2025年7月1日火曜日

【読了】与謝野晶子訳『源氏物語』第10・11・12帖「賢木」「花散里」「須磨」

 与謝野晶子(よさのあきこ。1878-1942)氏による現代語訳『源氏物語』。6月は、

  第10帖「賢木(さかき)」〈https://amzn.to/3ZYosqv
  第11帖「花散里(はなちるさと)」〈https://amzn.to/44KX6GY
  第12帖「須磨(すま)」〈https://amzn.to/44HIpUZ

の3帖を読みました。まだまだ半分にもほど遠く先は長いものの、久しぶりに「須磨」まで辿り着きました。物語には苦難の一時期がないと面白みに欠けるので、「須磨」でだいぶ趣が変わって来ました。安和の変や菅原道真の左遷と同じようなものと記憶していたのですが、大事になる前に、自ら京都を離れる決断をしていたことを知り、驚きました。光源氏と同じような事例は当時あったのかな、と興味がわきました。

 与謝野『源氏』は、全帖「青空文庫」で読めます。青空文庫版の底本は『全訳源氏物語 上巻』(角川文庫、1971年8月、改版初版発行)の第56版(1994年12月発行)が用いられています。もともとは上田英代(うえだひでよ)氏が、古典総合研究所のHP上(http://www.genji.co.jp)に入力公開されていたものを、青空文庫形式に編集しなおしたものです。

 校正には第71版(2002年4月発行)が使用され、
  第10帖「賢木」は、
   小林繁雄氏が校正を担当し、
   2003年7月に青空文庫ファイルを作成。
  第11帖「花散里」は、
   kumi氏が校正を担当し、
   2003年7月に青空文庫ファイルを作成。
  第12帖「須磨」は、
   砂場清隆氏が校正を担当し、
   2003年7月に青空文庫ファイルを作成。
と、各巻末に明記されていました。

2025年6月18日水曜日

【読了】学研まんが『日本の歴史5 源氏と平氏 鎌倉時代・前期』(1982年3月)

 Kindle Unlimited で読む漫画版日本史。国学院大学名誉教授・文学博士(※1982年刊行当時)樋口清之(ひぐちきよゆき。1909~1997)監修、堀江卓(まんが)『学研まんが 日本の歴史5 源氏と平氏 鎌倉時代・前期』(学習研究社、1982年3月)を読みました。


樋口清之(監修)
堀江卓(まんが)
『学研まんが 日本の歴史5 源氏と平氏 鎌倉時代・前期』
(学習研究社、1982年3月)

 1 後白河法皇と平氏
 2 源頼朝の旗あげ
 3 平氏の滅亡
 4 鎌倉幕府始まる
 5 源氏がほろぶ
 6 実権をにぎる北条氏

の6章仕立て。中学の歴史教科書よりはるかに詳しく、高校で習う日本史をやさしく語り直した印象。樋口先生のよく練り込まれた講義を聴く感覚で、たいへん勉強になりました。日本史の軸を作るのに役立ちそうな構成の巧みさで、今後も繰り返し読みたくなりました。

 電子版の奥付には(学研教育出版、2011年10月 version1.0発行)と、またAmazonの説明書きには書籍版の「巻頭巻末資料は電子版では未掲載」とありました。

2025年6月15日日曜日

【読了】学研まんが『世界の歴史5 ローマの拡大と大将軍カエサル』(1993年2月)

 kindle unlimited で読む漫画版世界史。早稲田大学教授(※1992年刊行当時)長澤和俊(ながさわかずとし。1928~2019)監修、ムロタニツネ象(まんが)『学研まんが 世界の歴史 5 ローマの拡大と大将軍カエサル』(学習研究社、1993年2月)を読みました。


長澤和俊監修)
ムロタニツネ象(案・構成・まんが)
『学研まんが 世界の歴史 5 ローマの拡大と大将軍カエサル』
(学習研究社、1993年2月)

 1 ローマは一日にしてならず
 2 ポエニ戦争はじまる
 3 カエサル将軍とクレオパトラ
 4 ローマ帝国とキリスト教
 5 ゲルマン民族の大移動

の5章仕立て。塩野七生(しおのななみ)氏の『ローマ人の物語』で一通り読んだはずのところですが、これくらいコンパクトな方がわかりやすく、頭にも残りやすいように思われました。高校の世界史の授業を数倍わかりやすくしたような内容なので、若い頃にこのシリーズに出会っていたら良かったなと強く思いました。

 電子版の奥付には(学研教育出版、2015年4月 version1.0発行)とありました。Amazonの説明書きには、書籍版の「巻頭巻末資料は電子版では未掲載」ともありました。書籍版のほうは数年前に購入済みです。

2025年6月11日水曜日

【読了】ビキナーズ・クラシックス『土佐日記』(角川ソフィア文庫、2007年8月)

  Kindle Unlimited で『竹取物語』に続いて、紀貫之(きのつらゆき)著/西山秀人(にしやまひでと)『ビキナーズ・クラシックス 日本の古典 土佐日記(全)』(角川ソフィア文庫、2007年8月)を読みました。


紀貫之(きのつらゆき)
西山秀人(にしやまひでと)
『ビキナーズ・クラシックス 日本の古典 土佐日記(全)』
(角川ソフィア文庫、2007年8月)
 ※電子書籍は2011年10月に角川学芸出版より刊行。

 『土佐日記』の名を知らぬはずはありませんが、そういえばまともに読んだことはなかったなと思い、手に取りました。精読はまた別の機会として、原文はさっと目を通す程度に。現代語訳はしっかりと。寸評やコラムは端折りながら。

 素朴な味わいの中、すぐに思いついたのが松尾芭蕉の『奥の細道』。当然『土佐日記』の方がはるか昔の作品なので、芭蕉は『土佐日記』について何か触れているのかなと興味がわいて来ました。和歌が人々の生活のなかに深く浸透している様子が垣間見えたのもおもしろい。歌をひねり出すのに苦労して、みながそんなに上手く詠めるわけでもないことが知られるのは、今の我々と同じだと安心しました。

 平安時代の漢文日記については多少研究して来ましたが、文学としての平安時代の「日記」にも一通り目を通しておかなければと思い、さっそく新潮日本古典集成本の『土佐日記』を注文しました。

2025年6月8日日曜日

【読了】ビキナーズ・クラシックス 『竹取物語』(角川ソフィア文庫、2001年9月)

