2022年1月18日火曜日

最近買った本(研究報告の代わりに)

年末年始、論文執筆が思うように進まなかったので、その代わりとして秋から冬にかけて購入した専門書をいくつか紹介します。近くに大きな図書館がないので、毎月1、2冊、古本で安値がつくのを待って少しずつ購入しています。

細谷勘資著
細谷勘資氏遺稿集刊行会編
『中世宮廷儀式書成立史の研究』
(勉誠出版、2007年2月◇520頁)
※ここ数年、一番購入したかった1冊です。めったに市場に出ないので困っていたところ、12月のはじめに比較的安値で出ているのに気づき、急いで購入しました。遺稿集のため全体的な総論を欠いており、独特の取っ付きにくさはありますが、この分野で欠かすことのできない論文ばかりなので、田島公氏の諸論文と合わせて熟読し、研究史の正確な把握につとめたいです。

国書逸文研究会編
『国書逸文研究』1~30号
(1978年8月~1997年10月)
※かなり安値で出ていたので思わず購入しました。全巻揃えるつもりはなかったのですが、論文執筆のときに意外と必要なので、手元にあれば助かります。

そのほか同じく古書で、
朧谷寿著『堀河天皇吟抄 院政期の雅と趣』
(ミネルヴァ書房、2014年11月◇291頁)
佐藤全敏著『平安時代の天皇と官僚制』
(東京大学出版会、2008年2月◇407頁)
目崎徳衛著『貴族社会と古典文化』
(吉川弘文館、1995年2月◇291頁)
渡辺直彦著『日本古代官位制度の基礎的研究 増訂版』
(吉川弘文館、1978年10月◇590頁。初版は1972年10月)
など。新刊では
古藤真平著『宇多天皇の日記を読む』
(臨川書店、2018年7月◇270頁)
堀井佳代子著『平安宮廷の日記の利用法』
(臨川書店、2017年7月◇270頁)
遠藤慶太著『平安勅撰史書研究』
(皇學館大学出版部、2006年6月◇332頁)
などを購入しました。
近々手に入れたいのが、
前田育徳会尊経閣文庫編
『尊経閣善本影印集成66 台記』
(八木書店、2017年8月◇280頁)
明治大学除目書刊行委員会編
『明治大学図書館所蔵 三条西家本 除目書』
(八木書店、2021年5月◇344頁)
の2冊。『西宮記』研究に直接関わりそうなのは『台記』のほうですが、値段的に『除目書』のほうが先になりそうです。

2022年1月15日土曜日

黒猫騒動(新年のご挨拶)

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
年末年始は、論文執筆に少し時間を割きたいなと思っていたところ、十一月の後半に我が家の黒猫が事故にあい、治療にかかり切りになったため、研究はしばらくお休みせざるを得ませんでした。幸運に恵まれ、前より元気になって復活しましたので、事の顛末をまとめてみました。

