2019年5月31日金曜日

【205冊目】John Buchan, The Thirty-Nine Steps (Oxford Bookworms Stage 4)

やさしい英語の本、通算205冊目は、
再びオックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1,400語レベル)の18冊目として、


スコットランド生まれの作家
ジョン・バカン(John Buchan, 1875年8月26日-1940年2月11日)
の小説『三十九階段 The Thirty-Nine Stepsを読みました。

スコットランドの月刊誌
『ブラックウッド・マガジン Blackwood's Magazine 』の
1915年7月号〔第1-5章〕8月号〔第6・7章〕9月号〔第8-10章〕に連載され

同年10月に単行本が、
「William Blackwood and Sons」社から出版されました。
著者40歳の時の作品です。


John Buchan
The Thirty-Nine Steps

Retold by Nick Bullard
〔Oxford Bookworms Stage 4〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1994
17,170語


これまで全く知らなかったのですが、
オックスフォード・ブックワームズの目録を眺めているうちに、
ふと興味がわいた1冊です。

第一次大戦後にイギリスで現れた
本格的なスパイ小説の嚆矢となった作品で、

イギリスの映画監督
アルフレッド・ヒッチコック
(Alfred Hitchcock, 1899-1980)によって、
1935年(初出版から20年後)に映画化されたことでも知られています
(35年6月6日に英国公開、8月1日に米国公開)。

翌36年3月5日には
「三十九夜」の邦題で日本公開されていたそうですが、
未見です。


  ***

映画はすぐに観る時間が取れないので、
小西宏(こにしひろし)訳と稲葉明雄(いなばあきお)訳の
2つの翻訳を手に入れました。


小西宏(こにしひろし)訳
『三十九階段』
(創元推理文庫、1959年11月◇171頁)


稲葉明雄(いなばあきお)訳
『ザ・スパイ』
(角川文庫、1967年9月◇206頁)

訳文はどちらも大差ありませんが、
稲葉訳では、小西訳にない「はしがき」も訳してあり、
巻末には石橋喬司「スパイ小説の系譜」という一文も添えてあるので、
どちらか1冊なら稲葉訳のほうをお薦めします。

実際に読んでみると、
時代背景などを知らなくても、
問題なく話題が過ぎていき、
小気味よいテンポ感でどんどん話が展開して行き、
飽きる間もなく最後まで進んでいくので、
娯楽小説として楽しめるよくできた作品だと思いました。

原著もそれほど長い作品ではないので、
いずれ原文でも挑戦できたら良いです。


  ***

なお『三十九階段』と同じ、
リチャード・ハネーを主人公とする小説は他にもあって、
計5点刊行されています。
(間接的にハネーが出て来るのも含めると6点)

 ①『 The Thirty-Nine Steps 三十九階段 』(1915)
 ②『 Greenmantle 緑のマント 』(1916)
 ③『 Mr Stanfast 』(1919)
 ④『 The Tree Hostages 三人の人質 』(1924)
  ⑤『 The Courts of the Morning 』(1929)
 ⑥『 The Island of Sheep 』(1936)

案外面白い作品だったので、今後、
邦訳が出ているものから順に読んでみようと思います。


※第205冊目。総計2,200,525語。


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2019年5月16日木曜日

【204冊目】Cecil Scott Forester, The African Queen (Oxford Bookworms Stage 4)

やさしい英語の本、通算204冊目は、
再びオックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1,400語レベル)の17冊目として、

イギリスの小説家
セシル・スコット・フォレスター
(Cecil Scott Forester,  1899年8月27日-1966年4月2日)
の小説『アフリカの女王 The African Queenを読みました。

著者35歳の時(1935年2月)に
ボストンの「Little, Brown and Company」から出版されました。
 ※同時期に英国でも出版されたかは不明。


Cecil Scott Forester
The African Queen

Retold by Qlare West
〔Oxford Bookworms Stage 4〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 2004
15,250語

セシル・スコット・フォレスターの
小説『アフリカの女王』は、

一冊前〔203冊目〕に読んだ
ホーンブロワー・シリーズの第1冊目
『パナマの死闘 The Happy Return
が刊行(1937年2月)される2年前、
著者35歳の時(1935年2月)に刊行された作品です。

初版から16年後、
著者52歳の時に映画化され、
アメリカで公開されるとともに(1951年12月)、
日本でも翌52年8月に『アフリカの女王』の邦題で公開されました。

日本国内で、
フォレスターの作品が知られるきっかけになったのが、
この映画『アフリカの女王』といって良いでしょう。

 アメリカ合衆国の映画監督
 ジョン・ヒューストン
 (John Huston, 1906-1987)が監督を務め、

 アメリカ合衆国の俳優
 ハンリー・ボガート
 (Humphrey Bogart, 1899-1957)と
 キャサリン・ヘプバーン
 (Katharine Hepburn, 1907-2003)
 が主役を演じました。

 映画製作から30年余りを経て、
 主役を演じたキャサリン・ヘプバーンが、
 この撮影の回想記を出版しています。


 キャサリン・ヘプバーン著
 芝山幹郎(しばやまみきお)訳
 『「アフリカの女王」とわたし』
 (文春文庫、1993年9月◇231頁)

 古本屋で偶然安価で手に入れたのですが、
 気軽にさっと読める内容で、
 この映画への興味がわいて来ました。


  ***

今回は映画をみる暇がなかったので、
翻訳を手に入れておきました。

それほど難しい英文ではないのですが、
アフリカの熱い気候の中で、
小さな蒸気船に乗って河下りをする
という変わった状況のお話なので、

翻訳を参照して、
ようやくどんな場面なのかわかるところも、
それなりに出て来ました。


伊藤礼(いとうれい)訳
『アフリカの女王』
(フジ出版社、1967年11月◇230頁)


佐和誠(さわまこと)訳
『アフリカの女王』
(ハヤカワ文庫、1979年1月◇306頁)

手に入れやすいのは
佐和誠(さわまこと)訳のはずですが、

読み比べてみると、
伊藤礼(いとうれい)のほうが、
一文一文あいまいなところがなく、
わかりやすい訳文に仕上がっていると思います。

巻頭に、本の内容に合わせた
アフリカの地図も付いているので、
どちらかといえば伊藤訳のほうがお薦めです。

ただそろそろ新訳が出てもいい頃かもしれません。
埋もれるには惜しい、独特の魅力のある作品でした。


※第204冊目。総計2,183,355語。


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