2015年8月24日月曜日

【読了】Edith Wharton, Ethan Frome (OBW Stage3)

やさしい英語の本、通算112冊目は、

オックスフォード・ブックワームズの
ステージ3(1,000語レベル)の14冊目として、

アメリカ合衆国の女性小説家、
イーディス・ウォートン(1862.1-1937.8)の
中編小説『イーサン・フローム』を読みました。

著者49歳の時(1911)に出版された作品です。


Edith Wharton
Ethan Frome

Retold by Susan Kingsley
〔Oxford Bookworms Stage3〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford ひすBookwarms 1997
10,700語

イーディス・ウォートンについて
まったく知らなかったので、
巻末の「著者について」をまとめておきます。

イーディス・ウォートン(Edith Wharton)は、
1862年にニューヨークの裕福な家庭に生まれた
旧名はイーディス・ニューボルド・ジョーンズ(Edith Newbold Jones)。

1885年に
エドワード・ウォートン(Edward Wharton)と結婚し、
1907年にフランスに移住する。1913年に離婚するが、
そのままフランスで後半生をおくる。

アメリカ生まれの小説家
ヘンリー・ジェイムズ( Henry James 1843.4-1916.2)とも親交があった。

処女作は
The Decoration of House(1897 ※未邦訳)。

最初の成功作は
『歓楽の家 The house of Mirth(1905)。

生涯に40冊以上執筆し、

1920年には
『無垢の時代 The Age of Innocenceで、
女性初のピューリッツァー賞を受賞。

『イーサン・フローム Ethan Frome(1911)は
フランスで執筆されたが、

結婚後、数年をマサチューセッツ州で過ごし、
ニューイングランドの農業について学んだ経験に基づく。

1993年にリーアム・ニーソン主演で映画化もされている。
(邦題『哀愁のメモワール』)


 ***

表紙をみて、
ふつうの恋愛小説かなと思っていましたが、
楽しく心躍る場面はごくわずかで、

全体に重苦しい雰囲気が立ち込めた
切なく悲しい恋愛小説です。

悲恋も小説としてなら嫌いではないのですが、

厳しい自然にかこまれた
貧乏な田舎にありがちな重苦しい雰囲気が
しっかり描き込まれているので、

憂鬱な気分になって
それほどページが進みませんでした。

後半にかけて、
恋の激情に走り出すにつれて惹きこまれ、
意外な結末へと流れていくので、

全体としてみれば、
結構良くできた作品であるように感じました。

少し時間をおいてから、
また読んでみようと思います。

  ***

邦訳はいくつか出ているようです。

最新のといっても20年前のですが、
宮本陽吉(みやもとようきち)氏の翻訳を手に入れました。

イーサン・フローム

宮本陽吉訳
「イーサン・フローム」
(宮本陽吉・小沢円・貝瀬知花共訳
 『イーサン・フローム』築地出版社、1995年10月所収)

 ※表題作「イーサン・フローム」の中編1編のほか、
   「ジェーンの使命」「二人の前夫」「目」の短編3編を収めてある。
   表題作は宮本氏1人の訳。短編3編は宮本・小沢・貝瀬3人の共訳。

ざっとみた限りでは、
ふつうに読める翻訳に仕上がっています。

作品の重苦しい雰囲気を忘れたころに、
こちらの翻訳で読んでみようと思っています。

※通算112冊目。計902,071語。

※Wikipediaの「イーディス・ウォートン」を参照。

2015年8月17日月曜日

【読了】中川李枝子著/山脇百合子絵『ぐりとぐら』(1963年)

中川李枝子(なかがわりえこ 1935.9- )氏による
絵本『ぐりとぐら』を読みました。

著者27歳の時(1963.1)に出版されています。

中川氏初めての絵本ですが、
このひと月前(1962.12)に刊行された
童話集『いやいやえん』に続く2作目の著作でもあります。

挿絵の大村百合子(おおむらゆりこ 1941.12-)氏は、
中川氏の実妹なので、

姉妹の共同作業によって
生み出された1冊ということになります。

(絵本ですので、主役はむしろ大村百合子氏のほうなのかもしれません。)


中川李枝子著
大村百合子絵
『ぐりとぐら』
(福音館書店〔≪こどものとも≫傑作集〕、1963年1月)

