2017年8月21日月曜日

C.ブロンテ著『ジェイン・エア』翻訳目録(抄)

シャーロット・ブロンテ
(Charlotte Brontë、1816年4月-1855年3月)の
『ジェイン・エア Jane Eyre 』は、

光文社古典新訳文庫の
小尾芙佐(おびふさ)訳(2006年刊)に出会うまで
まったく知らなかった作品だったので、

翻訳もそんなに出ていないのだろうと
勝手に思い込んでいましたが、
調べてみると意外にたくさん見つかりました。

見落としているものも少なくないと思われますが、
取り急ぎ確認できた分をまとめておきます。


  ***

遠藤寿子(えんどうひさこ)訳
『ヂェイン・エア(上・下)』
(改造社〔世界大衆文学全集61・62〕1930年9月◇480・450頁)

 ⇒『ジェイン・エア(上・下)』
  (岩波文庫、1957年4・5月◇420・410頁)

  小野木学(おのぎまなぶ)絵
 ⇒『ジェーン・エア』
  (偕成社〔ジュニア版 世界文学名作選29〕1969年*月◇340頁)


十一谷義三郎(じゅういちやぎさぶろう)訳
『ジエィン・エア』
(新潮社〔世界文学全集 第2期5〕1931年8月◇506頁)

 ⇒『ジエィン・エア(上・下)』
  (新潮文庫240・241、1937年5・7月◇1-412/413-852頁)

 ⇒『ジエイン・エア(上・下)』
  (大泉書店〔新選世界文学集〕1947年9月◇**頁)

 ⇒『ジェイン・エア』
  (河出書房〔世界文学全集〕1950年*月◇495頁)

 ⇒『ジェイン・エア』
  (河出書房〔世界文学全集 第1期5〕1954年*月◇527頁)
   ※他に「嵐ヶ丘」を併録。

 ⇒「ジェイン・エア」
  (河出書房新社〔世界文学全集23 特製豪華版〕1961年11月◇527頁)
   ※他に「嵐ヶ丘」を併録。


大久保康雄(おおくぼやすお)訳
『ジェーン・エア』
(岡倉書房、1947年9月◇267頁)

 ⇒『ジェーン・エア(上・下)』
  (三笠書房〔世界文学選書81・82〕1951年7月◇264・298頁)
   ※(三笠書房〔世界映画化名作全集2〕1951年*月◇264・298頁)


 ⇒『ジェーン・エア(上・下)』
  (新潮文庫、1953年2月・54年1月◇418・414頁)

 ⇒『ジェーン・エア物語』
  (三笠書房〔若草文庫 ポケットサイズ〕1956年*月◇195頁)

 ⇒『ジェーン・エア』
  (新潮社〔世界文学全集9〕1958年*月◇484頁)

 ⇒『ジェーン・エア』
  (三笠書房〔世界名作への招待6〕1967年11月◇471頁)

 ⇒『ジェーン・エア』
  (新潮社〔世界文学全集16〕1969年10月◇621頁)


永田義直(ながたよしなお)訳
『ジェーン・エア』
(万報新聞社、1950年*月◇260頁)


中河与一(なかがわよいち)訳
高畠華宵(たかばたけかしょう)絵
『嵐の孤児:ジェーン・エア』
(偕成社〔世界名作文庫95〕1954年*月◇294頁)


田部隆次(たなべりゅうじ)訳
『ジェーン・エイア(上・中・下)』
(角川文庫、1956・56・57年◇278・186・248頁)
 ⇒(角川文庫〔1冊本〕、1967年◇708頁)


阿部知二(あべともじ)訳
池田和夫(いけだかずお)絵
『ジェイン・エア』
(講談社〔世界名作全集102〕1955年◇331頁)
 
 ⇒『ジェイン・エア』
  (河出書房新社〔世界文学全集7〕1960年4月◇542頁)

 ⇒『ジェイン・エア』
  (河出書房新社〔世界文学全集6〕1964年8月◇487頁)

 ⇒「ジェイン・エア」
  (河出書房新社〔世界文学全集11 カラー版〕1966年6月◇609頁)
   ※他に「嵐が丘」を併録。

 ⇒『ジェイン・エア』
  (河出書房〔世界の文学5 ポケット版〕1967年7月◇542頁)

