2018年6月16日土曜日

【183冊目】James Herriot, If Only They Could Talk(Ladder Series Level 2)

やさしい英語の本、通算183冊目は、
IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル2(1300語レベル)の21冊目として、

イギリスの獣医兼作家であった
ジェイムズ・ヘリオット
(James Herriot, 1916年10月~95年2月)の
自伝的小説『ヘリオット先生奮戦記』の前半部分を読みました。

 筆者が54歳の時(1970)に、
 自分が獣医になったころの経験をもとにした
 ①『If Only They Could Talkを刊行したのが初めで、

 その2年後(1972)に続編として
 ②『If Shouldn't Happen to a Vetが刊行されました。

 この時(1972)、①②を合冊した版も
 ③『All Creatures Great and Smallという書名で刊行され、
 この③が世界的なベスト・セラーになりました。

今回のラダーシリーズは、
このうち①をやさしい英語に直したものです。


James Herriot
If Only They Could Talk
(ヘリオット先生奮戦記)

〔Ladder Series Level 2〕
IBC Publishing,Inc. 2005年8月
16,810語 ※編訳者の記載なし。


日本では、
大橋吉之輔
(おおはしきちのすけ, 1924-1993)
氏が、1975年に③を翻訳、刊行されました。

『頑張れヘリオット(上・下)』
(文化放送開発センター出版部、1975年11月◇226・227頁)

その6年後(1981年)、
ハヤカワ文庫に収録される際に、
『ヘリオット先生奮戦記』と改題され、
この書名が一般によく知られることになりました。


『ヘリオット先生奮戦記(上・下)』
(ハヤカワ文庫、1981年12月◇341・333頁)

翻訳も手元に置いておきたかったので、
古本で、文庫のほうを手に入れました。
(上巻1989年5刷、下巻1991年6刷)

小さめの活字で読みにくいのが難点ですが、
訳文そのものは、
40年以上前の翻訳であることを感じさせない、
読みやすい文章だったので、
英文で意味の取りにくいところを確認するのに役立ちました。


  ***

今回手に取るまでまったく知らなかったので、

ヒュー・ロフティング
(Hugh Lofting, 1886-1947)の
「ドリトル先生」シリーズのような、
動物とお話をするファンタジーかと思っていたのですが、
読んでびっくり。

1930年代のイギリスで、大学を卒業し、
小さな村の獣医としてキャリアをはじめた
ヘリオットが、動物たちと格闘する日々を、
ユーモアを交えながら活き活きと描いてありました。

日本でいえば、
畑正憲(はたまさのり, 1935年4月)
の作品に似ている印象で、
生命力にあふれる独特の筆致にどんどん惹き込まれました。

獣医に興味があるような若い人が読むと、
強く影響を受けそうな作品だと思いました。

動物のノンフィクションものがお好きな方は、
ぜひ読んでみることをお薦めします。


※第183冊目。総計1,862,113語。


にほんブログ村 本ブログ 洋書へ

2018年5月30日水曜日

【182冊目】Shakespeare, Romeo and Juliet(Ladder Series Level 2)

やさしい英語の本、通算182冊目は、
IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル2(1300語レベル)の20冊目として、

イングランドの劇作家
ウィリアム・シェイクスピア
(William Shakespeare, 1564年4月-1616年4月)の
戯曲『ロミオとジュリエット』を読みました。

推定創作年は1594-6年、
初版は1597年とされているので、
シェイクスピア30代初めの作品ということになります


William Shakespeare
Romeo and Juliet
(ロミオとジュリエット)

Retold by Nina Wegner

〔Ladder Series Level 2〕
IBC Publishing,Inc. 2011年12月
11,070語

2014年4月に
オックスフォード・ブックワームの
ステージ2(700語レベル 6,306語)で、

2016年7月に
ペンギン・リーダーズの
レベル3(1200語レベル 13,684語)で読んでいるので、

やさしい英語で3回目の
『ロミオとジュリエット』になりました。


  ***

語彙レベルは少し上がっていますが、
総語数が2500語ほど減っているからか、
前回よりずっと読みやすい印象で、
あらすじを手際よくまとめてありました。

日本では『ロミオとジュリエット』の
題名こそよく知られていますが、

実際に舞台を観たり、
台本を読んだりしている人は案外少ないはずなので、

高校生くらいで、
初めてどんな作品なのかと
読んでみるのにちょうどよい内容だと思いました。

整然とまとめられている分、
読んで感動するかはわかりませんが、
あらすじの確認にはもってこいだと思います。


  ***

翻訳は使わなくても読めましたが、年のため、
となりに河合祥一郎(かわいしょういちろう)訳の
角川文庫をおいて読み進めました。


河合祥一郎(かわいしょういちろう)訳
『新訳 ロミオとジュリエット』
(角川文庫、2005年6月◇196頁)

