2026年6月12日金曜日

【暗唱用91-96】『古今和歌集』巻第2 春歌下⑤[付・文法解析]

91〈春の歌とてよめる
                   良岑宗貞
花の色は霞にこめてみせずともかをだにぬすめ春の山かぜ

 春の歌として詠んだ(歌)

                    良岑宗貞(よしみねのむねさだ)

 花の色は霞のなかにとじこめて見せないとしても、
 せめて香りだけでも盗んでおくれ、春の山風よ


 ▽
 ※春 の 歌[名詞+格助詞(連体修飾)]→春の歌

 ※と て よめ る[格助詞+接続助詞+動詞(マ四)已然形
         +助動詞 り 連体形(完了)]
          →として詠んだ(歌)

 ※良岑宗貞(よしみねのむねさだ)。のちの僧遍照(へんじょう)。
   六歌仙(紀貫之が『古今和歌集』序で論評した六歌人)の一人。


 ▼
 ※花 の 色 は[名詞+格助詞(連体修飾)
        +名詞+格助詞(提示・対比)]
         →花の色は

 ※霞 に[名詞+格助詞(場所・状態)]
   こめ て[動詞(マ下二)連用形+接続助詞(単純接続・手段)]
       →霞の中に閉じ込めて

 ※みせ ず[動詞(サ下二)未然形+助動詞 ず 終止形(打消)]
   とも[接続助詞(逆接仮定)]
       →見せないとしても

 ※か を だに[名詞+格助詞(目的語)+副助詞(最小限の希望)]
   ぬすめ[動詞(マ四)命令形]
        →せめて香りだけでも盗んでおくれ

 ※春 の 山かぜ[名詞+格助詞(連体修飾)+名詞]
         →春の山風よ】



92〈寛平の御時きさいの宮の歌合のうた
                    素性法師
花の木も今はほりうゑじ春たてばうつろふ色に人ならひけり




※宇多天皇の母、光孝天皇の皇后 班子女王(はんしじょおう)が開かれた歌合


※素性法師(そせいほうし)。遍昭の子。三十六歌仙(藤原公任が『三十六人撰』で選んだ歌人)の一人。






93〈題しらず
                  読人しらず
春の色のいたりいたらぬ里はあらじさけるさかざる花のみゆらむ



94〈春の歌とてよめる
                    貫之
みわ山をしかもかくすか春霞人にしられぬ花やさくらむ



95〈うりんゐむのみこのもとに、
   花見に北山のほとりにまかれりける時によめる
                     素性
いざけふは春の山辺にまじりなむくれなばなげの花のかげかは



96〈春の歌とてよめる
いつまでか野べに心のあくがれむ花しちらずば千世もへぬべし