 Kindle Unlimited で『ビキナーズ・クラシックス 日本の古典 竹取物語(全)』(角川ソフィア文庫、2001年9月)を読みました。表紙には角川書店編とあるだけですが、ブックカバーのそでに「武田友宏(たけだともひろ)」氏の略歴を掲げてあり、「はじめに」の文末にも「平成十三年七月 古典茶房 武田 友宏/協力 前田 恵美」とあることから、主な編者は武田友宏氏とみて問題ないでしょう。


角川書店編
『ビキナーズ・クラシックス 日本の古典 竹取物語(全)』
(角川ソフィア文庫、2001年9月)
 ※電子書籍は2011年9月に角川学芸出版より刊行。

 平安時代に刊行された日本の古典は、あらすじだけでもざっと一通り目を通しておきたいと思い、まずは『竹取物語』から読んでみました。毎年中1の国語で一部を取り上げますが、そういえば全体を読んでいなかったなあと思い、とりあえず、わかりやすい現代語訳がついていて全文が読めるものを探してみました。

 原文はさっと目を通す程度に。現代語訳はしっかりと。寸評やコラムは端折りながら。予想していたよりも巧みに構成された文章で、無理することなく最後まで興味深く読み終えることができました。御伽草子のようなイメージでいましたが、もう少し作為の跡が明らかな印象。馴染みのある官職名がいろいろと出て来たので、作者の推測などしたら面白そうですが、恐らくそんな研究は尽くされているのでしょう。

 これは原文をそばに置いておきたいと思ったので、新潮日本古典集成本の『竹取物語』を注文しました。


2025年6月5日木曜日

【読了】学研まんが『世界の歴史 4 古代中国文明と秦の始皇帝』(1992年5月)

    kindle unlimited で読む漫画版世界史。早稲田大学教授(※1992年刊行当時)長澤和俊(ながさわかずとし。1928~2019)監修、ムロタニツネ象(まんが)『学研まんが 世界の歴史 4 古代中国文明と秦の始皇帝』(学習研究社、1992年5月)を読みました。


長澤和俊監修)
ムロタニツネ象(案・構成・まんが)
『学研まんが 世界の歴史 4 古代中国文明と秦の始皇帝』
(学習研究社、1992年5月)

 1 中国に国家が生まれる
 2 万里の長城を築く
 3 項羽と劉邦の争い
 4 シルクロードと張騫
 5 黄巾の乱がおこる

の5章仕立て。世界史のなかで中国史はまだ知っているほうですが、一素人に過ぎないので、高校の世界史の講義を聞く感覚で、楽しく読み進めることができました。漫画によって場面を具体的にイメージできるところ、わかりにくければ直ちに読み返せるところなどメリットが多いので、(時間がたっぷりある場合は)漫画による歴史の勉強はおすすめです。

 電子版の奥付には(学研教育出版、2015年4月 version1.0発行)とありました。Amazonの説明書きには、書籍版の「巻頭巻末資料は電子版では未掲載」ともありました。こちらも書籍版は数年前に購入済みです。

2025年6月3日火曜日

【読了】学研まんが『日本の歴史4 栄える貴族 平安時代』(1982年1月)

   Kindle Unlimited で読む漫画版日本史。国学院大学名誉教授・文学博士(※1982年刊行当時)樋口清之(ひぐちきよゆき。1909~1997)監修、大倉元則(まんが)『学研まんが 日本の歴史4 栄える貴族 平安時代』(学習研究社、1982年1月)を読みました。
樋口清之(監修)
大倉元則(まんが)
『学研まんが 日本の歴史4 栄える貴族 平安時代』
(学習研究社、1982年1月)

 1 平安京と桓武天皇
 2 政治のたて直し
 3 最澄と空海
 4 藤原氏と摂関政治
 5 藤原道長の栄え
 6 荘園の発達と人々のくらし
 7 武士のおこりと源氏・平氏
 8 院政が始まる
 9 保元・平治の乱

の9章仕立て。中学の歴史教科書よりはるかに詳しく、高校で習う日本史をやさしく語り直した印象です。『梅干と日本刀』や『逆・日本史』で昔懐かしい樋口先生のよく練り込まれた講義を聴く感覚で、たいへん勉強になりました。このシリーズは書籍でも揃えてあるので、一度と言わず、今後も繰り返し読みたいです。

 電子版の奥付には(学研教育出版、2011年9月 version1.0発行)と、またAmazonの説明書きには書籍版の「巻頭巻末資料は電子版では未掲載」とありました。

2025年6月1日日曜日

【読了】与謝野晶子訳『源氏物語』第7・8・9帖「紅葉賀」「花宴」「葵」

 与謝野晶子(よさのあきこ。1878-1942)氏による現代語訳『源氏物語』。5月は、

  第7帖「紅葉賀(もみじのが)」〈https://amzn.to/44XLgtJ
  第8帖「花宴(はなのえん)」〈https://amzn.to/3ZDF5Hx
  第9帖「葵(あおい)」〈https://amzn.to/3SxvRsF

の3帖を読みました。登場人物が増えてきてだんだんこんがらがってきましたが、まだ大丈夫。久しぶりだったからか「葵」の内容が記憶と違っていて、びっくりしました。でも実によく創り込まれた小説で、紫式部の小説家としての能力の高さに感服。

 与謝野『源氏』は、全帖「青空文庫」で読めます。青空文庫版の底本は『全訳源氏物語 上巻』(角川文庫、1971年8月、改版初版発行)の第56版(1994年12月発行)が用いられています。もともとは上田英代(うえだひでよ)氏が、古典総合研究所のHP上(http://www.genji.co.jp)に入力公開されていたものを、青空文庫形式に編集しなおしたものです。

 校正には第71版(2002年4月発行)が使用され、
  第7帖「紅葉賀」は、
   kompass 氏が校正を担当し、
   2003年7月に青空文庫ファイルを作成。
  第8帖「花宴」は、
   小林繁雄氏が校正を担当し、
   2003年4月に青空文庫ファイルを作成。
  第9帖「葵」は、
   kompass 氏が校正を担当し、
   2003年7月に青空文庫ファイルを作成。
と、各巻末に明記されていました。

2025年5月30日金曜日

【読了】まんがで読破『明暗』(イースト・プレス、2008年5月)

   今月はあと1冊、書名のみぞ知る夏目漱石(年月~年月)の小説『明暗(めいあん)を、Kindle Unlimited の漫画版で読んでみました。漱石は以前、ホーム社漫画文庫で『三四郎』『それから』『門』を読んで、まずはこの3冊をと思ったものの、結局『三四郎』を読んだ所で止まっております。『明暗』も遺作で未完ということしか知らないのですが、漫画でとりあえず読んでおこうと思います。