個人的には、
表紙絵があまり好みに合わないのと、
活字が小さいめなのが難点なのですが、

実際に舞台で演じることを想定して、
声を出しながら読んでいくと、
一番しっくりくるのが河合訳であることが多いので、
シェイクスピアで河合訳が出ている場合は、
迷わず河合訳を手に取るようになっています。


※第182冊目。総計1,845,303語。


にほんブログ村 本ブログ 洋書へ

2018年5月16日水曜日

【181冊目】S.E.Hinton, The Outsiders(Ladder Series Level 2)

やさしい英語の本、通算181冊目は、
IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル2(1300語レベル)の19冊目として、

アメリカ合衆国の小説家
スーザン・エロイーズ・ヒントン
(Susan Eloise Hinton, 1948年7月22日- )
のデビュー作『アウトサイダーズ』を読みました。

ヒントンが15歳から16歳にかけて書き上げ、
18歳の時(1967年4月)に出版された作品です


 S.E.Hinton
The Outsiders
(アウトサイダーズ)

〔Ladder Series Level 2〕
IBC Publishing,Inc. 2005年8月
21,030語 ※編訳者の記載なし。

ラダー・シリーズの目録を眺めているうちに、
偶然目に留まった作品です。

全く知らなかったので調べてみると、

ヒントンが高校生の時に執筆。
出版されるとすぐに全米で評判を得て、
一気にベストセラーとなった小説であることがわかりました。

今なお読みつがれて
「青春小説のバイブル」ともいえる存在であって、
いわゆるヤング・アダルト小説の先駆けといえる作品だそうで、

この機会に読んでみることにしました。

※主に唐沢則幸「訳者あとがき」(『アウトサイダーズ』あすなろ書房、2000年5月)284頁を参照。


  ***

十代特有のやり場のない感情が、
ところどころ暴発しながら、
最終的に正しい方向へと収束していく様を、
危うくも程良いバランスで描いてみせる、
よく出来た作品だと思いました。

やさしい英語に直されているのですが、
当時の若い人たちが用いたのであろう
砕けた口語表現がそれなりに出て来るので、
ところどころ意味が取りにくかったです。

ラダーシリーズは巻末にワードリストがあって、
知らない単語を調べるのに役立つのですが、
熟語はあまり周到に上げていないことが多いので、
気になるものはインターネットで調べ直しました。

高校生くらいの時に読むと、
一番響きそうな内容でしたが、
横に翻訳を置いておかないと、
意味を取るのに多少苦労するかもしれません。


  ***

翻訳は以下の3点を確認できました。


清水真砂子(しみずまさこ)訳
『アウトサイダーズ』
(大和書房、1983年5月◇218頁)


中田耕治(なかたこうじ)訳
『アウトサイダー』
(集英社文庫、1983年6月◇328頁)


唐沢則幸(からさわのりゆき)訳
『アウトサイダーズ』
(あすなろ書房、2000年5月◇287頁)

試しに唐沢訳を手に入れたところ、
読みやすいこなれた訳文で、すらすら読み通すことができました。

ほかの方のは未見なので、
同じく読みやすい仕上がりかもしれません。

機会があれば手に入れて読んでみようと思います。


※第181冊目。総計1,834,233語。


にほんブログ村 本ブログ 洋書へ

2018年4月30日月曜日

【180冊目】Ian McLellan Hunter, Roman Holiday(Ladder Series Level 2)

やさしい英語の本、通算180冊目は、
IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル2(1300語レベル)の18冊目として、

アメリカ合衆国の映画監督
ウィリアム・ワイラー
(William Wyler, 1902-1981)が監督を務め、

1953年8月に米国公開された
映画『ローマの休日 Roman Holidayの小説版を読みました。


Ian McLellan Hunter
Roman Holiday(ローマの休日)

Retold by Nina Wegner
〔Ladder Series Level 2〕
IBC Publishing,Inc. 2011年2月
10,000語


この映画の台本は、
イギリスの脚本家
イアン・マクレラン・ハンター
(Ian McLellan Hunter, 1915-1991)
が執筆し、

撮影に際して、
イギリスの脚本家
ジョン・ダイトン
(John Dighton, 1909-1989)
が編集を加えたものとされてきました。

 ハンターは
 1953年のアカデミー最優秀原案賞
 (Academy Award for Best Story)を、

 ハンターとダイトンは、
 1953年のアカデミー脚色賞
 (Academy Award for Writing Adapted Screenplay)を受賞しています。