 ⇒『ジェイン・エア』
  (河出書房〔河出世界文学大系29 C.ブロンテ〕1980年11月◇544頁)

 ⇒「ジェイン・エア」
  (河出書房新社〔世界文学全集8〕1989年10月◇609頁)
   ※他に「嵐が丘」を併録。


榛葉英治(しんばえいじ)訳
武部本一郎(たけべもといちろう)絵
『ジェーン・エア』
(偕成社〔少女世界文学全集6〕1961年*月◇314頁)


岡上鈴江(おかのえすずえ)訳
小野沢亘(おのざわわたる)絵
『みなし子ジェーン』
(岩崎書店〔世界少女名作全集12〕1963年*月◇220頁)

 ⇒山田美年子(やまだみねこ)絵
  『ジェーン・エア:みなし子ジェーン』
  (春陽堂書店〔春陽堂少年少女文庫
    世界の名作・日本の名作2〕1976年10月◇270頁)

 ⇒『ジェーン・エア』
  (春陽堂書店〔春陽堂くれよん文庫〕1989年5月◇270頁)


田中西二郎(たなかせいじろう)訳
『ジェイン・エア』
(集英社コンパクト・ブックス〔世界の名作〕1964年10月◇382頁)

 ⇒『ジェーン・エア』
  (筑摩書房〔Chikuma Classics〕1978年1月◇548頁)


村岡花子(むらおかはなこ)訳
山中冬児(やまなかふゆじ)絵
『ジェーン・エア』
(岩崎書店〔ジュニア版 世界の文学1〕1967年2月◇314頁)

 ⇒『ジェーン・エア』
  (岩崎書店〔世界の名作文学1 新装版〕1985年*月◇314頁)


神山妙子(かみやまたえこ)訳
『ジェーン・エア(上・下)』
(旺文社文庫、1967年*月◇401・457頁)


上田健次郎(うえだけんじろう)訳
「ジェイン=エア」
(小学館〔少年少女世界の名作文学5 イギリス篇5〕1968年5月◇497頁)
 ※他に「名犬クルーソー」「水の子トム」「ワーズワース詩」
  「サイラス=マーナー」「ポンペイ最後の日」を併録。

 ⇒「ジェイン・エア」
  (小学館〔少年少女世界の名作文学3 イギリス編3-4〕1977年5月◇965頁)
   ※他に「名犬クルーソー」「水の子トム」「ワーズワース詩」
    「サイラス=マーナー」「ポンペイ最後の日」
    「ロビン=フッドの冒険」「フランダースの犬」
    「ふしぎな国のアリス」「黒馬物語」を併録。


吉田健一(よしだけんいち)訳
『ジェイン・エア』
(集英社〔世界文学全集22 綜合社編〕1968年月◇432頁)

 ⇒「ジェイン・エア」
  (集英社〔世界文学全集16 愛蔵版〕1972年月◇659頁)
   ※他に「嵐が丘」を併録。

 ⇒『ジェイン・エア』
  (集英社〔世界文学全集35〕1978年5月◇450頁)


 ⇒『ジェイン・エア』
  (集英社文庫、1979年1月◇650頁)


河野一郎(こうのいちろう)訳
『ジェイン・エア』
(中央公論社〔世界の文学10 C.ブロンテ〕1968年9月◇554頁)

 ⇒『ジェイン・エア』
  (中央公論社〔世界の文学セレクション36〕1994年6月◇554頁)


大井浩二(おおいこうじ)訳
『ジェイン・エア』
(講談社〔世界文学全集22 C.ブロンテ〕1974年*月◇582頁)


上田和夫(うえだかずお)訳
鈴木義治(すずきよしはる)絵
『ジェーン エア』
(集英社〔ジュニア版世界の文学7〕1974年*月◇294頁)


河野多恵子(こうのたえこ)訳
「ジェーン・エア」
(世界文化社〔世界の文学13 グラフィック版〕1978年*月◇183頁)
 ※他に「嵐が丘」を併録。


小池滋(こいけしげる)訳
『ジェイン・エア』
(みすず書房〔ブロンテ全集2〕1995年5月◇729頁)


花村えい子(はなむらえいこ)画
『ジェーン・エア』
(世界文化社〔マンガ世界の文学4〕1996年2月◇270頁)

