2026年5月31日日曜日

【暗唱用86-90】『古今和歌集』巻第2 春歌下④[付・文法解析]

  86〈櫻のちるをよめる〉
                  凡河内躬恒
雪とのみふるだにあるを桜花いかにちれとか風の吹くらむ


 桜が散るのを詠んだ(歌)

             凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)

 ただ雪のように降っているだけであるが、
 「桜の花よ、どのように散れ」といって、
 風が吹いているのだろうか 



 ※桜 の[名詞+格助詞(主格)]
      →桜が

 ※ちる を[動詞(ラ四)連体形+格助詞(対象)]
      →散るのを

 ※よめ る[動詞(マ四)已然形+助動詞 り 連体形(完了)]
       →詠んだ(歌)


 ▼
 ※雪 と のみ[名詞+格助詞(引用・比況)+副助詞(限定)]
       →ただ雪のように

 ※ふる だに[動詞(ラ四)連体形+副助詞(最低限)] 
   ある を[動詞(ラ変)連体形+接続助詞(逆接)]
       →降るだけで十分なのに

 ※桜花[名詞]→桜の花よ

 ※いかに ちれ[副詞+動詞(ラ四)已然形]
   と か[格助詞(引用)+係助詞(疑問 ※係り結び)]
       →どのように散れというのか

 ※風 の[名詞+格助詞(主格)]
   吹く らむ[動詞(カ四)連体形
        +助動詞 らむ 連体形(現在推量 ※係り結び)]
         →風が吹いているのだろう】



87〈ひえにのぼりて帰りまうできてよめる〉
                   貫之
山たかみみつつわがこし桜花風は心にまかすべらなり


【 比叡山に登って、帰ってきて詠んだ(歌)

                   貫之(つらゆき)

 山が高いので、眺めながら私が登ってきた
 桜の花を、風はその心に任せて(散らして)いるようだ


 ※ひえ に[名詞+格助詞(場所)]→比叡山に

 ※のぼり て [動詞(ラ四)連用形+接続助詞(単純接続)
        →登って

 ※帰り まうで き て[動詞(ラ四)連用形+動詞(ダ下二)連用形(謙譲)
           +動詞(カ変)連用形+接続助詞(単純接続)]
            →帰って来て

 ※よめ る[動詞(マ四)已然形+助動詞 り 連体形(完了)]
       →詠んだ(歌)


 ▼
 ※山 たか み[名詞+形容詞(ク)の語幹+接尾語]
        →山が高いので

 ※み つつ[動詞(マ上一)連用形+接続助詞(継続・並行)]
   わ が こ し[代名詞+格助詞(主格)+動詞(カ変)連用形
         +助動詞 き 連体形(過去)]
          →見ながら私が来た

 ※桜花[名詞]→桜の花を

 ※風 は 心 に[名詞+係助詞(提示)+名詞+格助詞(基準・対象)]
   まかす べらなり[動詞(サ四)終止形+助動詞 べらなり 終止形(推定)]
        →風は心に任せて(散らして)いるようだ】




88〈題しらず〉
                   大伴黒主
春さめのふるは涙かさくら花ちるを惜しまぬ人しなければ



89〈亭子の院の歌合の歌〉
                   貫之
桜花ちりぬる風のなごりには水なき空に波ぞたちける



90〈ならのみかどの御歌〉
故郷となりにしならの宮こにも色はかはらず花はさきけり