しかし実際は、
アメリカ合衆国の脚本家
ダルトン・トランボ
(Dalton Trumbo, 1905-1976)
がもとの脚本を執筆していたことが知られており、

トランポはレッド・パージの影響で、
名前を明らかにして仕事ができない状況だったので、
ハンターが自分の名前をかしていたことが、
後に明らかにされたため、

 1992年に改めて、トランポに
 1953年のアカデミー最優秀原案賞
 が贈呈され、ハンターの名は削除されることになりました。

つまり台本については、
原案(脚本)
 ダルトン・トランボ
脚本(脚案)
 イアン・マクレラン・ハンター
 ジョン・ダイトン
の3名を想定するのが正しい認識ということになります。


  ***

近くに映画館がなかったので、
映画をそれなりに観るようになったのは、
20代前半を過ぎて、過去の名画が
DVDで出回るようになってからのことでした。

『ローマの休日』は、
映画を観るようになってすぐに嵌った作品で、
半世紀前の映画が、まったく色褪せず、
瑞々しい感動を呼び起こすことに驚かされました。

今でも1作だけ好きな映画をあげるなら、
迷わず上げるくらい好きな作品なので、

今回、小説版を読むことで、
変にがっかりさせられても嫌だなと思っていたのですが、

映画から逸脱することなく、
やさしい英語で忠実に展開がたどられていたので、
映画の場面場面を思い出しながら、
楽しんで読み進めることができました。

この場合、
映画を観るのが一番手っ取り早いと思いますが、
映画の台本の対訳がいくつか出版されており、

手元には、
『ローマの休日 ROMAN HOLIDAY 』
(マガジンハウス〔cine-script book〕1992年2月)
が置いてあります。

そのほか探してみると、
日本語の小説に翻案しているものも見つかったので、
2点手に入れてみました。


池谷律代(いけやりつよ)訳
『ローマの休日』
(ソニーマガジンズ、1998年7月◇295頁)


百瀬しのぶ(翻案)
『ローマの休日』
(ソニーマガジンズ〔ヴィレッジブックス〕2001年12月◇251頁)

池谷氏の方には「訳」とありますが、
ざっと通読した限りでは、映画の脚本をもとに、
本格的な小説風に翻案してあるようなので、
「編訳」とするのが正しいでしょう。

「あとがき」に出版の経緯が
一切記されていないので詳細は不明ですが、

池谷氏は竹書房文庫などで、
映画の脚本をもとに翻案した小説を多数手がけ、
そちらには「編訳」とあるものも多いので、
池谷氏による翻案小説と推測しておきます。

百瀬氏の方は、映画に忠実に、
わかりやすい日本語で語り直した翻案です。

やさし過ぎるように思われましたが、
今回のやさしい英語を読む際には、
一番役に立ちました。


※第180冊目。総計1,813,203語。


にほんブログ村 本ブログ 洋書へ

2018年4月28日土曜日

【読了】ディケンズ著〔加賀山卓朗訳〕『オリヴァー・ツイスト』(2017年刊行)

イギリスの小説家
チャールズ・ディケンズ
(Charles Dickens, 1812年2月7日-1870年6月9日)の
小説『オリヴァー・ツイスト Oliver Twistを読みました。

1837年2月から1839年4月まで〔25-27歳〕
ディケンズ自ら初代編集長を引き受けた月刊誌
『ベントリーズ・ミセラニー Bentley's Miscellany
に分冊掲載され、

単行本は雑誌の掲載が終わるより早く、
1838年11月に3巻本で刊行されました。

その後、
版を重ねるたびに改訂が加えられ、
1867年に刊行された版が、
ディケンズによる最終稿となりました。

※Wikipediaの「チャールズ・ディケンズ」「オリバー・ツイスト」の項目(日本語版と英語版)を参照。


  ***

翻訳はいろいろ出ていますが、

今回は
『二都物語』の画期的に読みやすい翻訳で感銘を受けた
加賀山卓朗(かがやまたくろう)氏によるディケンズ第二弾として
『オリヴァー・ツイスト』の翻訳が出ましたので、
加賀山訳で読んでみることにしました。


加賀山卓朗(かがやまたくろう)訳
『オリヴァー・ツイスト』
(新潮文庫、2017年5月◇728頁)
 ※月刊誌に掲載時の原稿を底本とする。
  訳者あとがき(727・728頁)参照。


一年前に刊行されてすぐに購入したのですが、
忙しくて読む暇がありませんでした。

お盆休みの頃にあらすじだけでも知っておこうと、

ポーランド出身の映画監督
ロマン・ポランスキー(Roman Polanski, 1933年8月18日- )
による映画『オリバー・ツイスト Oliver Twistをみて感動し、
これはぜひ読まねばと思いましたが、
その後さらに忙しくなり、

落ち着いたのは
受験の季節も過ぎてからのことだったので、
ゴールデンウィーク中に読もうと思って再び手に取ってみたところ、

3分の1をこえたあたりから一気に速度を増して、
ゴールデンウィークを待つことなく、
4月末までに読了することができました。

確かにこれはおもしろい!

