2019年10月30日水曜日

【214冊目】Elizabeth Gaskell, Cranford (Oxford Bookworms Stage 4)

やさしい英語の本、通算214冊目は、
オックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1400後レベル)の27冊目として、

イギリスの小説家
エリザベス・ギャスケル
(Elizabeth Gaskell, 1810年9月29日-1865年11月12日)
の長編小説『クランフォード Cranfordを読みました。

著者41歳から42歳にかけて発表された小説で
(1851年12月-53年5月)、

イギリスの週刊誌
『 Household Words 』の
 ① 90号(1851年12月13日刊)
 ② 93号  (52年1月 3日刊)
 ③ 103号(52年3月13日刊)
 ④ 106号(52年4月 3日刊)
 ⑤ 146号(53年1月 8日刊)
 ⑥ 147号(53年1月15日刊)
 ⑦ 158号(53年4月 2日刊)
 ⑧ 163号(53年5月 7日刊)
 ⑨ 165号(53年5月21日刊)
に9回に分けて連載され、
単行本は1953年6月に刊行されました。


Elizabeth Gaskell
Cranford

Retold by Jennifer Bassett
〔Oxford Bookworms Stage 4〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1997
15,015語


全く知らない作品でしたが、
女だらけの町クランフォードで巻き起こる
心温まるエピソードの数々に思いの外惹き込まれ、
楽しみながら最後まで読みすすめることが出来ました。

ガリバー旅行記のパロディのような、
特殊ではあるけれどもぎりぎりありえなくもない、
独特のユーモアに包まれた作品でした。

好きな作風でしたので、
ほかの作品も含めて、ギャスケルには今後注目していきたいです。


翻訳は小池滋(こいけしげる)氏の岩波文庫を手に入れました。

何ら不満のない読みやすい文章なので、
もう少し活字が大きければなおのことありがたく、
ギャスケル全集版のほうを買い直そうか思案中です。


小池滋(こいけしげる)訳
『女だけの町(クランフォード)』
(岩波文庫、1986年8月◇381頁)

 ※初出は世界文学全集14(筑摩書房、1967年1月)に、
  オースティン著、中野好夫訳「自負と偏見」と合わせて収録。

 ※のちに日本ギャスケル協会監修
  『ギャスケル全集1』(大阪教育図書、2000年1月)に
  「短編」と合わせて収録。


調べてみると、
川原信(かわはらのぶ)氏の翻訳が
角川文庫から出ていますが、未見です。

川原信(かわはらのぶ)訳
『女だけの町 クランフォード』
(角川文庫、1953年12月◇294頁)


2000年から2009年にかけて、
日本ギャスケル協会の監修で、
 ギャスケル全集全7巻+別巻2巻
が大阪教育図書から刊行されているので、
そちらを紐解くのが手っ取り早いのでしょうが、
気軽には買えないお値段なので、今後余裕が出来るまで少し時間を置きたいと思います。

ギャスケルは、
私が個人的に好きな作家
シャーロット・ブロンテの伝記
『シャーロット・ブロンテの生涯』
をまとめたことでも知られているので、
次に紐解くとすれば、こちらの1冊になるでしょう。


※第214冊目。総計2,337,650語。


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2019年10月15日火曜日

【213冊目】Mary Wesley, A Dubious Legacy (Oxford Bookworms Stage 4)

やさしい英語の本、通算213冊目は、
オックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1400後レベル)の26冊目として、

イギリス出身の小説家
メアリー・ウェズレー
(Mary Wesley, 1912年6月24日-2002年12月30日)
の長編小説
『怪しげな遺産 A Dubious Legacy
を読みました。

著者70歳の時(1983年4月)に出版された
初の長編『 満潮 Jumping the Queue 』から数えて
8作目の長編小説で、

著者79歳の時(1992年2月)に
英国の出版社 Bantam Press 社から刊行されました。


Mary Wesley
A Dubious Legacy

Retold by Rosalie Kerr
〔Oxford Bookworms Stage 4〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1996
15,100語

全く知らない作品でしたが、
南條竹則(なんじょうたけのり)氏による翻訳が出ていて、

その「訳者あとがき」に、
「今や、イギリス随一の人気作家」
「愛読者たちは、しばしば彼女をジェーン・オースティンに比較する」
「これほど変わった小説を訳したのは初めてである」
などとあったのに惹かれ、読んでみることにしました。


南條竹則(なんじょうたけのり)訳
『怪しげな遺産』
(集英社、1995年5月◇427頁)


実際に読んでみると、
本格派を思わせるたたずまいの中に、
随分変わった趣向が紛れ込んでいて、
予想とはかなり違った方向へと話がそれて行きました。

読み終えて、
いったい何が言いたかったのだろうと
不思議な思いに駆られました。

恐らくそれほど深刻に受け止める必要はなく、
80近くのメアリー氏が筆のおもむくまま、
力技で一冊をまとめ上げた作品であって、
推敲に推敲を重ねた綿密さとはあまり縁がないように感じられました。

評価の高い作家のようなので、
もっと面白い作品が別にあるのかもしれません。

あるいは80手前で書かれた小説なので、
私自身もっと年をとってからのほうが、
真価に気がつけるのかもしれません。

今回はそんな風に、今一つの感想をいだきました。

イギリスの現代小説を読むことはまずないので、
良い経験にはなりました。

やさしい英語版では、
奇想天外な内容とはいってもファンタジーとは違って、
ごく日常で起こり得る範囲のことで書かれているので、
無理なく読みすすめることができました。

南條訳も非常にこなれているので、
興味のある方はぜひ。


※第213冊目。総計2,322,635語。


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