair を読みました。


全7巻からなる『ナルニア国物語』の1冊で、著者54歳の時(1953年9月)にシリーズ4番目の作品として刊行されました物語内の時系列では6番目のお話なので、土屋訳では第6巻として刊行されました。


土屋京子訳
『ナルニア国物語⑥ 銀の椅子』
(光文社古典新訳文庫、2017年12月)

  ***

岩波少年文庫の瀬田訳と、光文社古典新訳文庫の土屋訳との関係を整理しておきます。

◎瀬田貞二(せたていじ, 1916.4-1979.8)訳
ナルニア国ものがたり(瀬田訳)
 1『ライオンと魔女』
  (1966年5月刊行)←〔1950年10月英国、同年11月米国〕
 2『カスピアン王子のつのぶえ』
  (1966年7月刊行)←〔1951年10月英国、52年9月米国〕
 3『朝びらき丸 東の海へ』
  (1966年8月刊行)←〔1952年9月英国・米国〕
 4『銀のいす』
  (1966年10月刊行)←〔1953年9月英国、10月米国〕
 5『馬と少年』
  (1966年11月刊行)←〔1954年9月英国、10月米国〕
 6『魔術師のおい』
  (1966年9月刊行)←〔1955年5月英国、10月米国〕
 7『さいごの戦い』
  (1966年12月刊行)←〔1956年3月英国、9月米国〕

◎土屋京子(つちやきょうこ, 1956- )訳
ナルニア国物語(土屋訳)
 1『魔術師のおい』
  (2016年9月刊行)←〔1955年5月英国、10月米国
 2『ライオンと魔女と衣装だんす』
  2016年12月刊行)←〔1950年10月英国、同年11月米国
 3『馬と少年』
  2017年3月刊行)←〔1954年9月英国、10月米国
 4『カスピアン王子』
  2017年6月刊行)←〔1951年10月英国、52年9月米国
 5『ドーン・トレッダー号の航海』
  2017年10月刊行)←〔1952年9月英国・米国
 6『銀の椅子』
  2017年12月刊行)←〔1953年9月英国、10月米国
 7『最後の戦い』
  2018年3月刊行)←〔1956年3月英国、9月米国

  ***

いよいよあと2冊になりました。どの巻も同じくらいの面白さでここまで書き続けるというのは、実は物凄いことではないのかと、今さらながら著者の筆力に感銘を受けているところです。読んでいて、人間の感情を正しい方向にひっぱっていく力のある作品で、だからといってお説教じみたことはなく、子供向けの魅力的な作品に仕上がっていると思います。

今回も、大人が読んでもほどほどの面白さで最後まで読み進めることができました。瀬田貞二氏、土屋京子氏の翻訳に続いて、河合祥一郎(かわいしょういちろう)氏の翻訳も出始めて、最近完結したようなので、土屋訳に続いて河合訳にも親しんだら、原書のままでも読めるようになりたいと思い始めました。

2020年9月20日日曜日

Duolingo(語学学習アプリ)修了

確かな記憶が抜け落ちていますが、昨年の春頃(2019年4月)から始めていた無料の語学学習アプリ Duolingo の英語コースを修了しました(2020年9月)。

5章立てで各章

 1「基本1」「基本2」
  「フレーズ」「基本3」
  「食べ物」「複数形」「動物」
 2「所有格」「目的格」
  「衣類」「現在形1」
  「色」「疑問文」
  「接続詞」「前置詞」
  ……
  ……
  ……
 5「抽象名詞2」「再帰代名詞」
  「自然」「動名詞」
  「スポーツ」「芸術」
  「通信」「医学用語」
  「未来形」「政治」
  「動詞句未来」「科学」
  「未来完了」「ビジネス」
  「助動詞」「イベント」
  「仮定法過去完了」「属性」

といった節に分かれていました。

各節は1~5のステップに分かれ、さらにそれぞれのステップが10ほどのレッスンに分かれていました。

1レッスン10~20分ほどで終わる内容で、「読む、書く、聞く、話す」の基本問題をバランス良く配置してありました。

英検3級に少し準2級が混じるくらいのレベルで、基本練習を毎日20~60分ほど(2、3レッスン)ひたすら繰り返していくスタイルなので、英語の基礎固めに最適なアプリだと思いました。

基本ばかりで飽きてしまいそうなところ、三日坊主に終わらない工夫がいろいろ施されていて、途中で止めてしまうことなく最後まで(1年半ほど)継続することができました。

基本レベルですが、英単語、英文法は高1で習うものも含まれているので、しばらく英語の勉強から離れていた方が、かつて学んでいたはずの英語の感覚を思い出すのに適したアプリのように思いました。


   ***

Duolingo は、グアテマラ共和国(中央アメリカ北東部)に生まれ、アメリカ合衆国で活躍するエンジニア、ルイス・フォン・アンLuis von Ahn, 1979- )氏によって開発された言語学習アプリです。

ルイス氏は、カーネギーメロン大学 計算機科学部(School of Computer Science, Carnegie Mellon University ※ペンシルバニア州ピッツバーグにある私立研究大学)で顧問教授(Consulting Professor)を務めている方で、

インターネット上で、自分がロボットではなく、人間であることを判別する技術「CAPTCHA」の開発など、コンピュータに関わる分野で世界的な業績を挙げている方だそうです。(詳しくは、私の理解できる範囲をこえています。)

そんなルイス氏が、ゲーム感覚で楽しく効率的に言語を身につけられるアプリの開発を志し、2012年6月に公開されたのが Duolingo で、2020年9月現在、世界中に3億人を上回る学習者がいるそうです。

