やさしい英語の本、通算207冊目は、
再びオックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1,400語レベル)の20冊目として、
スコットランド生まれの小説家
ロバート・ルイス・スティーヴンソン
(Robert Louis Stevenson, 1850年11月13日-1894年12月3日)
の小説『ジーキル博士とハイド氏 Dr Jekyll and Mr Hyde 』を読みました。
著者35歳の時(1886年1月)に、
イギリスの出版社(Longmans, Green & co.)から出版された作品です。
R. L. Stevenson
Dr Jekyll and Mr Hyde
Retold by Rosemary Border
〔Oxford Bookworms Stage 4〕
(c) Oxford University Press 2000
First published in Oxford Bookworms 1991
12,520語
やさしい英語では、
2018年3月に、
IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル2(1300語レベル 11,970語)
で読んで以来、2回目の『ジキル博士とハイド氏』となりました。
翻訳で初めて精読した時、
他のスティーヴンソンの作品と同じく、
独特の取っ付きにくさを感じたのですが、
再読するたびに新たな発見があって、
よく練られた物語のおもしろさに惹き込まれている自分がいました。
仕組まれた知的な遊びをともに楽しむ感覚で、
ストーリーの見事な出来栄えに感服することができました。
『宝島』のほうが圧倒的に好きですが、
最近『ジキル博士とハイド氏』も良いじゃないかと思い始めました。
また機会があれば再読したいです。
***
何度か通読して、
ストーリーがかなり頭に入っていたので、
翻訳なしでもほぼ不明なところなく読み通せました。
いずれは原書のままでも楽しめるように、
翻訳も改めて読み返しました。
今回読み返してみても、読みやすさ重視なら、
海保眞夫(かいほまさお)氏の岩波少年文庫がお薦めです。
曖昧なところのない、誰にもわかりやすい訳文に仕上がっていると思います。
海保眞夫(かいほまさお)訳
『ジーキル博士とハイド氏』
(岩波少年文庫、2002年1月◇173頁)
ただ、そろそろ少年文庫の訳文にも慣れて来たので、
もう少し大人びた言い回しで読んでみたいと思い、
他の翻訳を探してみたところ、
海保氏が少年文庫の7年前に刊行された岩波文庫も、
実によく出来た翻訳であることを確認できました。
海保眞夫(かいほまさお)訳
『ジーキル博士とハイド氏』
(岩波文庫、1994年11月◇144頁)
原文の難解さをある程度反映させながらも、
曖昧さのない簡潔な訳文に仕上がっており、
感銘を受けました。今後はこちらを熟読して近い将来、
原書を読むのに備えたいと思います。
その他、網羅的ではありませんが、
私が確認した翻訳を挙げておきます。
田中西二郎(たなかにしじろう)訳
『ジィキル博士とハイド氏』
(河出文庫、1954年6月◆120頁)
→「ジィキル博士とハイド氏」
(『世界文学全集 第2期 10』河出書房、1956年1月)
→「ジーキル博士とハイド氏」
(『世界名作全集 10』筑摩書房、1962年9月)
→『ジーキル博士とハイド氏』
(新潮文庫、1967年3月◆120頁)
※新潮文庫、改版、1989年6月◆130頁。
大谷利彦(おおたにとしひこ)訳
『ジーキル博士とハイド氏』
(角川文庫、1963年3月◆126頁)
百々佑利子(ももゆりこ)訳
『ジキル博士とハイド氏』
(ポプラポケット文庫、2006年12月◆174頁)
※初出はポプラ社文庫、1985年7月◆174頁。
岡本浜江(おかもとはまえ)訳
『ジキル博士とハイド氏』
(金の星社〔世界のこわい話ふしぎな話傑作集13 イギリス編〕1987年1月◆158頁)
下田紀子(しもだのりこ)訳
『ジキルとハイド』
(集英社〔子どものための世界文学の森31〕1996年7月◆141頁)
加藤まさし訳
『ジキル博士とハイド氏』
(講談社青い鳥文庫、1999年4月◆217頁)
夏來健次(なつきけんじ)訳
『ジキル博士とハイド氏』
(創元推理文庫、2001年8月◆154頁)
村上博基(むらかみひろき)訳
『ジーキル博士とハイド氏』
(光文社古典新訳文庫、2009年11月◆159頁)
田口俊樹(たぐちとしき)訳
『ジキルとハイド』
(新潮文庫、2015年1月◆153頁)
田内志文(たうちしもん)訳
『新訳 ジキル博士とハイド氏』
(角川文庫、2017年4月◆144頁)
※第207冊目。総計2,229,545語。
2019年6月30日日曜日
2019年6月16日日曜日
【206冊目】Dix Francis, Reflex (Oxford Bookworms Stage 4)
やさしい英語の本、通算206冊目は、
再びオックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1,400語レベル)の19冊目として、
イギリスの小説家
ディック・フランシス
