2013年2月25日月曜日

【読了】ユゴー著 『レ・ミゼラブル (二)』(佐藤朔訳)

フランスの小説家
ヴィクトル・ユゴー(1802.2-1885.5)の
長編小説『レ・ミゼラブル』(新潮文庫)の第2冊を読みました。

43歳のとき(1845年)から17年かけて執筆され、
60歳のとき(1862年)に出版された作品です。


ヴィクトル・ユゴー著/佐藤朔 訳
『レ・ミゼラブル(二)』
(新潮文庫、昭和42年6月。改版、平成24年11月)

 ※第二部 コゼット
    第一章 ワーテルロー(6頁)
    第二章 軍艦オリオン号(106頁)
    第三章 死んだ女への約束をはたす(132頁)
    第四章 ゴルボー屋敷(238頁)
    第五章 暗闇の追跡に無言の同勢(268頁)
    第六章 プチ・ピクピュス(326頁)
    第七章 余談(381頁)
    第八章 墓地は与えられたものを受取る(406頁)

ちょうどひと月ほどで、
第2部(2冊目)を読み終えました。

第2部は話しの脱線と言っても良いような部分が多く、
若干退屈する内容でした。

 第一章…「ワーテルローの戦い」を詳しく描写。
 第六・七章…ヨーロッパにおける「修道院」の在り方を詳しく考察。

この3章は、
ユゴーと同時代を生きたフランス人にとっては、
大いに興味をひく問題だったのでしょうが、

150年ほど年月をへて、
国をも隔てた日本に住む身としては、

一度読んだだけでは、
余りよく理解できませんでした。

でもフランス革命で、
王室の方々を実際に皆殺しにしてしまった後、

現実にそこで生きていかねばならなかった人々の苦悩、

王殺しへの嫌悪感と、
でも実際に起きてしまった革命を肯定せざるをえない心持ちと、

さまざまな感情の入り組んでいる様子が読み取れて、興味深かったです。


第一・六・七章のほかは、
すでに塚原亮一氏の1冊本で読んだあら筋が
より詳しく展開されていたので、

手に汗握りつつ、
楽しんで読み進めることができました。

さて今日の仕事帰りには、第3冊を購入しましょう。


※Wikipediaの「ヴィクトル・ユーゴー」「レ・ミゼラブル」を参照。

【読了】吉川英治 著 『宮本武蔵 (一)』(新潮文庫)

吉川英治(明治25年〔1893〕8月-昭和37年〔1962〕9月)が、

42歳のときから4年かけて執筆した小説
『宮本武蔵』が新潮文庫から刊行されるようなので、
読んでいこうと思います。



吉川英治 著『宮本武蔵(一)』
(新潮文庫、平成25年1月)

 ※全編の初出は『朝日新聞』昭和10年(1935)8月23日から昭和14年(1939)7月11日まで。


2年近く前にも、
講談社 吉川英治歴史時代文庫本で2冊目まで読み、
そのまま中断しておりました。

今回の再刊、
表紙の絵はあまり好みではないのですが、

活字がとても大きく、読みやすいのに惹かれて購入し、
読み始めたところ、2週間ほどで読み終えました。


いずれ読んでおきたいと思っていたので、
この機会に、続巻が出るごとに読んでいこうと思います。


前に読み始めたときよりも、
すんなり話が頭に入って来るのは、

活字が大きくなったからなのか、
文体になじんできたからなのか、
どちらなのかはよくわかりませんが、

今回はより一層、
吉川氏の文章のすばらしさに魅了されている自分がいました。

数学者の岡潔氏が、
吉川英治氏の文章を絶賛されていたことを思い出し、
国民作家と言われるゆえんを垣間見た気がします。


以前なら、
武蔵(たけぞう)的な生き方を、
熱すぎる!と若干遠ざける私がいたように思うのですが、

ある年齢を過ぎると、
日本人としての琴線に触れるところがあるのかもしれません。

今回は私の心にぴったりと寄り添って来るように感じました。


私の世代は、
吉川英治はもとより、
司馬遼太郎でさえ過去に活躍した歴史小説家の一人でしたので、

まだこれから、
読みなおす機会を待っている作品が色々とひかえております。

司馬遼太郎は多少難しい気もしますが、

吉川英治は、総ルビにすれば、
小学生でも十分に読みこなせる内容なので、

小学生向けに、
総ルビで『三国志』『宮本武蔵』などの代表作を復刊してほしいな、
と思っています。

どちらかと言えば、
若いころに読んだ方が、共感する部分の大きい作品だと思うので。


※Wikipedia の「吉川英治」「宮本武蔵(小説)」の各項目を参照。

2013年2月23日土曜日

【読了】Jack London, White Fang (PR Level2)