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   黒 猫 騒 動
 忙しさも落ち着いてきた十一月半ば、多少は研究に時間がさけるかなと思った矢先、春に家の軒先で産まれそのまま居ついていた黒猫が、おどけて来客の車の下に入り込みそのままひかれてしまうという一件がありました。
 月曜の朝、ぎゃんという鳴き声とともにかけていったきり、二日ほどそのまま見えなくなって、もう駄目かと思った水曜の昼過ぎにふと現れ、縁側でじっとしているのを見つけました。触ってみると下腹と後ろ脚をひどく擦りむいていたものの、折れている様子はありませんでした。カリカリや水を近づけても見向きもしなかったので、どうしたものかと思案しているうちにまた姿を消してしまいました。
 それから一日おいた金曜のお昼過ぎに、縁側の白い座布団のうえで重箱ずわりしているのを再発見。少しでも元気になっていればという期待に反し、今回は下腹部がぷっくりと膨れて見るからにしんどそう。水すら受け付けない。お腹の中のほうに問題があるのなら放っておいて治るはずはないので、せっかくここまで持ち堪えたのならと、近くの動物病院に連れて行くことにしました。
 半野良のため素直について来てくれるか心配でしたが、ほどよいサイズの洗濯かごを選んで、底にバスタオルを敷いて黒猫をのせてみたところ、さすがに飛び出す元気はない。車内でも静かなもので、そのまま病院の入口をくぐって診察をお願いすると、「小動物を連れてくる際は洗濯ネットに入れて来るのが決まり」と受付の方に言われました。その場で貸していただいたネットに黒猫を押し込んで、ようやく先生に診ていただくことができました。
 先生の診るところ、骨折はしておらず、お腹の様子も膀胱破裂など最悪の状況ではないとのこと。ヘルニアが疑われるものの、現状かなり衰弱しているので、まずは抗生剤で傷の悪化を抑えつつ、水分と栄養を補給して様子を見ることになり、注射を三本うってもらって自宅へ連れて帰りました。
 それから数日、病院で水分と栄養を補給してもらっては自宅で静養させる生活を続けたところ、注射のおかげかだんだん元気を取り戻し、しばらくしてオシッコをしているところも発見。腎臓系に問題がないことがわかってホッとしました。しかし依然として自分から水を飲んだり、カリカリを食べたりする様子はなく、お腹の傷も、水分を補給するようになったからか再び湿ってきて、傷口から体液が漏れてくるようになりました。
 事故にあって十日目、水曜のお昼ごろ、お腹の傷から何か膜のようなものが垂れ下がり、ぽたぽたと体液が漏れているのを発見しました。急いで病院に連れていくと、手術に耐えられるかまだ少し心配だが、このまま放っておけないからと、そのまま入院して手術することになりました。それから四時間半に及ぶ手術をどうにか乗り越えて、無事終了とのお電話をいただいたのが夜の九時過ぎ。さいわい傷は腸には達しておらず、ただその寸前まで色々傷んでいた部分を切除し、縫い合わせたとのこと。恐らくこれで良くなるはずだが、数日は予断を許さないと。
 それから一日置きに電話して様子をうかがうと、日に日に元気になっていく嬉しい報告が続きました。事故以来なくなっていた食欲も回復し、カリカリを食べてウンチもするようになって、ああこれで生きられるのかなと一息つくことができました。
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 さてこの黒猫、半野良なので名前はなかったのですが、初めて病院に行った日に名前を聞かれ、「まだない」というわけにもいかず、毛色のまま「クロです」と答えました。これ以降、彼女は家でも病院でも「クロ」「クロちゃん」と呼ばれる存在になりました。黒毛にありがちなのか、考え込んで思索にふけるのとは真逆で、誰にもフレンドリーで人懐こく、嫌なこともすぐに忘れるタイプ。車を怖がる様子もなく、日ごろの通院も楽なほう。ネアカな性格の猫がいることに驚かされる毎日でした。
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 入院生活は十日ほどで終わり、家に帰る日、同時に抜糸していただく予定が、縫い合わせたところがまだ湿っていたので抜糸のみ延期になりました。傷跡を舐めてしまわないように首に大きな青色のカラーをつけて、事故前より一回り小さくなったクロは、車に乗せられハイになって無事ご帰宅となりました。
 それから日に日に元気になっていくはずだったのですが、数日して傷跡が乾いてくると、体に溜まっていた悪いものが出る場所を失ったのか、下腹部がまたぷっくりとふくれてきました。オシッコがしづらそうかもと感じた翌日にはお腹が一層ふくれ、トイレに座っても何も出なくなってしまいました。気づいたのが夜遅くだったので翌朝まで一緒にいて注意していると、下腹部のさらに下の方が小さく裂けて、中から白い液体が一気に飛び出てきました。周りがベトベトになって大変でしたが、クロ本人はホッとした表情。少し時間を置いてたまっていた尿も大量に出て、一息つくことができました。
 翌朝病院に連れていくと、お尻の近くに二つ穴があいていて、治療が必要な状態。体内の悪いものが出切って傷が自然にふさがるまで、毎日通うことになりました。無事に治るか心配しましたが、入院前と比べれば遥かに元気はあって、家で毎日ご飯を食べて、仲間の猫と遊んでいるうちに、十日ほどで傷はふさがり、期待膨らむ年末となりました。
 年明けも変わらず元気でしたので、ようやく抜糸をしてもらい、ついでに体重を測ると二・七キロ。最初にかつぎこまれた時は二キロちょうどだったので、手術後ひと月ほどで七〇〇グラムほど重たくなったことになります。見た目も一回り大きくなって、自由に動けるようになった嬉しさからか、お尻ふりふりハイテンションで仲間の猫に飛びかかってこちらが冷や冷やするくらい。
 先日(一月十二日)ついに首のカラーが外れ、無事に全快の運びとなりました。良い獣医さんとの出会いに恵まれたことに感謝。

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というようなことがありました。

















1月6日のクロとその母親

2021年11月2日火曜日

愛知県図書館へ(研究報告)

 秋休みの最終日、家から1時間ほどかけて、愛知県図書館へ調べ物に行ってきました。

「青縹書」「青縹紙」の逸文を再検討する上で、『図書寮叢刊 御産部類記』をみる必要に迫られました。宮内庁書陵部のホームページ上に写真版が公開されていますが、翻刻が出ている以上、見ておくのが筋でしょう。いっそ購入しようかとも思いましたが、古書でまずまずの値がついていたので今回は見送りました。近くの図書館で検索をかけると、愛知県図書館に所蔵されていることがわかったので、この機会に拝見し、必要箇所をコピーして来ました。

『西宮記』と『北山抄』の関係を追求しようと、『北山抄』に手を広げたところ、『北山抄』の研究者として大江匡房の名が自然に上がってきました。今のところ『江家次第』そのものについて扱うつもりはないのですが、『江記』『江家次第』『江家年中行事』『年中行事秘抄』などの研究史だけでも正確に把握しておこうと代表的な論文をいろいろ味読中。昨年手に入れた『江記逸文集成』がここに来て役立っています。