夏目漱石(原作)
バラエテティ・アートワークス(漫画)
『まんがで読破 明暗』

(イースト・プレス、2008年5月)
 ※電子版の巻末に「2021年4月1日 電子書籍版改訂」とあり。

『明暗』は『朝日新聞』誌上に1916年5月26日から同年12月14日まで、188回連載された所で漱石が病没したため未完に終わった作品です。単行本は1917年1月に岩波書店から刊行されました。読んでいて、そろそろ話が面白くなってきたな、と思ったところでプツリと物語が途切れてしまうので、この先どうなったのだろう、と思わせられる作品でした。原作はまたいずれ。

2025年5月27日火曜日

【読了】まんがで読破『破戒』(イースト・プレス、2007年7月)

  これも書名のみぞ知る島崎藤村(しまざきとうそん。1872年3月~1943年8月)の小説『破戒(はかい)を、Kindle Unlimited の漫画版で読んでみました。どんな作品なのかも知らなかったのですが、漫画でさっと読めるのなら読んでおこうと思いました。


島崎藤村(原作)
バラエテティ・アートワークス(漫画)
『まんがで読破 破戒』
(イースト・プレス、2007年7月)
 ※電子版の巻末に「2021年4月1日 電子書籍版改訂」とあり。

1906年3月に自費出版された藤村の最初の小説です。1897年に刊行された詩集『若菜集』の「初恋」くらいしか知らなかったので、差別問題に真正面から取り組んだ作品だとは思いませんでした。非難すべき対象がはっきりしているからか、わかりやすい内容で、最後まで興味深く読み進めることができました。明治期の作品であるからか、まだいずれかの党派性に傾くことはなく、今でも読める内容だと思いました。10代くらいで手にしていたら、夢中で読んでいたかもしれません。

2025年5月26日月曜日

【読了】学研まんが『日本の歴史3 奈良の都 奈良時代』(1982年1月)

  Kindle Unlimited で読む漫画版日本史。国学院大学名誉教授・文学博士(※1982年刊行当時)樋口清之(ひぐちきよゆき。1909~1997)監修、大倉元則(まんが)『学研まんが 日本の歴史3 奈良の都 奈良時代』(学習研究社、1982年1月)を読みました。


樋口清之(監修)
大倉元則(まんが)
『学研まんが 日本の歴史3 奈良の都 奈良時代』
(学習研究社、1982年1月)

 1 奈良に都を移す
 2 『古事記』と『万葉集』
 3 聖武天皇と光明皇后
 4 行基と大仏建立
 5 遣唐使と鑑真
 6 地方へ広がる朝廷の力
 7 厳しい税とくずれる班田制
 8 朝廷内部の争いと道鏡

の8章仕立て。こちらも中学の歴史教科書よりはるかに詳しい。高校で習う日本史をやさしく語り直した印象。樋口先生のよく練り込まれた講義を聴く感じで、たいへん勉強になりました。このシリーズは書籍でも揃えてあるので、一度と言わず、今後も繰り返し読みたいです。

 電子版の奥付には(学研教育出版、2011年8月 version1.0発行)と、またAmazonの説明書きには書籍版の「巻頭巻末資料は電子版では未掲載」とありました。

2025年5月25日日曜日

【読了】学研まんが『世界の歴史3 ヘレニズム文明とアレクサンドロス大王の遠征』(1992年10月)

   kindle unlimited で読む漫画版世界史。早稲田大学教授(※1992年刊行当時)長澤和俊(ながさわかずとし。1928~2019)監修、ムロタニツネ象(まんが)『学研まんが 世界の歴史3 ヘレニズム文明とアレクサンドロス大王の遠征』(学習研究社、1992年10月)を読みました。


長澤和俊監修)
ムロタニツネ象(案・構成・まんが)
『学研まんが 世界の歴史3 ヘレニズム文明とアレクサンドロス大王の遠征』
(学習研究社、1992年10月)

 1 アレクサンドロス、出陣
 2 世界のはて、インドへ
 3 東西を結ぶ合同結婚式
 4 大王、バビロンに死す
 5 ヘレニズム文化

の5章仕立て。1から4まで使ってアレクサンドロス大王の遠征について詳しく説明されていました。話題をしぼっているからか流れがつかみやすく、興味深く読み進めることができました。先日読んだ他社の漫画版世界史よりも内容が詳しく、そのまま高校世界史のわかりやすい講義を聴いている気分になりました。

 電子版の奥付には(学研教育出版、2015年3月 version1.0発行)とありました。Amazonの説明書きには、書籍版の「巻頭巻末資料は電子版では未掲載」ともありました。こちらも書籍版は数年前に購入済みです。

2025年5月24日土曜日

【読了】太宰治 著/森禀 画『漫画 人間失格』(文響社、2021年)

  先に「まんがで読破」シリーズの『人間失格』を読んで、想像してたよりあっさりした印象だったことから、一般向けに話を丸くした面があるのではないかと思い、もう1冊 Kindle Unlimited で読める漫画版『人間失格』を試してみることにしました。


太宰治(だざいおさむ)原作
森禀(もりりん)漫画
『漫画 人間失格』
(文響社、2021年5月)

読んでみるとこちらの方がていねいに全部を描いている印象ですが、「まんがで読破」の方も気になるほどの話の脱落があるわけではなく、大筋どちらを読んでも原作の魅力は伝わるように思いました。絵に毒があるのは「まんがで読破」の方。

やはり小説としてしっかり創り込まれていて、破綻のない点が気になりました。
これは人間であることの証明ではないのかと。

2025年5月23日金曜日

【読了】まんがで読破『人間失格』(イートン・プレス、2007年7月)

 Kindle Unlimited で読む 太宰治(だざいおさむ。1909年6月~1948年6月13日)の漫画版、2冊目は『人間失格』を読みました。題名からして読む気が失せてまったく読まずに来ましたが、マンガならすぐに読めるので、この際あらすじだけでも知っておこうと思い、挑戦しました。


太宰治 原作
バラエティ・アートワークス 漫画
『まんがで読破 人間失格』
(イースト・プレス、2007年7月)

 ※電子版の巻末に「2021年4月1日 電子書籍版改訂」とあり。

「人間失格」は雑誌『展望』の1948年6・7・8月号に連載されるとともに、同年7月に未完の小説「グッド・バイ」とあわせて筑摩書房から刊行されました。原稿自体は同年5月に脱稿し、翌6月13日に入水自殺を遂げているので、亡くなる1月前に完成された小説ということになります。