 ⇒『ジェーン・エア ―愛は勇気、そして永遠』
  (双葉社〔双葉文庫 世界の名作シリーズ〕2001年10月◇273頁)


田中晏男(たなかやすお)訳
『ジェーン・エア(上・下)』
(京都修学社〔ブロンテ姉妹集4・5〕2002年8・12月◇503・488頁)




小尾芙佐(おびふさ)訳
『ジェイン・エア(上・下)』
(光文社古典新訳文庫、2006年11月◇500・588頁)


南亜希子(みなみあきこ)訳
『ジェイン・エア』
(ハーレクイン、2007年12月◇334頁)



河島弘美(かわしまひろみ)訳
『ジェイン・エア(上・下)』
(岩波文庫、2013年9・10月◇440・511頁)


侘美真理(たくみまり)訳
「ジェイン・エア 抄」
(桜庭一樹編『ブロンテ姉妹』集英社文庫
 〔ヘリテージシリーズ/ポケットマスターピース 12〕2016年11月◇782頁)

2017年8月14日月曜日

【162冊目】Charlotte Brontë, Jane Eyre (LS Level2)

やさしい英語の本、通算162冊目は、
IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル2(1300語レベル)の2冊目として、

イギリスの小説家
シャーロット・ブロンテ(1816年4月-1855年3月)の
小説『ジェイン・エア』を読みました。

シャーロット31歳の時(1847年10月)に出版された作品です。


Charlotte Brontë
Jane Eyre

Retold by Diane Gruenstein
〔Ladder Series Level2〕
IBC Publishing,Inc. 2005年8月
27,540語

『ジェイン・エア』はこれまで、
やさしい英語で2回読んで来たので、
今回は3回目の挑戦ということになります。

 多読の第1冊目(2011年9月)に
 マクミラン・リーダーズのレベル2
 (600語レベル/8,690語)、

 第67冊目(2014年3月)に
 ペンギン・リーダーズのレベル3
 (1,200語レベル/8,327語)。

今回、一気に3倍以上の語数になったので、
2週間ほどで読み終えられるか心配だったのですが、

作品そのものの魅力にひっぱられ、
どんどん読み進めることができました。

原書よりはまだかなり圧縮されているわけですが、
3万語近くあるので、忘れかけていた主要なあらすじを、
改めて押さえ直すことができました。

ジェイン・エアの孤独に立ち向かう力強い人物像に、
深く心を動かされました。


  ***

今回どんな話だったかなと、
昔読んだ小尾芙佐(おびふさ)氏の翻訳を携えて、
読み進めました。


小尾芙佐(おびふさ)訳
『ジェイン・エア(上・下)』
(光文社古典新訳文庫、2006年11月)

今でも十分読める訳文で、
英文の理解に役立ちました。

しかし小尾訳の7年後に刊行された
河島弘美(かわしまひろみ)訳も手元において読み比べてみると、

よりいっそう整理され、冷静で知的な、
わかりやすい訳文に仕上がっていると感じました。
次に読むときは河島訳にしようと思っています。



河島弘美(かわしまひろみ)訳
『ジェイン・エア(上・下)』
(岩波文庫、2013年9・10月)

ただ訳文の読ませる勢いは、
小尾訳のほうがあるようにも思うので、
最終的には読み手の好みによりけり、
ということになるかもしれません。

いずれにしても恋愛小説好きの方には、
お薦めの1冊です。

妹エミリーの『嵐が丘』と比べれば、
よほど普遍的で正常な感覚に彩られているので、
恋愛小説の古典ともいわれるようですが、

実際に読んでみると、
かなり意外性に富んでいる場面も多々あって、
オースティンのようにお気楽に読める作品ではありません。

繰り返し読むに足る、
魅力にあふれた傑作だと思います。


※第162冊目。総計1,554,313語。

2017年7月31日月曜日

サン=テグジュペリ著『星の王子さま』翻訳目録(抄)

◎サン=テグジュペリ著『星の王子さま』翻訳目録(抄)

やさしい英語で『星の王子さま』を読んだのを機会に、
現在刊行されている翻訳について調べてみました。

本業が忙しく、
図書館などで現物を確認できない立場にいるので、
未見のものも含まれています。

今後、適宜修正を加えていく予定です(2017年8月20日)