どちらかといえば、
陰惨で暗い話が続くのですが、
ディケンズの性格によるものか、
根本的な部分で人生に絶望しない、
芯の強さ、心持ちを明るくさせる所があって、

わくわくどきどきしながら、
頁をどんどん繰っていく充実感を久しぶりに味わうことができました。

映画で観た時よりも、
圧倒的な臨場感があって、
ディケンズの筆の冴えも感じることができました。

大著なので、
それほど繰り返し読む暇はないかもしれませんが、
少し時間を置いてから、
これはぜひ再読したいと思いました。


  ***

加賀山訳のほかにも、
次のような翻訳が見つかりました。


・馬場孤蝶(ばばこちょう)訳
 『オリヴァー・ツウィスト』
 (改造社〔世界大衆文学全集9〕1930年1月)
  ※改造社〔世界大衆文学名作選集17〕1939年11月に再録。


・松本泰(まつもとやすし)
・松本恵子(まつもとけいこ)共訳
 『漂泊の孤児』
 (中央公論社〔ヂッケンス物語全集1〕1936年10月)


・片山昌造(かたやましょうぞう)訳
 『オリバー・ツイスト』
 (大日本雄弁会講談社〔世界名作全集56〕1953年7月)


・鷲巣尚(わしのすひさし)訳
 『オリヴァ・トウィスト(上・下)』
 (角川文庫、1953年8・10月)


・中村能三(なかむらよしみ)訳
 『オリバー・ツイスト(上・下)』
 (新潮文庫、1955年。改版 2005年12月。
  1955年版の原題『オリヴァ・ツイスト』)
  ※初出は『オリヴァ・ツイスト』(新潮社、1953年9月)。


・本多季子(ほんだすえこ)訳
 『オリヴァ・ツウィスト(上・下)』
 (岩波文庫、1956年6月)


・松本恵子(まつもとけいこ)訳
 『オリバーの冒険』
 (小学館〔少年少女世界名作文学全集32〕1963年8月)


・北川悌二(きたがわていじ)訳
 『オリバー・ツイスト(上・下)』
 (角川文庫、2006年1月◇413・372頁)
  ※文庫の各巻末に
   「この作品は一九七一年十一月、
    日本メール・オーダー社より刊行されました」とあるが、
   この版については詳細不明。

   インターネット上では、
    『オリヴァ・トウィスト(続)』(三笠書房、1968年)
    『オリヴァ・トウィスト』(三笠書房、1971年)
    『オリヴァ・トウィスト(1・2)』(三笠書房、1972年)
   の3種が見つかるが、こちらも詳細は不明。

  このほか、
    『オリヴァー・トウィスト』
    (日本ブック・クラブ〔世界文学全集11〕1974年7月)
  に再録もされている。


・小池滋(こいけしげる)訳
 『オリヴァー・トゥイスト(上・下)』
 (ちくま文庫、1990年12月)
  ※初出は講談社〔世界文学全集13〕1970年5月。
   その後、講談社文庫(1971年)に再録。
   その他、学習研究社〔世界文学全集9〕1977年11月に再録。


・本多顕彰(ほんだあきら)訳
 『オリバー・ツウィスト』
 (あかね書房〔少年少女世界の文学5〕1971年5月)


・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『新訳 オリヴァー・トゥイスト』
 (あぽろん社、2009年10月◇546頁)


この中で、
 新潮文庫の中村能三(なかむらよしみ)訳
 角川文庫の北川悌二(きたがわていじ)訳
の2つは手元に置いてあります。

どちらも丁寧なわかりやすい訳文で、
とくに北川訳は、加賀山訳よりも
やさしく噛み砕いた表現を用いているので、
中学生向けに大きめの活字で再刊されれば、
今でも需要があるように感じました。

加賀山訳は、
恐らく中学生では語彙の面で多少難しいように思いますが、
大人にとってほどほどに読みやすいレベルの語彙で、
日本語の文章のリズム感を重視して翻訳してあるので、
最初のとっかかりをつかめば、
あとはすいすい読み進めることができました。

個人的には、
 ちくま文庫の小池滋(こいけしげる)訳
が気になっているので、
次に読む機会があれば、
小池訳に挑戦しようと思っています。



にほんブログ村 本ブログ 洋書へ