 読んでみると、芥川を読んでいたときのような精神の歪みを微塵も感じさせない、よく創り込まれた小説だと思いました。精神的にはまっとうな人物が、酒とクスリで体を壊し、廃人になっていく様が描かれていました。それなりにおもしろい作品ですが、読むならもう2、30年若いほうが良いような。でもどちらかといえば悪書ではあるので、あらすじだけでもう十分に感じました。


2025年5月22日木曜日

【読了】まんがで読破『斜陽』(イースト・プレス、2008年1月)

  これまで読んで来なかった作品を、マンガであらすじだけでも知られるのなら、良い機会だと思い、芥川龍之介を3冊読んで来ました。意外におもしろかったので、続いて太宰治(だざいおさむ。1909年6月~1948年6月)の小説『斜陽(しゃよう)の漫画版を Kindle Unlimited で読んでみました。破滅的な生き方に気後れをして、太宰は「走れメロス」以外ほぼ縁がありません。文章のうまさが際立っていることは気になりつつも、取っ掛かりをつかめぬまま今に至りました。


太宰治 原作
バラエティ・アートワークス 漫画
『まんがで読破 斜陽』
(イースト・プレス、2008年1月)

 ※電子版の巻末に「2021年4月1日 電子書籍版改訂」とあり。

「斜陽(しゃよう)は雑誌『新潮』の1947年7・8・9・10月号に連載された後、同年12月に単行本として新潮社から刊行され、ベストセラーとなりました。マンガでどんどん読み進められるからか、お昼の連続ドラマを見ているような間隔で、興味深く読み進めることができました。原文で改めて読みたいか、と問われれば、それほどの魅力は感じませんが、実際、何度もテレビドラマや映画にリメイクされているようなので、そちらはいずれ観てみたいと思いました。


2025年5月21日水曜日

【読了】まんがで読破『或阿呆の一生』(イースト・プレス、2009年12月)

   Kindle Unlimited による芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ。1892年3月~1927年7月)の漫画版。3冊目は「或阿呆の一生」「歯車」を収める1冊を読みました。

https://amzn.to/4kohS4c

芥川龍之介 原作
バラエティ・アートワークス 漫画
『まんがで読破 或阿呆の一生』
(イースト・プレス、2009年12月)
 ※電子版の巻末に「2021年7月25日 電子書籍版改訂」とあり。

「或阿呆の一生(あるあほうのいっしょう)は没後間もなく、雑誌『改造』1927年1月号に掲載。もとは51章の短い断片からなる自伝的な作品で、芥川の一生としてマンガでわかりやすく描き直されていました。芥川がここまでの心の闇を抱えて生きていたとは知らなかったので、あらすじだけでも知られて良かったです。好んで自分から読みたいと思う作風ではありませんが、芥川の晩年(とはいえまだ30代前半!)の作品に見られる精神的な歪みがどこから来たのかがわかり、たいへん興味深く読むことができました。

「歯車(はぐるま)」は亡くなる直前、雑誌『大調和』1927年6月号に第一章のみ掲載。没後『文藝春秋』1927年10月号に全章が掲載されました。精神の歪みをそのまま描写してあるので、私は好きではありません。マンガであらすじだけ知られれば十分に感じました。

 晩年の芥川の作品群から感じられる精神の歪みは根の深いもので、そうよそおっていた訳ではないように感じました。

2025年5月20日火曜日

【読了】まんがで読破『羅生門』(イースト・プレス、2007年10月)

   Kindle Unlimited で読める芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ。1892年3月~1927年7月)の漫画版。2冊めは「羅生門(らしょうもん)」「偸盗(ちゅうとう)」「藪の中(やぶのなか)」の3作を収める1冊を読みました。


芥川龍之介 原作
バラエティ・アートワークス 漫画
『まんがで読破 羅生門』
(イースト・プレス、2007年10月)
 ※電子版の巻末に「2021年4月1日 電子書籍版改訂」とあり。

「羅生門(らしょうもん)」は雑誌『帝国文学』の1915年11月号に発表された後、1917年5月に刊行された第1短編集『羅生門』(阿蘭陀書房)に収録されました。「偸盗(ちゅうとう)」は雑誌『中央公論』1917年4・6月号に発表されました。「藪の中(やぶのなか)」は雑誌『新潮』の1922年1月号に発表された後、1923年3月に刊行された短編集『将軍』(新潮社)に収録されました。

「羅生門」はさすがによく出来た作品。その続編ともいえそうな「偸盗」という作品があることは初めて知りました。この2作はぜひ原作で読み返してみたいと思いました。「藪の中」は、代表作の1つと言われているそうですが、多少入り組んだところがあって、原文だとわかりにくそう。とりあえず大体のストーリーが知られて助かりました。



2025年5月19日月曜日

【読了】マンガで読む名作『地獄変・河童』(日本文芸社、2009年7月)

  Kindle Unlimited で芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ。1892年3月~1927年7月)の漫画版はないかと探してみました。数学者岡潔(おかきよし。1901年4月~1978年3月)のエッセイで芥川龍之介を絶賛するのを見て以来、たびたび読む機会を持っているものの、いまださほどの魅力は感じられずに、読まずじまいの作品が多数。いっそ漫画でストーリーだけでも知られればと思い、手に取ってみました。


芥川龍之介 原作
地引かずや(じびきかずや)漫画
『マンガで読む名作 地獄変・河童』
(日本文芸社、2009年7月)

「地獄変(じごくへん)」は1918年5月1日から22日まで『大阪毎日新聞』『東京日日新聞』誌上に連載された後、翌年1919年1月に刊行された第3作品集『傀儡師(かいらいし)』に収録された作品。「河童(かっぱ)」は雑誌『改造』の1927年3月号に掲載された作品です。

 どちらもあまり好きではない作風。でも「地獄変」は本来、絵では描けないはずのものを文学に落とし込んでいるので、原作のほうが凄みを感じられるように思いました。「河童」はマンガで読めば十分な印象。ユーモアよりも、当時の追い詰められた作者の精神が映し出されているようで、その点興味を唆られる作品でした。

2025年5月18日日曜日

【読了】学研まんが『世界の歴史2 ギリシア文明とペルシア帝国の興亡』(1992年9月)

  kindle unlimited による漫画版世界史。早稲田大学教授(※1992年刊行当時)長澤和俊(ながさわかずとし。1928~2019)監修、ムロタニツネ象(まんが)『学研まんが 世界の歴史2 ギリシア文明とペルシア帝国の興亡』(学習研究社、1992年9月)を読みました。