  ***

サン=テグジュペリ著
内藤濯(ないとうあろう)訳
『星の王子さま ― プチ・プランス』
(岩波少年文庫53、1953年3月◇159頁)

 ⇒『星の王子さま』
  (岩波少年文庫2010、改版、1976年3月◇161頁)

 ⇒『星の王子さま』
  (岩波少年文庫001、新版、2000年6月◇175頁)

 ⇒『星の王子さま』
  (岩波書店〔岩波の愛蔵版1〕1962年月◇140頁)

 ⇒『星の王子さま』
  (岩波書店〔岩波世界児童文学集1〕1993年4月◇161頁)


 ⇒『星の王子さま』
  (岩波文庫、2017年7月◇224頁)


小島俊明(こじまとしあき)訳
『新訳 星の王子さま』
(中央公論新社、2005年6月◇112頁)

 ⇒『星の王子さま』
  (中公文庫、2006年3月◇149頁)


三野博司(みのひろし)訳
『星の王子さま』
(論創社〔Ronso fantasy collection 1〕2005年6月◇142頁)


倉橋由美子(くらはしゆみこ)訳
『新訳 星の王子さま』
(宝島社、2005年7月◇158頁)


 ⇒『新訳 星の王子さま』
  (宝島社文庫、2006年6月◇165頁)


山崎庸一郎訳
『小さな王子さま』
(みすず書房、2005年8月◇119頁)


池澤夏樹(いけざわなつき)訳
『星の王子さま』
(集英社、2005年8月◇125頁)


 ⇒『星の王子さま』
  (集英社文庫、2005年8月◇143頁)

 ⇒『絵本 星の王子さま』
  (集英社、2006年10月●69頁)

 ⇒『星の王子さま』
  (岩崎書店、2009年10月●60頁)
   ※ポップアップ(しかけ)絵本


川上勉(かわかみつとむ)・
廿樂美登利(つずらみどり)訳
『プチ・プランス ― 新訳 星の王子さま』
(グラフ社、2005年10月◇199頁)


藤田尊潮(ふじたそんちょう)訳
『小さな王子 ― 新訳『星の王子さま』』
(八坂書房、2005年10月◇139頁)


石井洋二郎(いしようじろう)訳
『星の王子さま』
(ちくま文庫、2005年12月◇163頁)


辛酸なめ子(しんさんなめこ)訳・絵
『「新」訳 星の王子さま』
(コアマガジン、2005年12月◇127頁)


稲垣直樹(いながきなおき)訳
『星の王子さま』
(平凡社ライブラリー562、2006年1月◇179頁)



河野万里子(こうのまりこ)訳
『星の王子さま』
(新潮文庫、2006年4月◇158頁)


河原泰則(かわはらやすのり)訳
『小さな星の王子さま』
(春秋社、2006年5月◇175頁)


谷川かおる(たにがわかおる)訳
『星の王子さま』
(ポプラポケット文庫、2006年7月◇164頁)



野崎歓(のざきかん)訳
『小さな王子』
(光文社古典新訳文庫、2006年9月◇174頁)



三田誠広(みたまさひろ)訳
『星の王子さま』
(講談社青い鳥文庫、2006年11月◇189頁)


奥本大三郎(おくもとだいさぶろう)訳
『星の王子さま』
(白泉社、2007年10月●45頁)


浅岡夢二(あさおかゆめじ)訳
葉祥明(ようしょうめい)絵
『星の王子さま』
(ゴマブックス、2008年11月●99頁)

 ⇒『大活字名作シリーズ 星の王子さま』
  (ゴマブックス、2017年2月◇198頁)


たまだまさお漫画
『漫画で蘇る星の王子さま』
(PHP研究所〔クラシックcomic〕2009年3月◇160頁)



管啓次郎(すがけいじろう)訳
『星の王子さま』
(角川文庫、2011年6月◇158頁)


 ⇒西原理恵子(さいばらりえこ)絵
  『星の王子さま』
  (角川つばさ文庫、2011年6月◇172頁)

 ⇒『完訳絵本 星の王子さま』
  (KADOKAWA、2015年10月●77頁)