(Dick Francis, 1920年10月31日- 2010年2月14日)
の競馬推理小説『反射 Reflex 』を読みました。
著者60歳の時(1980年10月)に発表された作品です。
Dick Francis
Reflex
Retold by Rowena Akinyemi
〔Oxford Bookworms Stage 4〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1991
16,500語
これもオックスフォード・ブックワームの目録で見かけるまでは、
全く未知の作品でした。
調べてみると、イギリスで、
28歳の時(1948)から障害競走のプロ騎手として活躍し、
37歳の時(1957)に騎手を引退した年に、
自伝『女王陛下の騎手 The sport of Queens 』を発表。
その後42歳の時(1962)に、
競馬推理小説『本命 Dead Cert 』を発表し、
それからほぼ毎年1冊のペースで
競馬シリーズの長編小説を発表し続けてきた方です。
本作『反射 Reflex 』は
60歳の時(1980年10月)に発表された
第19作目の競馬推理小説です。
※早川書房編集部編『ディック・フランシス読本』(早川書房、1992年11月)、およびWikipediaの「ディック・フランシス」の項目を参照。
亡くなる直前まで執筆された
競馬シリーズ全44編すべてが翻訳されているので、
本作の翻訳も手に入れてみました。
競馬を知らない者にも楽しめるように、
誰にもわかりやすく巧みに書かれていて、
ほかの作品も読みたくなりました。
ディック・フランシス著
菊池光(きくちみつ)訳
『反射』
(ハヤカワ・ミステリ文庫、1986年8月◇404頁)
※単行本の初出は早川書房〔Hayakawa novels 競馬シリーズ〕1982年2月刊行。
やさしい英語で実際に読んでみると、
娯楽小説としてよく出来ていて、
楽しみながら最後まで読み進めることができました。
途中で先が読めるところもあったので、
普遍的な魅力には少し欠けているようにも感じましたが、
ある程度、競馬に興味のある方なら、
読んでおいて損のない小説だと思います。
競馬にまったく縁のない世界に生きて来た身にとっても、
これまでと違う世界を知る機会になって、
それなりに充実した時間を送ることができました。
※第206冊目。総計2,217,025語。
再びオックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1,400語レベル)の19冊目として、
イギリスの小説家
ディック・フランシス
(Dick Francis, 1920年10月31日- 2010年2月14日)
の競馬推理小説『反射 Reflex 』を読みました。
著者60歳の時(1980年10月)に発表された作品です。
Dick Francis
Reflex
Retold by Rowena Akinyemi
〔Oxford Bookworms Stage 4〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1991
16,500語
これもオックスフォード・ブックワームの目録で見かけるまでは、
全く未知の作品でした。
調べてみると、イギリスで、
28歳の時(1948)から障害競走のプロ騎手として活躍し、
37歳の時(1957)に騎手を引退した年に、
自伝『女王陛下の騎手 The sport of Queens 』を発表。
その後42歳の時(1962)に、
競馬推理小説『本命 Dead Cert 』を発表し、
それからほぼ毎年1冊のペースで
競馬シリーズの長編小説を発表し続けてきた方です。
本作『反射 Reflex 』は
60歳の時(1980年10月)に発表された
第19作目の競馬推理小説です。
※早川書房編集部編『ディック・フランシス読本』(早川書房、1992年11月)、およびWikipediaの「ディック・フランシス」の項目を参照。
亡くなる直前まで執筆された
競馬シリーズ全44編すべてが翻訳されているので、
本作の翻訳も手に入れてみました。
競馬を知らない者にも楽しめるように、
誰にもわかりやすく巧みに書かれていて、
ほかの作品も読みたくなりました。
ディック・フランシス著
菊池光(きくちみつ)訳
『反射』
(ハヤカワ・ミステリ文庫、1986年8月◇404頁)
※単行本の初出は早川書房〔Hayakawa novels 競馬シリーズ〕1982年2月刊行。
やさしい英語で実際に読んでみると、
娯楽小説としてよく出来ていて、
楽しみながら最後まで読み進めることができました。
途中で先が読めるところもあったので、
普遍的な魅力には少し欠けているようにも感じましたが、
ある程度、競馬に興味のある方なら、
読んでおいて損のない小説だと思います。
競馬にまったく縁のない世界に生きて来た身にとっても、
これまでと違う世界を知る機会になって、
それなりに充実した時間を送ることができました。
※第206冊目。総計2,217,025語。
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