長澤和俊監修)
ムロタニツネ象(案・構成・まんが)
『学研まんが 世界の歴史2 ギリシア文明とペルシア帝国の興亡』
(学習研究社、1992年9月)

 1 エーゲ文明おこる
 2 ギリシアの発展
 3 アッシリア帝国の嵐
 4 ペルシア大帝国
 5 東西対決ペルシア戦争
 6 アレクサンドロスの登場

の6章仕立て。漫画とともに文字の情報量もかなり多く、疎い分野だったので読み通せるか心配でしたが、電子版の恩恵か、一度に1、2章は難なく進んで数日で読み終えることができました。内容的には、最近のものよりよく練り込まれている印象。高校や予備校で学ぶ世界史の基本が、豊富な地図とともに学べるので、たいへん勉強になりました。中学生くらいまでにこのシリーズに出会っていたら良かったな。

 電子版の奥付には(学研教育出版、2015年3月 version1.0発行)とありました。Amazonの説明書きには、書籍版の「巻頭巻末資料は電子版では未掲載」ともありました。書籍版は数年前に購入済み。


2025年5月17日土曜日

【読了】学研まんが『日本の歴史2 大和の国ぐに 大和時代』(1982年1月)

  Kindle Unlimited で読む漫画版日本史。国学院大学名誉教授・文学博士(※1982年刊行当時)樋口清之(ひぐちきよゆき。1909~1997)監修、原島サブロー(まんが)『学研まんが 日本の歴史2 大和の国ぐに 大和時代』(学習研究社、1982年1月)を読みました。


樋口清之(監修)
原島サブロー(まんが)
『学研まんが 日本の歴史2 大和の国ぐに 大和時代』
(学習研究社、1982年1月)

 1 大和朝廷と国土の統一
 2 古墳文化
 3 蘇我と物部の争い
 4 聖徳太子の登場
 5 聖徳太子の政治
 6 大化の改新
 7 壬申の乱
 8 大宝律令ができる

の8章仕立て。漫画だけでなく文字の情報量がかなり多く、中学の歴史教科書よりはるかに詳しい。高校で習う日本史をやさしく一般向けに語り直した印象。よく練り込まれたわかりやすい講義を聴く感じで、たいへん参考になりました。

 電子版の奥付には(学研教育出版、2011年5月 version1.0発行)と、またAmazonの説明書きには書籍版の「巻頭巻末資料は電子版では未掲載」とありました。

2025年5月14日水曜日

【読了】角川まんが学習シリーズ『日本の歴史2 飛鳥朝廷と仏教』(2015年6月)

  山本博文(やまもとひろふみ。東京大学教授 ※2015年当時)氏の監修による角川まんが学習シリーズ『日本の歴史2 飛鳥朝廷と仏教 ●飛鳥~奈良時代』(KADOKAWA、2015年6月◇223頁)を読みました。偶然30年以上前の「学研まんが 日本の歴史」シリーズも一緒に読み始めることになったので、混乱しないか心配でしたが、おもむきがまるで違うので、どちらも興味深く読み進められています。最近の「角川まんが学習シーズ 日本の歴史」のほうが内容的にやさしく、多少物足りない印象もあるのですが、大きな流れをざっとつかむのにはこのほうが適しているのかもしれません。

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山本博文(やまもとひろふみ)監修
『日本の歴史2 飛鳥朝廷と仏教 ●飛鳥~奈良時代
(KADOKAWA、2015年6月◇223頁)

 第1章 仏教伝来と聖徳太子
  ・物部氏と蘇我氏の対立
  ・広がる仏教
  ・聖徳太子と新しい制度
  ・遣隋使 小野妹子

 第2章 大化の改新
  ・蘇我氏の繁栄
  ・中大兄皇子と中臣鎌足
  ・改新の詔
  ・白村江の戦い

 第3章 律令国家を目ざして
  ・壬申の乱
  ・律令国家のはじまり
  ・大宝律令
  ・平城京の完成

 第4章 奈良の都と大仏建立
  ・長屋王の変
  ・大仏の開眼
  ・遣唐使と鑑真
  ・称徳天皇と道鏡

2025年5月7日水曜日

【読了】学研まんが『日本の歴史1 日本のあけぼの 原始時代』(1982年1月)

  世界史と合わせて日本史の方も。

 国学院大学名誉教授・文学博士(※1982年刊行当時)樋口清之(ひぐちきよゆき。1909~1997)監修、伊東章夫(まんが)『学研まんが 日本の歴史1 日本のあけぼの 原始時代』(学習研究社、1992年7月)を読みました。


 1 縄文時代の発見
 2 縄文時代のくらし
 3 金属器といねが伝わる
 4 登呂の村見学
 5 弥生時代のくらし
 6 村から国へ
 7 邪馬台国と卑弥呼

の7章仕立て。こちらも漫画とともに文字の情報量がかなり多く、中学の歴史教科書よりはるかに詳しい。昔懐かしい樋口清之氏の監修だからか、説明が腑に落ちる内容で、わかりやすく感じました。3日ほどで楽々読み切ることができました。

 電子版の奥付には(学研教育出版、2011年5月 version1.0発行)とあり、Amazonの説明書きには書籍版の「巻頭巻末資料は電子版では未掲載」とありました。こちらは書籍版もすでに購入済なので、近々「巻頭巻末資料」にも目を通しておこうと思います。

2025年5月5日月曜日

【読了】学研まんが『世界の歴史1 古代文明のおこりとピラミッドにねむる王たち』(1992年7月)

 十年ほど前に古本屋で偶然1冊手にしてみると意外によく出来た内容だったので、いずれ読もうと少しずつ買い揃えていました。最近 kindle unlimited に全巻入ったのを知り、しばらくこちらの『学研まんが 日本の歴史』と『学研まんが 世界の歴史』を読み進めることにしました。

 まずは世界史の方から。早稲田大学教授(※1992年刊行当時)長澤和俊(ながさわかずとし。1928~2019)監修、ムロタニツネ象(まんが)『学研まんが 世界の歴史1 古代文明のおこりとピラミッドにねむる王たち』(学習研究社、1992年7月)を読みました。


