2022年8月15日月曜日

残暑お見舞

7月に入ってからは一息つく間もなく一気にお盆まで駆け抜けました。お盆は前半2日で区の会計、後半2日で弊社の会計を整理しました。

今年こそは論文執筆をと思い、仕事の量を多少へらすつもりでいたところ、春先に別の仕事が舞い込んできた結果、例年より忙しいくらいになりました。仕事がないのに比べればずっとありがたいのですが、それでは来年にと先送りしているうちに、論文を書けるほどには頭が回らなくなる年齢がふいにやって来るかもしれないので、今断れない仕事と、生きているうちに残しておきたい仕事とのバランスをどう考えるべきか、思案中。

そんな中、九条本『官奏抄』と永正本『官奏事』に関する論文Aは、春先に大体出来上がっていた「まえがき」の推敲をくり返した結果、ほぼ満足のいくものに仕上がりました。本論のほうも前より進展しました。今のところ、九条本『官奏抄』と「経頼卿青縹書」に検討を加える第1・2章、永正本『官奏事』についての拙論への批判に応える第3・4章の構成になりそうです。このうち第1・3・4章は研究再開後すぐに書き下ろした部分で、今は推敲を繰り返している段階です。第2章は頭の中で構成が仕上がりつつありますが、腰を落ちつかせてまとめる時間がほしいなあ。

春先に、現役を引退された方々の蔵書がいろいろ古本市場に出たおかげなのか、かなりの安値で史料を買い揃えることができました。懸案だった「故実叢書」の『西宮記』『北山抄』『江家次第』『儀式』『内裏式』『内裏儀式』を手元に置けたのが一番。ネット上で無料でも見られたのでつい後回しにしていたのですが、破格の安値で一括購入できました。「大日本古記録」の『小右記』『御堂関白記』『後二条師通記』と、「史料纂集」の『吏部王記』もまずまず安く。挙げ始めたら切りがないですが、次は「神道大系」の『江家次第』と『儀式・内裏式』、『侍中群要』にお目にかかりたい。

健康に気をつけながら、時期が来るのを待ちましょう。


2022年7月17日日曜日

【読了】江戸川乱歩著『青銅の魔人 私立探偵明智小五郎 』(新潮文庫 2022年刊行)

新潮文庫から、江戸川乱歩(えどがわらんぽ、1894年-1965年)の少年探偵団シリーズが出ていることに気がつきました。六七質(むなしち)氏の新しい格好良いカバー装画に惹き寄せられました。調べてみると、現在5冊刊行されていました。

『怪人二十面相 ―私立探偵 明智小五郎―』
(新潮文庫、2016年9月刊行)

『少年探偵団  ―私立探偵 明智小五郎―』
(新潮文庫、2016年12月刊行)

『妖怪博士   ―私立探偵 明智小五郎―』(2017年3月刊行)
『青銅の魔人  ―私立探偵 明智小五郎―』(2022年2月刊行)
『地底の魔術王 ―私立探偵 明智小五郎―』(2022年4月刊行)

10年近く前に、乱歩の文章のわかりやすさに感心し、少年探偵団のシリーズを一通り読もうと志したものの、3冊目迄(『妖怪博士』)で中断していました(ブログ2013年3月)。今回また初めから読むと、同じくらいで飽きが来そうだったので、未読の作品『青銅の魔人』を読んでみることにしました。

江戸川乱歩著
『青銅の魔人 私立探偵 明智小五郎』
(新潮文庫、2022年2月◇173頁)

新潮文庫の巻末に、『江戸川乱歩全集』第15巻(光文社文庫、2004年2月)を底本に用いたと明記していたので、同全集の解題(644頁)を参照したところ、全集の本文は、月刊誌『少年』(光文社)に1949年1月から12月まで連載されたのち、同11月に光文社「痛快文庫」の1冊として刊行されたものを底本とし、『少年探偵団全集⑤』(光文社、1955年2月、13版)と、『少年探偵団全集5』(光文社、1961年12月、初版)を対校に用いたと記してありました。