日本語で学べるのは「英語」と「中国語」です。ほんの少し「中国語」も試してみましたが、こちらは初歩の初歩すら知らない状態なので、進めることができませんでした。やはり学校などで入門編を学んだ方が、基礎力を強化するのに使うのが最適のようです。

英語の基本を学びなおしたい、と考えている方にお薦めのアプリです。

2020年8月23日日曜日

【読了】C・S・ルイス著〔土屋京子訳〕『ナルニア国物語⑤ ドーン・トレッダー号の航海』(2017年9月刊行)

北アイルランド生まれの小説家、クライブ・ステープルス・ルイス(Clive Staples Lewis, 1898年11月29日生-1963年11月22日没)の小説『ドーン・トレッダー号の航海 The Voyage of the Dawn Treader を読みました。


全7巻からなる『ナルニア国物語』の1冊で、著者53歳の時(1952年9月)にシリーズ第3冊目の作品として刊行されました物語の時系列では5番目のお話なので、土屋訳では第5巻として刊行されました。



土屋京子訳
『ナルニア国物語⑤ ドーン・トレッダー号の航海』
(光文社古典新訳文庫、2017年9月)

  ***

岩波少年文庫の瀬田訳と、光文社古典新訳文庫の土屋訳との関係を整理しておきます。

◎瀬田貞二(せたていじ, 1916.4-1979.8)訳
ナルニア国ものがたり(瀬田訳)
 1『ライオンと魔女』
  (1966年5月刊行)←〔1950年10月英国、同年11月米国〕
 2『カスピアン王子のつのぶえ』
  (1966年7月刊行)←〔1951年10月英国、52年9月米国〕
 3『朝びらき丸 東の海へ』
  (1966年8月刊行)←〔1952年9月英国・米国〕
 4『銀のいす』
  (1966年10月刊行)←〔1953年9月英国、10月米国〕
 5『馬と少年』
  (1966年11月刊行)←〔1954年9月英国、10月米国〕
 6『魔術師のおい』
  (1966年9月刊行)←〔1955年5月英国、10月米国〕
 7『さいごの戦い』
  (1966年12月刊行)←〔1956年3月英国、9月米国〕

◎土屋京子(つちやきょうこ, 1956- )訳
ナルニア国物語(土屋訳)
 1『魔術師のおい』
  (2016年9月刊行)←〔1955年5月英国、10月米国
 2『ライオンと魔女と衣装だんす』
  2016年12月刊行)←〔1950年10月英国、同年11月米国
 3『馬と少年』
  2017年3月刊行)←〔1954年9月英国、10月米国
 4『カスピアン王子』
  2017年6月刊行)←〔1951年10月英国、52年9月米国
 5『ドーン・トレッダー号の航海』
  2017年9月刊行)←〔1952年9月英国・米国
 6『銀の椅子』
  2017年12月刊行)←〔1953年9月英国、10月米国
 7『最後の戦い』
  2018年3月刊行)←〔1956年3月英国、9月米国


  ***

第4巻『カスピアン王子』を読んでから、3年近く過ぎてしまいました。もう7巻目まで揃えてあるので、秋までに一気に読んでしまおうと思っています。

久しぶりに読んでみると、やはり大人になって初めて読むには、もう少し刺激がほしくもありますが、小中学生のころに出会えていたら、全巻夢中で読み進めていただろうなと思いました。4巻までの内容はだいぶ忘れていますが、各巻独立して楽しめるように書かれているので、とくに困ることはなく、大人の私でも十分楽しい時間を過ごすことができました。

半分以上読み進めてきて、ふつうの日本人にはまず見られない、キリスト教徒ならではのユニークな視点が、興味深く感じられるようになってきました。宗教関係の著作にも有名なものがあるようなので、時期をみて挑戦してみたいと思っています。

2020年5月20日水曜日

研究再開

 15年ほど研究の現場から離れていましたが、この数年でようやく仕事が落ちついて来たので、大学で残して来た研究テーマについて、私なりの結論を出しておきたいと思うようになりました。

 さすがに今から色々と手を出すわけにも行かないので、テーマを「『西宮記』を中心とした平安時代儀式書の研究」のみに絞って、昨年の秋頃から最近の研究を取り寄せたり、パソコンに史料を打ち込んだりして、年明けからは少しずつ論文の断片をEvernoteに書き留め始めました。

 幸い研究室にいた頃に集めた文献は、すべて持って帰っているので、新たに買い足す必要はあまりなく、またかつてよりインターネットで出来ることが飛躍的に増えたおかげで、思っていたよりスムーズに研究に取り組めています。

 まずは昔の拙論に対する批判が2本ほど出ていたので、それに対する反論をまとめているところです。同時に、私の研究テーマにそう興味深い論文がいくつか出ていたので、そちらも改めて調べ直して、私なりの意見をまとめようと思っています。源高明の『西宮記』を中心に、村上天皇の『清涼記』(新儀式)、藤原公任の『北山抄』あたりまでは論じておきたいことがあります。15年も寝かせておいたからか、しばらくは湧き上がるアイデアを書き留めるのに忙しい日々を送れそうです。

 出来上がっても掲載先を探すところから順を追っていくので、結局未完のままに終わるかもしれませんが、経営がほどほどで安定しているうちに、あせらずに仕上げていきたいと思います。

 そんな理由もあって、しばらく「やさしい英語の本」の多読を休止していましたが、論文の執筆も軌道に乗ってきたので、そろそろ再開したいと思っています。300万語読み終えるまでは続けなければ、と思って積ん読状態なのが10冊ほど。月2冊を目標にまた読んでいきます。