 1 人類が出現する前
 2 人類の登場
 3 メソポタミア文明
 4 エジプト文明
 5 ユダヤ教の成立

の5章仕立て。漫画とともに文字の情報量もかなり多く、最近のものに比べて読みでがある印象でしたが、文字だけの概説書に比べれば十分読みやすく、週末だけで1冊読み終えていました。

 電子版の奥付には(学研教育出版、2015年3月 version1.0発行)とあり、Amazonの説明書きには書籍版の「巻頭巻末資料は電子版では未掲載」ともあったので、手持ちの書籍版を参照しようと思ったら、第1巻だけ未購入でした。手元に置いておきたいので、近々手に入れる予定。

2025年4月29日火曜日

【読了】J・K・ローリング著/松岡佑子訳『ハリーポッターとアズカバンの囚人』

 イギリスの小説家 J・K・ローリング(J.K.Rowling 1965年7月31日~ )が、1999年7月に Bloomsbury Publishing から発行した『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 Harry Potter and the Prisoner of Azkabanを Kindle Unlimited (2015年8月 電子書籍化)で読みました。ハリー・ポッター・シリーズの第3作目で、日本では松岡佑子氏の翻訳で、2001年7月に静山社から刊行されました。

  1年ぶりと思って調べてみたら、2023年4月に第2巻を読み終えていたので、2年ぶりの第3巻ということになりました。個人的には第2巻と同じく、静山社ペガサス文庫の2分冊版(2014年6月)で読もうと思い、購入してあったはずですが、今回探してみると見当たらない。電子版で読み終わってもまだ見つからないので、まだ買っていなかったのかもしれません。

 久しぶりの第3巻ですが、一度読み始めるとあっという間に最後まで読み終えていました。面白いことは間違いなく、小中学生のときなら一気に全巻読んでいたことでしょう。続きはまた来年。のつもりでいたら、電子版では第4巻の第1章まで収録されていて、つい読み始めてしまいました。面白そうなので、このまま読み進めようか思案中です。


2025年4月26日土曜日

【読了】与謝野晶子訳『源氏物語』第4・5・6帖「夕顔」「若紫」「末摘花」

 与謝野晶子(よさのあきこ。1878-1942)氏による現代語訳『源氏物語』。今月は、

  第4帖「夕顔(ゆうがお)」https://amzn.to/4d9fHz5
  第5帖「若紫(わかむらさき)」https://amzn.to/3RKIxvW
  第6帖「末摘花(すえつむはな)」https://amzn.to/3RLm55O

の3帖を読みました。与謝野『源氏』は、全帖「青空文庫」で読めるので助かります。青空文庫版の底本は『全訳源氏物語 上巻』(角川文庫、1971年8月、改版初版発行)の第56版(1994年12月発行)が用いられました。もともとは上田英代(うえだひでよ)氏が、古典総合研究所のHP上(http://www.genji.co.jp)に入力公開されていたものを、青空文庫形式に編集したものです。

 校正には第71版(2002年4月発行)が使用され、
  第4帖「夕顔」は、
   小林繁雄・鈴木厚司の両氏が校正を担当し、
   2003年4月に青空文庫ファイル作成。
  第5帖「若紫」は、
   Juki・多羅尾伴内の両氏が校正を担当し、
   2003年6月に青空文庫ファイル作成。
  第6帖「末摘花」は、
   門田裕志氏が校正を担当し、
   2003年7月に青空文庫ファイル作成。
と、各巻末に詳しいデータが明記されていました。

2025年4月21日月曜日

【読了】角川まんが学習シリーズ『日本の歴史1 日本のはじまり』(2015年6月)

 山本博文(やまもとひろふみ。東京大学教授 ※2015年当時)氏の監修による角川まんが学習シリーズ『日本の歴史1 日本のはじまり ●旧石器~縄文・弥生~古墳時代』(KADOKAWA、2015年6月◇223頁)を読みました。『世界の歴史』に続いて同じ出版社の『日本の歴史』を読んでいきます。のんびり読み進めているうちに、他の出版社からも新しいシリーズが出て来ているのですが、前から教室に置いてあるので、予定通り次は日本史の方を読んでいきます。読んでみると小学生、中学生にちょうど良く、高校生には多少やさしい印象でした。個人的にはもう少し詳しいほうが楽しめるのですが、入門書としてはこのほうが取っつきやすいのかもしれません。


山本博文(やまもとひろふみ)監修
『日本の歴史1 日本のはじまり ●旧石器~縄文・弥生~古墳時代』
(KADOKAWA、2015年6月◇223頁)

 第1章 日本列島の誕生と縄文の人びと
  ・旧石器時代の人びと
  ・たて穴住居と縄文土器
  ・磨製石器と貝塚
  ・狩りと採集

 第2章 弥生時代 ― 戦いのはじまり
  ・大陸から来た新しい技術
  ・稲作のはじまり
  ・戦いと環濠集落
  ・王の出現

 第3章 邪馬台国の女王卑弥呼
  ・奴国と金印
  ・卑弥呼の登場
  ・魏からの使い
  ・二人目の女王

 第4章 古墳作りと大和の大王
  ・海をこえた戦い
  ・古墳ができるまで
  ・国造磐井の反乱
  ・大和朝廷の発展


2025年3月31日月曜日

【読了】与謝野晶子訳『源氏物語』第1・2・3帖「桐壺」「帚木」「空蟬」

 久しぶりに『源氏物語』を読み返そうと思い、Kindle Unlimited で探してみると、以前挫折した谷崎潤一郎(たにざきじゅんいちろう)訳が全巻無料で読めることを知りました。今回は読めそうな気がして、少し読み進めてみましたが、やはり独特の難解さが気になって、読むのを止めてしまいました。いっそ原文でと思い、新潮日本古典集成『源氏物語』を古本で手に入れてみたところ、意外にそのままで楽しめることを知って驚きました。しかし、まだまだ読むのに現代語訳の3倍は時間がかかる状態でしたので、原文はしばらく先の楽しみに取っておくことにしました。

 現代語訳をいろいろ手に取ってみた中で、私にとって紫式部の天才的な文章の冴えを感じさせるのは、与謝野晶子(よさのあきこ)訳のみという結論に至り、久しぶりに再読することにしました。長編なので毎月読み終えた数帖をブログで報告していきます。3月は

  第一帖「桐壺(きりつぼ)」〈https://amzn.to/4kKUJct
  第二帖「帚木(ははきぎ)」〈https://amzn.to/4mx048S
  第三帖「空蟬(うつせみ)」〈https://amzn.to/45yWMfe