『江戸川乱歩全集 第15巻 三角館の恐怖』
(光文社文庫、2004年2月◇704頁)

また、光文社の1961年版について「内容的に重要な加筆・削除・訂正はない」が、「漢字をひらき、読点を減らしている」と述べ、これが昔から馴染みのあるポプラ社版(1964年)の底本になったと記してありました。新潮文庫版を開くと、慣れ親しんだポプラ社版とは明らかに字の送り方に違いがあって、大人向けに装いを改めた感がありました。なぜなのか疑問でしたが、これで解決しました。

新潮文庫版が乱歩の初稿に近いすがたを伝えているのに対して、ポプラ社版は乱歩の最終稿を伝えていると言えるでしょう。実際、ポプラ社版のほうが読みやすく、乱歩の推敲の跡が明らかなので、乱歩本人による最終稿として、ポプラ社版の価値は今なお高いと思いました。現在、手に入りやすいのは次の2種です。

文庫版 少年探偵・江戸川乱歩 第5巻 青銅の魔人』
(ポプラ社、2002年5月。画家 佐藤道明)

『少年探偵 青銅の魔人』
(ポプラ文庫、2008年11月。挿画 柳瀬茂)

柳瀬茂(やなせしげる)氏の挿画が一番馴染み深く、もともと1964年7月にポプラ社から「少年探偵江戸川乱歩全集4」として刊行されました。(このときは第5巻が『大金塊』でした。)

話はそこまで大層なこともなく、むしろ微笑ましさを感じさせるようなトリックで、軽めの娯楽として読み進めることができました。一気に全冊読もうとは思いませんが、とりあえずあと1冊『大金塊』まで読めば、初期の5冊を読んだことになるので、夏の間に読もうと思います。

2022年5月10日火曜日

研究報告

3月後半に少し時間に余裕ができたので、懸案だった論文Aの「まえがき」をうまく整理することができました。拙論(『官奏事』の基礎的研究)への批判にお応えする論文で、反論に当たる部分を先にあらかた書き上げてから「まえがき」に取り組んだところ、思いのほか難航して筆が止まっていました。ただの反論では生産的でないので、『西宮記』研究史のうえにどう位置づけるられるのか考え出すとなかなか手短にはまとめられず、ほどほどの落とし所を見つけるのに手間取りました。わかりやすくするために、あと少し書き加えるべきかまだ少し迷っていますが、おおむね満足したので改めて本論に戻り、仕上げにかかります。

今年こそは論文執筆に時間を、と思って4月を迎えたところ、急遽、今年84になる父の代理として地元の区会計の仕事を引き受けることになりました。論文数本分の時間はこちらに回さざるを得なくなりそうですが、地方自治の現場に携われる機会はめったにないことなので、体を壊さないように気を配りつつ、興味を持って取り組もうと思っております。自分の会社の会計とはずいぶん違っていて面白いです。

ゴールデンウィークに入る少し前、論文Aとの関わりで第一・二輯だけ持っていた『禁裏・公家文庫研究』の第三・四・五・六輯を安値で手に入れました。定価では手が出ずに躊躇していたところ、半値以下で並ぶのを見つけて一気に購入しました。残るは第七・八輯を残すのみ。『西宮記』との直接な関わりはそれほどないのですが、そこからテーマを深化させていくときに必読の論文集となりそうです。


2022年5月9日月曜日

【読了】小沢章友作『三国志1-7』(講談社青い鳥文庫、2008-10年)

第7巻の前半まで読み終えたところで忙しくなり、一ヶ月ほど放置していましたが、ゴールデンウィーク中に残りを読み終えました。7巻ありますが、どれも150頁くらいで手短にまとめてあるので、すいすい読み進めることができました。記述があっさりしていて多少物足りなく感じるところもありましたが、ストーリーだけ追っても十分に濃い内容なので、全体の流れを知る良いきっかけになりました。

小沢章友(おざわあきとも)作/山田章博(やまだあきひろ)