今年は受験生の方に多く入塾していただいたため、論文の執筆に使える時間はごくわずかです。その分思案を巡らす時間をたくさんいただいたと思って、機が熟すまで検討を重ねます。

健康に気をつけて、いざ冬期講習の準備に。


2021年10月28日木曜日

【読了】下村湖人著『次郎物語 第一部』

下村湖人(しもむらこじん 1884-1955)氏の名作『次郎物語』が、岩波文庫にお目見えしたことを知り、購入したのは昨年夏のこと。中学生のころに学校の図書室で出会い、夢中で読んだ記憶が鮮やかに残る一冊です。それ以来、いずれ再読をと思っていました。

下村湖人(しもむらこじん)

『次郎物語 第一部』(岩波文庫、2020年4月)

※『次郎物語(第二部)』(ポプラ社文庫、1980年2月)所収「年譜」に、

  1936年1月(52歳)、『次郎物語』の執筆に着手。雑誌「青年」に連載。

  1938年8月(54歳)、『次郎物語』(後の次郎物語第一部)を脱稿。

  1941年2月(57歳)、『次郎物語』(後の第一部)を出版

 とある。年譜の編者について明記されていないが、「解説」執筆者の永杉喜輔(ながすぎきすけ)氏が作成されたものであろう。

美しい装丁にも惹かれ、読む気満々だったのですが、いざ読もうとすると活字の小ささが多少厳しく、第一部だけ買ってあとは「積ん読」状態になっていました。

今年に入って、昔読んだのと同じ版なら読みやすいのではと考え、挿絵の記憶を頼りに探してみたところ、ポプラ社文庫版『次郎物語』と一致することがわかりました。廃刊状態でしたが、古本を安値で見つけ、5冊セットで購入しました。こんな感じの表紙です。

























下村湖人(しもむらこじん)著

 『次郎物語(一部)』(ポプラ社文庫、1980年1月。294頁)

 『次郎物語(二部)』(ポプラ社文庫、1980年2月。286頁)

 『次郎物語(三部)』(ポプラ社文庫、1980年3月。252頁)

 『次郎物語(四部)』(ポプラ社文庫、1980年4月。302頁)

 『次郎物語(五部)』(ポプラ社文庫、1980年4月。322頁)


親しみやすい、漫画のようなタッチの次郎像は、ヒサクニヒコ(1944- )氏による「さし絵・装幀」で、個人的には『次郎物語』といえばこの表紙を思い出します。

ただいざ購入してみると、上下2段組に小さめの活字で、老眼が入りつつある身には読みづらく、再び「積ん読」状態になってしまいました。

それから間もなく、インターネット上の青空文庫にも『次郎物語』が収録されていることを知りました。携帯の無料アプリで拝見すると、大きな活字で実に読みやすい。本より軽く、前読んだところを勝手に開いてくれるのもお手軽で、空き時間を見つけ楽しく読み進めるうちに、いつの間にか読み終わっていました。

久しぶりに読んでみても、やはり面白く、幼少時の気難しい次郎の心うちが見事に描き出されていて、古さを感じさせない名作だと思いました。

当時は第三部あたりまで強く感銘を受け、その先はそれほどではなかった記憶もあるので、最後まで続くかはわかりませんが、飽きるまで続きを読んでいこうと思います。

2021年8月12日木曜日

暑中見舞(研究報告)

今年もありがたいことに、忙しい夏を送らせていただいています。夏期講習の折、論文に集中する時間はなかなか作れませんが、立ち止まってしまうことのないように、牛歩の日々を続けています。

「九条本『官奏抄』の成立」に関する「論文A」は、少し寝かせたほうがよい段階に来たので、しばらく棚上げすることにしました。その間、論文Aの中から『北山抄』の成立にかかわる部分を切り離し、「論文B」としてかたちにしていく予定です。論文A・Bはそれほど日を置かずに発表する必要があるので、論文Bのほうもそろそろ書き出すべきと考えました。

最近は『北山抄』の代表的な先行研究を精読したり、見落としていた論文の遠隔複写を国会図書館にたのんだり、基礎作業を積み重ねていました。『西宮記』と比べれば、『北山抄』のテキストの問題はある程度解決されているので、その内容を読み解く研究も蓄積されつつあるのが印象に残りました。『西宮記』もかくありたい。

この他、「雑類略説」についての再論、無追記本『西宮記』の成立に関する論文、『清涼記』と『新儀式』の関係についての論文など、ぜひとも書かねばならぬと思いつつ、まとまった執筆時間をとれないのが悩ましいところです。十余年先(引退後)の楽しみに取っておいても良いのですが、60をこえたらどれくらい頭が回るのかわからないので、できるだけ今のうちに形にしておきたいものです。

数日の休暇の後、夏期講習の後半へと、気を引き締めて参ります。