の三帖を読みました。「帚木」の前半が、自分にとってはそれほど面白い話と思えず、『源氏物語』を読むときの最初の壁になっていたのですが、ある程度ストーリーが頭に入ってきたからか、今回は何となく楽しみ方がわかったように感じました。

 与謝野『源氏』は、全帖「青空文庫」で読めます。青空文庫版の底本は『全訳源氏物語 上巻』(角川文庫、1971年8月、改版初版発行)の第56版(1994年12月発行)が用いられました。もともとは上田英代(うえだひでよ)氏が、古典総合研究所のHP上(http://www.genji.co.jp)に入力公開されていたものを、青空文庫形式に編集したものです。

 校正には第71版(2002年4月発行)が使用され、
  第1帖「桐壺」は、
   kompass 氏が校正を担当し、
   2003年4月に青空文庫ファイルを作成。
  第2帖「帚木」は、
   小林繁雄氏が校正を担当し、
   2003年4月に青空文庫ファイルを作成。
  第3帖「空蟬」は、
   砂場清隆氏が校正を担当し、
   2003年4月に青空文庫ファイルを作成。
と、各巻末に詳しいデータが明記されていました。

2025年3月30日日曜日

【読了】角川まんが学習シリーズ『世界の歴史20 現代文明とグローバル化』(2021年2月)

  羽田正(はねだまさし。東京大学名誉教授)氏の監修による角川まんが学習シリーズ『世界の歴史20 現代文明のグローバル化●一九九〇~二〇二〇年』(KADOKAWA、2021年2月◇223頁)を読みました。ようやく最終巻にたどりつきました。近年30年間に起こった事実を、穏当な語り口で大雑把にならべた印象で、自分が生まれ育ってきた時代を「歴史」として語ることの難しさを感じました。書かれた瞬間に再評価の対象となる「現代史」は、自分自身が生き証人でもある分、人の数だけ様々な語り口が成立しうるので、なるほど!と思わせるのはなかなか難しいと思いました。

 全巻を通して、文章や図表をもちいた解説は心持ち少なめで、マンガのみで世界史を語り尽くすことを目標としていたように感じました。事典的な使い方には向きませんが、「世界史」の取っかかりをつかむのに最適な企画でした。


羽田正(はねだまさし)監修
角川まんが学習シリーズ
『世界の歴史20 現代文明のグローバル化●一九九〇~二〇二〇年』
(KADOKAWA、2021年2月◇223頁)

 第1章 冷戦終結後の世界
  ・湾岸戦争
  ・中東和平の試み
  ・ユーゴスラヴィア内戦
  ・アパルトヘイトの終わり

 第2章 加速する人・モノ・カネの流れ
  ・WTO(世界貿易機関)の誕生
  ・チェチェン紛争
  ・グローバル経済
  ・反グローバリズム

 第3章 テロとの戦い
  ・9・11同時多発テロ
  ・イスラエルとパレスチナ
  ・リーマン=ショック
  ・中国の台頭

 第4章 世界と人々の未来
  ・東日本大震災
  ・アラブの春からシリア内戦へ
  ・揺れるEUとトランプ大統領誕生
  ・変化しつづける世界

 〔プロット執筆・監修〕
  第1・2・3・4章 紺野奈央
   寺田悠紀(てらだゆき。東京大学東京カレッジ特任研究員)

 〔カバー・表紙〕近藤勝也(こんどうかつや。スタジオジブリ)
 〔まんが作画〕樹生ナト(きおなと)
 〔シナリオ〕齊藤睦志(さいとうちかし。クラフトワークス)

2025年2月23日日曜日

【読了】角川まんがシリーズ『世界の歴史19 冷戦の終結と民主化運動』(2021年2月)

 羽田正(はねだまさし。東京大学名誉教授)氏の監修による角川まんが学習シリーズ『世界の歴史19 冷戦の終結と民主化運動●一九八〇~一九九〇年』(KADOKAWA、2021年2月◇223頁)を読みました。今月は大学と高校の入学試験、中学と高校の学年末試験が続いていたため、読書する時間はほとんど取れませんでしたが、何とか1冊読み終わりました。自分が生きてきた時代なのでいろいろ知っている気でいましたが、読めば初めて知ることもたくさん。良い勉強になりました。



羽田正(はねだまさし)監修
角川まんが学習シリーズ
『世界の歴史19 冷戦の終結と民主化運動●一九八〇~一九九〇年』
(KADOKAWA、2021年2月◇223頁)

 第1章 米ソ中心の世界秩序の崩壊
  ・軍縮と緊張緩和(デタント)
  ・レーガノミクスとアメリカ経済
  ・ゴルバチョフとペレストロイカ
  ・東欧革命とソ連の解体

 第2章 日米貿易摩擦とヨーロッパ経済
  ・ジャパン=バッシング
  ・プラザ合意と日本のバブル景気
  ・イギリス病とサッチャー首相
  ・日本のバブル崩壊と経済低迷

 第3章 アジアで高まる民主化運動
  ・朴政権と韓国経済の発展
  ・アジア諸国の開発独裁
  ・天安門事件
  ・東アジアの経済成長と通貨危機

 第4章 統合に向かうヨーロッパ
  ・シューマン=プラン
  ・ECの発足とEUへの進化
  ・イギリスのEC加盟
  ・ヨーロッパの経済停滞と地域統合


 〔プロット執筆・監修〕
  第1章 内田力(うちだちから。東京大学東洋文化研究所特任研究員)
  第2章 内田力(うちだちから。東京大学東洋文化研究所特任研究員)
  第3章 内田力(うちだちから。東京大学東洋文化研究所特任研究員)
  第4章 内田力(うちだちから。東京大学東洋文化研究所特任研究員)

 〔カバー・表紙〕近藤勝也(こんどうかつや。スタジオジブリ)
 〔まんが作画〕すずき孔(すずきこう)
 〔シナリオ〕青木健生(あおきたけお)

2025年1月28日火曜日

【読了】角川まんが学習シリーズ『世界の歴史18 冷戦と超大国の動揺』(2021年2月)

    羽田正(はねだまさし。東京大学名誉教授)氏の監修による角川まんが学習シリーズ『世界の歴史18 冷戦と超大国の動揺●一九五五~一九八〇年』(KADOKAWA、2021年2月◇223頁)を読みました。やっと自分が生まれた時代に入ってきました。個々に知っていたつもりでも、全体的な流れをバランスよく知っている訳ではないので、大まかな流れがわかりやすくまとめてあって、興味深く読み進めることができました。