『三国志1―飛龍の巻』(講談社青い鳥文庫、2008年12月◇156頁)


小沢章友(おざわあきとも)作/山田章博(やまだあきひろ)

『三国志2―風雲の巻』(講談社青い鳥文庫、2009年2月◇157頁)


小沢章友(おざわあきとも)作/山田章博(やまだあきひろ)

『三国志3―激闘の巻』(講談社青い鳥文庫、2009年4月◇157頁)


小沢章友(おざわあきとも)作/山田章博(やまだあきひろ)

『三国志4―火炎の巻』(講談社青い鳥文庫、2009年7月◇164頁)


小沢章友(おざわあきとも)作/山田章博(やまだあきひろ)

『三国志5―大願の巻』(講談社青い鳥文庫、2009年9月◇157頁)


小沢章友(おざわあきとも)作/山田章博(やまだあきひろ)

『三国志6―流星の巻』(講談社青い鳥文庫、2009年12月◇157頁)


小沢章友(おざわあきとも)作/山田章博(やまだあきひろ)

『三国志7―死生の巻』(講談社青い鳥文庫、2010年2月◇165頁)


惜しむらくは場面ごとの詳しい地図を欠いていることでしょうか。ただほかの児童向け『三国志』も似たようなものなので、地図つきのわかりやすい解説本を別に探したほうが良いかもしれないと思い、いろいろ手に取っているところです。


2022年4月1日金曜日

児童版『三国志』いろいろ

 ハリー・ポッターの続きを読むはずが、ふと『三国志』を読んでみたくなりました。といっても、羅漢中(らかんちゅう。14世紀中頃、元末期-明初頭を代表する作家)の歴史小説『三国志演義』を日本語でさらに噛み砕いたものになりますが、個人的に親しんだ吉川英治(よしかわえいじ)氏の小説と、横山光輝(よこやまみつてる)氏の漫画以外に、最近の児童向けに書き下ろされた版にはどのようなのがあるのか興味がわいてきました。

ざっと調べてみると、ほどほどの冊数で刊行されているものとして次の3種が見つかりました。

ポプラポケット文庫(全5冊、2015年1月

 三田村信行(みたむらのぶゆき)文、若菜等(わかなひとし)+Ki 絵

 ※もとはポプラ社から単行本で刊行(全5冊、2002年11月~03年4月)

講談社青い鳥文庫(全7冊、2008年12月~10年2月

 小沢章友(おざわあきとも)作、山田章博(やまだあきひろ)

集英社みらい文庫(全5冊、2011年4月~12年6月

 神楽坂淳(かぐらざかあつし)作、フカキショウコ 絵

読みやすさでは神楽坂淳氏(③)が際立っていますが、すぐに全冊手に入ったのは小沢章友氏(②)のだったので、そちらから読み始めました。②と③は総ルビなので、ひらがなさえ読めれば小学3年生くらいからでも読めそうです。

   ***

羅漢中の『三国志演義』にできるだけ忠実に、数冊で編訳されているものとして次の2種が見つかりました。

講談社青い鳥文庫(全1冊、1985年11月

 駒田信二(こまだしんじ)訳/井上洋介(いのうえようすけ)

岩波少年文庫(全3冊、2000年11月。1980年10月~11月

 小川環樹(おがわたまき)武部利男(たけべとしお)編訳

 /太田大八(おおただいはち)

 ※旧版は1980年10月~11月。


もう1冊、読みやすさ重視で『三国志』の解説本を探してみると、それこそいくらでも見つかるのでしょうが、基礎的な知識の整理に使えそうな1冊を。

集英社みらい文庫(全1冊、2016年12月

 奥山景布子(おくやまきょうこ)著、RICCA 絵


吉川英治氏も横山光輝氏も、手に取りさえすれば今でも現役の面白さだと思いますが、若い人向けにいろいろな『三国志』があり、それぞれに独特の魅力を放っているのは原作の魅力ゆえでしょう。それぞれ個人的な楽しみとして読み進め、適宜報告していこうと思っております。