絵本には手を出すつもりがなかったのですが、
いつもの古本屋で、300円で並んでいるのを見つけて購入しました。

昔懐かしい絵本です。

いつの間にか家にあり、
気がつかないうちに読んでいた1冊です。

恐らく初めは、
母親が読み聞かせてくれたはずですが、ぼんやりとしか覚えていません。

そしていつの間にか、
どこかに失くしていた1冊でもあります。


今回改めて読んでみて、
大人からみてもなかなか楽しいお話しであることがわかりました。

他愛のない内容ではありますが、
不思議と穏やかな心持にさせられる1冊で、

私の中のオーソドックスな絵本像は、
ここにあるのだなと確認することができました。

挿絵はやさしく暖かで、
どことなくユーモアのある印象。

あいまいなところのない
はっきりとした実線で描かれているのも特徴的でした。

おいしそうなホットケーキの絵に、
心躍らせた記憶がよみがえりました。

子供のころから
なぜか料理が好きなのは、
『ぐりとぐら』のおかげだったのかもしれません。

動物たちがたくさん出演する
実際はありえない物語なのですが、

ごくふつうの
ありふれた日常生活が描かれているように感じるのは、
ほかの著作でも感じられることです。

安心して読み進められる1冊です。

2015年8月10日月曜日

【読了】Mary Shelley, Frankenstein(OBW Stage3)

やさしい英語の本、通算111冊目は、

オックスフォード・ブックワームズの
ステージ3(1,000語レベル)の13冊目として、

イギリスの女性小説家、
メアリー・シェリー(1797.8-1851.2)の
小説『フランケンシュタイン』を読みました。

著者20歳の時(1818.1)に出版された作品です。


Mary Shelley
Frankenstein

Retold by Prtrick Nobes
〔Oxford Bookworms Stage3〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookwarms 1989
9,685語


最近、
翻訳を読み終えたばかりだったので、

その印象が残っているうちに、
やさしい英語で読み終えました。

1万語に満たない分量に要約してありますが、

内容の大きな省略はなく、

重要な場面を選んで、
うまくまとめ上げられていました。


翻訳を読んで、
原作の重すぎる内容に
多少うんざりしていたのですが、

要約なら深みにはまる前に
先へ先へと進んでいくので、

嫌になる間もなく読み終えていました。


どこにも救いのない内容なので、
やはり積極的に読みたい作品ではありませんが、

愛情に満たされた平凡な生活を
最善のものと考えた上で、

人間の負の感情を
真正面からとらえて描きぬいている点、

一概に捨て去るのもどうかと思いました。


ある程度、
元気な時にしか読めないと思うので、

少し時間を置いてから、
また読んでみたいと思います。


  ***

翻訳はいろいろでていますが、

最近でた
芹澤恵(せりざわめぐみ)氏の翻訳が、
よくこなれた読みやすい訳文でお薦めです。


芹澤恵訳
『フランケンシュタイン』
(新潮文庫、2015年1月)

女性の作品だからでしょうか、
女性の翻訳のほうがしっくりするものが多いようです。

芹沢氏の翻訳が出る前は、
森下弓子(もりしたゆみこ)氏の翻訳で読むつもりでした。


森下弓子訳
『フランケンシュタイン』
(創元推理文庫、1984年2月)

森下氏のも、
今でも十分に「読める」訳です。

ただ読みやすさを重視するのであれば、
芹澤訳を選ぶのが無難でしょう。


※通算111冊目。計902,022語。

2015年8月3日月曜日

【読了】中川李枝子著/山脇百合子絵『おひさま はらっぱ』(1977年)

『ぐりとぐら』で有名な
中川李枝子(なかがわりえこ 1935.9- )氏による童話集、
2冊目は『おひさま はらっぱ』を読みました。

著者41歳の時(1977.5)に出版された1冊です。

挿絵の山脇百合子(やまわきゆりこ 1941.12-)氏は、
中川氏の実妹なので、

姉妹の共同作業によって
生み出された1冊ということになります。


中川李枝子著
山脇百合子絵
『おひさま はらっぱ』
(福音館書店〔福音館創作童話シリーズ〕、1977年5月)


本書には

「さちこちゃん」
「月ようびの ひみつ」
「おひさまこうえん」
「とっても いい なわ」
「ゆきだるま」
「ぐりとぐらの 大そうじ」
「もんたの なつやすみ」
「くまの たんじょうび」
「三つ子の こぶた」

の童話9編が収録されています。

どの話も、
創作の好きな保育園や幼稚園の先生が、
子どもたちに語って聞かせる風の、
明るく楽しくお話です。

読み聞かせにちょうどよい
2、30分くらいのわかりやすいお話が並んでいました。

 こねこのタマ、
 うさぎのギック、
 こぐまのくますけ、
 のねずみのぐりとぐら、
 こぶたのきょうだい
  まさおと はなこと ぶんた

といった可愛らしい動物たちが登場し、
違和感なく子どもたちと話し出すのは、

本来、奇想天外な内容のはずですが、
読んでいて、いたって普通な印象を受けるのは、

中川氏の童話の特徴でしょうか。

ライオンやわにすらも、
愛嬌があってやさしそうです。


物凄い何かを期待すると、
肩透かしにあうかもしれませんが、

子供時代ってこんなだったよなと、
じんわりとした暖かさに不思議と引き寄せられる1冊でした。