永嶋恵子(ながしまけいこ)訳
中村みつえ(なかむらみつえ)絵
『星の王子さま』
(KKロングセラーズ、2013年3月◇239頁)


内藤あいさ(ないとうあいさ)訳
『星の王子さま』
(文芸社文庫、2013年9月◇137頁)


工藤直子(くどうなおこ)訳
『絵本で出会う 星の王子さま』
(ひさかたチャイルド、2015年11月●24頁)


ドリアン助川(どりあんすけがわ)訳
『星の王子さま』
(皓星社、2016年12月◇172頁)

2017年7月24日月曜日

【161冊目】Saint-Exupéry, The Little Prince(LS Level2)

やさしい英語の本、通算161冊目は、
IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル2(1300語レベル)の1冊目として、

フランスの作家
サン=テグジュペリ
(Antoine de Saint-Exupéry, 1900年6月-1944年7月)の
小説『星の王子さま Le Petit Prince 』を読みました。

著者42歳の時(1943年4月)に刊行された作品です。


Antoine de Saint-Exupéry
The Little Prince

Retold by Miki Terasawa(寺沢美紀)
〔Ladder Series Level2〕
IBC Publishing,Inc. 2007年7月
14,600語


『星の王子さま』の名は小さなころから知っていましたが、
最近までちゃんと読まないで来ました。

何度か、内藤濯(ないとうあろう)氏の
有名な翻訳を手に取ることはありましたが、
独特の世界観に共鳴できなかったからなのか、
訳文の読みにくさに違和感があったからなのか、
最後まで読み切ることはありませんでした。

2005年以降、
新訳がたくさん出始めたのを受けて、
もう一度読んでみようと思っていたころに、
倉橋由美子(くらはしゆみこ)氏の翻訳に出会いました。



倉橋由美子訳
『新訳 星の王子さま』
(宝島社文庫、2006年6月)
 ※初出の単行本は宝島社、2005年7月。  

どこもよくわかるように、
曖昧さのない現代の日本語に翻訳されてあって、
納得しながら最後まで読み進めることができました(2014年8月読了)。

今回、
倉橋訳をもう一度読み返してみたところ、
わかりやすくはあるのですが、
多少詩情に乏しいようにも感じました。

最近これは良いのではと思って、
読みかけで手元に置いてあるのが
野崎歓(のざきかん)氏の翻訳です。

まだざっと目を通しただけですが、
元から日本語で書かれたかのような、
洗練されたセンス溢れる訳文に仕上っていると思います。


野崎歓(のざきかん)訳
『小さな王子』
(光文社古典新訳文庫、2006年9月)


  ***

今回やさしい英語で読んでみると、

倉橋訳で読んだ時よりも一層、
作品の深みが伝わって来て、
大きな感銘を受けました。

思っていたよりもずっと
哲学的な含みのある作品で、

生きること、死ぬことの意味、
愛する喜びと、失う哀しみなど、
奥深いテーマが筆者のやわらかな心で、
みずみずしく捉えられていました。

元はフランス語なので、
原文に取り組む機会は今のところなさそうですが、

今後いろいろな翻訳を手に取って、
度々読み返していきたい作品になりました。


※第161冊目。総計1,526,773語。

2017年7月10日月曜日

【160冊目】H.G.Wells, The Island of Doctor Moreau (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算160冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の24冊目として、

イギリスの作家
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(Herbert George Wells, 1866年9月-1946年8月)の
小説『モロー博士の島』を読みました。

ウェルズ29歳の時(1896年4月:英国、同年8月:米国)に刊行されたSF小説です。


H.G.Wells
The Island of Doctor Moreau

Retold by Fiona Beddall
〔Penguin Readers Level 3〕
This edition first published by Penguin Books Ltd 2007
13,226語

まったく知らなかった作品ですが、
ウェルズの名が気になって調べてみると、

『タイムマシン』や『透明人間』などのSF小説で知られる
H・G・ウェルズの代表作の一つであることを知り、
読んでみることにしました。

『タイムマシン』も『透明人間』も、
書名を知るのみで読んだことがなかったので、
今回が初ウェルズということになりました。


  ***

翻訳を調べてみると、
意外にたくさん出ていました。

 ※藤本直樹編「H・G・ウェルズSF作品邦訳書誌」(中村融訳『モロー博士の島』創元SF文庫、1996年9月所収)をもとに適宜修訂を加えた。一色訳と西原訳を今回付け加えてある。