羽田正(はねだまさし)監修
角川まんが学習シリーズ
『世界の歴史18 冷戦と超大国の動揺●一九五五~一九八〇年』
(KADOKAWA、2021年2月◇223頁)

 第1章 世界を揺さぶる超大国の対立
  ・スターリン批判と社会主義の動揺
  ・ベルリンの壁とキューバ危機
  ・キング牧師と公民権運動
  ・プラハの春と中ソ武力衝突

 第2章 中国 文化大革命と東アジアの発展
  ・中国の社会主義国家建設
  ・大躍進政策の失敗と毛沢東辞任
  ・日本・韓国・北朝鮮の経済成長
  ・文化大革命

 第3章 ベトナム戦争とアメリカの失敗
  ・南ベトナム独裁と解放民族戦線
  ・アメリカの介入 ― 北爆開始
  ・反戦運動とニクソンの外交交渉
  ・ベトナム戦争の終結と南北統一

 第4章 中東での戦争と革命
  ・エジプトのナセルと第二次中東戦争
  ・第三次中東戦争とPLO
  ・石油危機と中東和平
  ・イラン革命とイラン=イラク戦争


 〔プロット執筆・監修〕
  第1章 和田龍太(わだりゅうた。東海大学専任講師)
  第2章 久保亨(くぼとおる。信州大学特任教授)
  第3章 和田龍太(わだりゅうた。東海大学専任講師)
  第4章 寺田悠紀(てらだゆうき。東京大学東京カレッジ特任研究員)

 〔カバー・表紙〕近藤勝也(こんどうかつや。スタジオジブリ)
 〔まんが作画〕白井三二朗(しらいさんじろう)長月みそか(ながつき)
 〔シナリオ〕齊藤睦士(さいとうちかし。クラフトワークス)

2025年1月23日木曜日

【読了】角川まんが学習シリーズ『世界の歴史17 第二次世界大戦後の国際関係』(2021年2月)

   羽田正(はねだまさし。東京大学名誉教授)氏の監修による角川まんが学習シリーズ『世界の歴史17 第二次世界大戦後の国際関係●一九四五~一九五五年』(KADOKAWA、2021年2月◇223頁)を読みました。このシリーズは漫画のみですべてを説明しようとしているので、知っている時代についてはもう少し詳しく知りたくなりますが、バランス重視で個々にそれなりに知っていたはずの知識が横につながって、興味深く読み進めることができました。


羽田正(はねだまさし)監修
角川まんが学習シリーズ
『世界の歴史17 第二次世界大戦後の国際関係●一九四五~一九五五年』
(KADOKAWA、2021年2月◇223頁)

 第1章 国際連合の誕生
  ・太平洋憲章
  ・ブレトン=ウッズ体制
  ・国際連合の発足
  ・東西対立

 第2章 冷戦のはじまり
  ・鉄のカーテン
  ・マーシャル=プラン
  ・コミンフォルムの結成
  ・ベルリン封鎖とドイツ東西分裂

 第3章 日本・中国・朝鮮半島の戦後
  ・占領下の日本
  ・日本国憲法の公布
  ・中華人民共和国の成立
  ・朝鮮の分割占領と朝鮮戦争

 第4章 第三世界の自立への歩み
  ・アフリカの植民地独立
  ・インドとパキスタン
  ・イスラエル建国と第一次中東戦争
  ・ベトナム独立とインドシナ戦争


 〔プロット執筆・監修〕
  第1章 和田龍太(わだりゅうた。東海大学専任講師)
  第2章 北村厚(きたむらあつし。神戸学院大学准教授)
  第3章 久保亨(くぼとおる。信州大学特任教授)
  第4章 中尾沙希子(なかおさきこ。東京大学大学院総合文化研究科学術研究員)

 〔カバー・表紙〕近藤勝也(こんどうかつや。スタジオジブリ)
 〔まんが作画〕如月弘鷹(きさらぎひろたか)名古屋裕(なごやゆう)吉田健二(よしだけんじ)
 〔シナリオ〕齊藤睦士(さいとうちかし。クラフトワークス)

2025年1月20日月曜日

【読了】伊藤正徳著『大海軍を想う その興亡と遺産』(光人社NF文庫、新装版、2018年7月)

 伊藤正徳(いとうまさのり、1889年10月18日-1962年4月21日)著『連合艦隊の最後』に続いて、一連の戦記物第2作目『大海軍を想う』を読了しました。前著の367頁から大幅増の542頁でしたが、前著の勢いに乗って、また電子版の助けをかりて、無事に最後までたどり着きました。

 1956年03月『連合艦隊の最後』
 1956年12月『大海軍を想う』◯←
 1957年12月『軍閥興亡史 1』
 1958年05月『軍閥興亡史 2』
 1958年12月『軍閥興亡史 3』
 1959年09月『帝国陸軍の最後 第1 侵攻篇』
 1960年04月『帝国陸軍の最後 第2 決戦篇』
 1960年08月『帝国陸軍の最後 第3 死闘篇』
 1961年03月『帝国陸軍の最後 第4 特攻篇』
 1961年10月『帝国陸軍の最後 第5 終末篇』
 1962年06月『連合艦隊の栄光』

紙の本としてはこれまでに4回再刊されているようです。手元には④を置いてありますが、老眼が入り出した目には小さな活字がまあまあ辛いので、今回も電子版⑤を利用しました。電子版の存在がなければ、まず間違いなく最初の数十頁で挫折していたでしょう。活字を大きくできるのは本当にありがたい。

①伊藤正徳(いとうまさのり)著
 『大海軍を想う』
 (光人社、1956年12月◇523頁)
  ※①の刊行前に『産経時事』上に連載されていたようであるが、
   詳細は未調査。

②伊藤正徳(いとうまさのり)著
 『大海軍を想う』
 (光人社、1981年12月◇309頁)


③伊藤正徳(いとうまさのり)著
 『大海軍を想う その興亡と遺産』
 (光人社NF文庫、2002年4月◇542頁)
  ※④新装版、2018年7月。


⑤伊藤正徳(いとうまさのり)著
 『大海軍を想う』
 (ディスカヴァリー e パブリッシングカンパニー、ディスカヴァリーebook選書、2023年6月)
  ※電子版の底本については注記されていないが、恐らく①であろう。


次は少し時間を置いてから、『軍閥興亡史』か『帝国陸軍の最後』に挑戦する予定です。いったん読みかけの『世界の歴史』の残り数冊を読み終えます。