2018年9月30日日曜日

【190冊目】Elizabeth Gilbert, Eat, Pray, Love(Oxford Bookworms Stage 4)

やさしい英語の本、通算190冊目は、
オックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1,400語レベル)の4冊目として、

アメリカ合衆国の作家
エリザベス・ギルバート
(Elizabeth Gilbert, 1969年7月- )の旅行記

『食べて、祈って、恋をして
 ― 女が直面するあらゆること探究の書
 Eat, Pray, Love:
  One Woman's Search for Everything
  Across Italy, India, and Indonesia

を読みました。
著者36歳の時(2006年2月)に出版された作品です


Elizabeth Gilbert
Eat, Pray, Love
 One Woman's Search for Everything

Retold by Rachel Bladon

〔Oxford Bookworms Level 4〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2014
First published in Oxford Bookworms 2014
18,805語

夏前にインターネットで、
オックスフォード・ブックワームスの
目録を眺めていたときに、

以前、古本屋で手に入れて、
机に積んだままだった翻訳の、
原書名が並んでいることに気がつきました。

せっかく翻訳を持っているのだからと、
やさしい英語で読んでみることにしました。


著者が2003年9月から1年間、
それまでの生活をリセットして、
イタリア、インド、インドネシアを
旅した時の記録ということで、

アメリカを中心に幅広い読者を得、
「発売直後から多くの女性の共感を呼んだ、
 NY発800万部突破の世界的ベストセラー」
となったそうです(文庫の裏表紙の紹介文より引用)。

さらりと楽しく読めるものを想像していたのですが、

鬱病に悩まされてきた著者が、
離婚や失恋でぼろぼろになった心を癒やし、
再生させるために1年間の休暇をとるという趣向で、

著者の心の葛藤が色濃く映し出され、
案外重たいところのある作品でした。

雑多なものがそのまま並べられている印象もあって、
個人的にそこまで感銘を受けなかったのですが、

同じ悩みを抱えた人が読めば、
まったく違った印象を受けるかもしれません。


英文は、
構文的に難しくはなかったですが、
鬱や神、精神世界などについて語るところは、
何を意味しているのかわかりにくかったので、
那波かおり氏の翻訳を紐解きながら読み進めました。

雑多な内容にもかかわらず、
誰にもわかりやすい訳文に仕上がっていると思います。


エリザベス・ギルバート著
那波かおり(なわかおり)訳
『食べて、祈って、恋をして
 ― 女が直面するあらゆること探究の書』
(武田ランダムハウスジャパン〔RHブックス+プラス〕2010年8月◇567頁)※文庫本。初出の単行本は武田ランダムハウスジャパン(2009年12月◇514頁)刊行。

原書で読みたいほどの感銘を受けたわけではありませんが、
最近流行った本について知るよい機会になりました。


※第190冊目。総計1,971,894語。



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2018年9月15日土曜日

【189冊目】Conan Doyle, The Hound of the Baskervilles(Oxford Bookworms Stage 4)

やさしい英語の本、通算189冊目は、
オックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1,400語レベル)の3冊目として、

イギリスの小説家
アーサー・コナン・ドイル
(Arthur Conan Doyle, 1859年5月-1930年7月)の
小説『バスカヴィル家の犬』を読みました。

シャーロック・ホームズ・シリーズの長編第3作目であり、

著者42歳のとき
月刊誌『ストランド The Strand Magazine 』
1901年8月号から1902年4月月号まで
9回に分けて連載され、

連載終了の1ヶ月前(1902年3月)に、
単行本が出版されました(英国版)。

※米国版は月刊誌『ストランド』
 1901年9月号から1902年5月号まで連載。
 単行本は1902年4月に出版。


Arthur Conan Doyle
The Hound of the Baskervilles

Retold by Patrick Nobes

〔Oxford Bookworms Level 4〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1989
19,330語

作品成立の背景をもう少し。

ドイルが34歳の時(1893年12月)に発表した
24番目の短編最後の事件 The Final Problem 」
で、ホームズを死亡させて、
ホームズ・シリーズを一旦終了させたあと、

8年の沈黙をへて、
改めて再開させるきっかけになったのが、
42歳の時(1901年8月-1902年4月)に発表された
長編『バスカヴィル家の犬』でした。

発表の前年、
41歳の時(1900年7月)にイギリスの駆け出しの作家
バートラム・フレッチャー・ロビンソン
(Bertram Fletcher Robinson 1870年8月-1907年1月)
と出会い、彼から物語の着想を得たことが、
執筆のきっかけとなったそうです。

ちなみに
25番目の短編「空き家の冒険 The Adventure of the Empty House 」
は、本作『バスカヴィル家の犬』から1年半をへた
44歳の時(1903年10月)に発表されました。


  ***

シャーロック・ホームズ・シリーズは、
やさしい英語で度々取り上げていますが、

『バスカヴィル家の犬』は、

2015年12月に
マクミラン・リーダーズの
レベル3(1100語レベル/8,901語)
で取り上げて以来、2回目の挑戦になりました。

推理小説というと難しそうですが、
文章に曖昧なところがなく、
構成がしっかりしているからか意外に読みやすく、
謎解きの面白さを味わいながら、
最後まで読み進めることができました。

読みやすいとは言っても、
レベルが1つ上がって、
1頁に数個ずつわからない単語が出て来るので、
半分をこえるまでは出来るだけパソコンで調べながら読み進めました。


  ***

翻訳は、これだけ有名な作品だと、
良いものがたくさん出ているので、
どれか一つを推す必要はないのですが、

個人的には
日暮雅通(ひぐれまさみち)氏による
2種の翻訳を気に入っています。

大人向けの完訳版(光文社文庫)と、
子供向けに少し言い回しをやさしくしたもの(青い鳥文庫)とがあって、

以前は読みやすいのが一番と思い、
青い鳥文庫の方を参考にしていたのですが、
最近はそれでは物足りなくなって、
もとの完訳の方を手にすることが多くなって来ました。


日暮まさみち訳
『名探偵ホームズ バスカビル家の家』
(講談社青い鳥文庫、2010年12月◇365頁)


日暮雅通(ひぐれまさみち)訳
『バスカヴィル家の犬』
(光文社文庫〔新訳シャーロック・ホームズ全集〕2007年7月◇344頁)


なお偶然、古本屋で手に入れた
各務三郎(かがみさぶろう)訳は今読んでも違和感のない、
わかりやすい翻訳でした。

わかりやすさ重視であれば、
日暮まさみち訳とともにお薦めです。


各務三郎(かがみさぶろう)訳
『バスカビル家の犬』
(偕成社〔シャーロック・ホームズ全集3〕1985年8月◇334頁)
 ※のちに偕成社文庫(1998年5月)に再録。


その他、本屋で手に入れた
最近の大人向けの翻訳は3点。
(網羅していません。
 新潮文庫の延原謙訳もあげるべきですが、
 まだ詳しく調べていないので後日修正します。)


深町眞理子(ふかまちまりこ)訳
『バスカヴィル家の犬』
(創元推理文庫、2013年2月◇348頁)


駒月雅子(こまつきまさこ)訳
『バスカヴィル家の犬』
(角川文庫、2014年2月◇307頁)


小林司(こばやしつかさ)
・東山あかね(ひがしやま)訳
『バスカヴィル家の犬』
(河出文庫〔シャーロック・ホームズ全集5〕2014年4月◇459頁)
 ※初出は河出書房新社(2002年5月◇390頁)。


※第189冊目。総計1,953,089語。



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