木村信次(きむらしんじ)訳
『モロオ博士の島』
(アルス〔アルス・ポピュラアー・ライブラリー 第10〕1924年10月◇243頁)


土屋光司(つちやこうじ)訳
『モロー博士の島』
(三邦出版社、1941年7月◇247頁)


宇野利泰(うのとしやす)訳
「モロー博士の島」
『世界大ロマン全集 第7巻 透明人間』
(東京創元社〔世界大ロマン全集7〕1956年12月◇384頁)
 ※「透明人間」「タイムマシン」「モロー博士の島」の計3編を収録。

 ⇒『H・G・ウェルズ短篇集 第3 モロー博士の島』
  (早川書房〔ハヤカワSFシリーズ〕1962年6月◇219頁)に再録。
   ※「ダイヤモンドをつくる男」 「ダイナモの神」
    「盗まれた肉体」 「蜘蛛の谷」
    「妖精の国のスケルマーズデイル君」
    「モロー博士の島」 の計6編を収録。

 ⇒『H・G・ウェルズ傑作集1 モロー博士の島』
  (ハヤカワ文庫、1977年11月◇297頁)に再録。
   ※同上の6編を収録。


一色次郎(いっしきじろう)訳
西村保史郎(にしむらやすしろう)絵
『モロー博士の島』
(偕成社〔名作冒険全集19〕1958年1月◇206頁)


西原康(にしはらこう)訳
小野田俊(おのだとし)絵
「モロー博士の島」
『少年少女宇宙科学冒険全集11 タイム・マシン』
(岩崎書店、1961年月◇214頁)
 ※「タイム・マシン」「モロー博士の島」の計2編を収録。


能島武文(のじまたけふみ)訳
『モロー博士の島 ―他二篇』
(角川文庫、1967年8月◇302頁)
 ※「モロー博士の島」「妖星」「イーピヨルニスの島」の3編を収録。


橋本槙矩(はしもとまきのり)訳
『改造人間の島』
(旺文社〔旺文社文庫〕1977年8月◇193頁)
 ※「改造人間の島」 「魔法の園」 「王様になりそこねた男」
  「怪鳥エピオルニス」の計4編を収録。

 ⇒橋本槙矩・鈴木万里(すずきまり)訳
  『モロー博士の島 ―他九篇』(岩波文庫、1993年11月◇339頁)に再録。
   ※「エピオルニス島」 「蛾」 「紫色のキノコ」
    「パイクラフトの真実」「ブラウンローの新聞」
    「故エルヴィシャム氏の物語」 「マハラジャの財宝」
    「デイヴィドソンの不思議な目」 「アリの帝国」
    「モロー博士の島」の10編を収録。


中村融(なかむらとおる)訳
『モロー博士の島』
(東京創元社〔創元SF文庫〕1996年9月◇238頁)


雨沢泰(あめざわやすし)訳
『モロー博士の島』
(偕成社文庫、1996年8月◇287頁)


中村融訳と雨沢泰訳を手に入れました。

中村訳は大人向けの手堅い訳、
雨沢訳は小学校高学年くらいからでも大丈夫な、
読みやすさ重視の訳文でした。

とりあえず内容を知りたい場合は、
雨沢訳で十分だと思いますが、

じっくり味わいたい場合は、
中村訳のほうを好まれるかもしれません。


  ***

やさしい英語で読んでみて、
あまり好きな分野ではなかったのですが、

英文自体はわかりやすく
あらすじを追っていくことができ、
それなりに面白く、
最後まで読み終えることができました。

最新の科学をテーマにした作品は、
時代の推移とともに、かえって古臭さを感じやすくなるようで、
もっと他の作品も読んでみたいと思わせる深い魅力は残念ながら感じませんでした。

ただまだ1度読んだだけですので、
今後読み返すうちに、
大人の寓話としての価値を見出だせるようになるかもしれません。

かの『フランケンシュタイン』と似た作品ともいえますが、
『フランケンシュタイン』ほど主人公の心の内面へ深く切り込んでいくことがないので、
その分読みやすい作品ではありました。

初ウェルズの感想はこんな感じです。


※第160冊目。総計1,512,173語。