やさしい英語の本、通算40冊目、
Penguin Readers Level2の4冊目、

アメリカ合衆国の作家
ジャック・ロンドン(1876.1-1916.11)の
小説『白い牙』を読みました。

30歳(1906)のときの作品です。


Jack London
White Fang

Retold by Brigit Viney
(Penguin Readers Level2)
2008年刊(7,746語)

年末にやさしい英語で、
ロンドンの代表作『野性の呼び声(The Call of the Wild)』
を読んだばかりでしたが、

同じ Penguin Readers の中に、
もう一つの代表作『白い牙(White Fang)』
があることを知り、読んでみることにしました。


邦訳は、どちらもまだ読んでいないので、
動物小説ならではの雰囲気がつかめるまで多少苦労しましたが、

はじめの数章の読みにくさを乗りこえると、
あとは楽しんで読み進めることができました。

前作とは正反対に、
終わりに向かうにつれ、
愛情に満ちた心豊かな明るい世界が描かれていくので、

どちらかといえば、
こちらの方が私の好みに合いそうです。


翻訳は、

白石佑光氏の新潮文庫本は、
若干固めですが勢いのある訳文なので、
いずれ時間があるときにじっくり読みたいと思っています。



最新の深町眞理子氏の光文社古典新訳文庫本は、
あまり私と相性が良くなかったので、

まだ手に入れていませんが、
辻井栄滋氏の現代教養文庫本に期待しているところです。



すでに絶版なので、
古本で近々手に入れようと思っております。


※計40冊 計326,529語。

2013年2月22日金曜日

【読了】畑正憲著 『梟の森 ―天然記念物の動物たち』(昭和53年)

梟の森―天然記念物の動物たち

畑正憲著『梟の森 ―天然記念物の動物たち』
(角川書店、昭和53年6月。角川文庫、平成5年5月に再録)

※「白鳥の里」
 「羚羊の丘Ⅰ・Ⅱ」
 「丹頂の野Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」
 「梟の森Ⅰ・Ⅱ」の4編8章を収録。


「白鳥の里」の1章は、

 新潟県阿賀野市水原地区にある
 「瓢湖(ひょうこ)に飛来するハクチョウ」についてのルポです。

 瓢湖は江戸時代初期、
 寛永16年(1639)に完成した人造湖です。

 昭和29年(1954)に、吉川重三郎氏が
 全国で初めてハクチョウの餌付けに成功したことから、

 同年3月に「水原のハクチョウ渡来地」として、
 国の天然記念物に指定されました。

 吉川重三郎氏の長男、
 吉川繁男氏への取材を基軸とし、

 昭和50年代(1970-)はじめの、
 瓢湖におけるハクチョウと日本人との関わりの様子が描写されています。

 吉川繁男著『瓢湖 白鳥物語』
 (三省堂、昭和50年)が引用されていましたので、
 近々読んでみたいと思います。


 何だか切なくなる感じの文章ですが、
 昭和50年代の世相を反映しているのかもしれません。



「羚羊の丘Ⅰ・Ⅱ」の3章は、

 昭和9年(1934)に国の天然記念物、
 昭和30年(1955)に特別天然記念物に指定された
 「ニホンカモシカ」についてのルポです。

 昭和26年(1951)に設立された
 長野県大町市立「大町山岳博物館」で、

 昭和32年(1957)に保護されて以来、
 日本のカモシカ飼育生存最長記録を更新し続けていた
 岳子(たけこ)について、

 博物館で飼育を担当していた
 千葉彬司(ちばはんじ)氏への取材を基軸として、
 ニホンカモシカと日本人との関わりが描かれています。


 取材年月日を明記していませんが、
 取材後一ヶ月と経たぬうちに、

 5月14日付けの毎日新聞で、
 岳子の死を知った旨記されていますので、

 昭和52年4月の取材であったと推定できます。


 千葉氏の著書として、
 『カモシカ日記』(毎日新聞社、昭和47年)を紹介されていました。

 他にも、
 『カモシカ物語』(中公新書、昭和56年4月)
 『北アルプス動物物語 ―山岳博物館長とウンコロジーと』(山と渓谷社、平成5年11月)
 があるようなので、近々どれか読んでみようと思います。


  ※岳子の死亡日時については、
   インターネット上に公開されている、
   『大町市統計要覧2005』所収の市史年表を参照しました。


「丹頂の野Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」の3章は、

 昭和10年(1935)に繁殖地も含めて国の天然記念物に、
 昭和27年(1952)に「釧路のタンチョウ」として特別天然記念物に、
 昭和42年(1967)に(地域を定めずに)種として特別天然記念物に指定された
 「タンチョウ」についてのルポです。

 北海道釧路市で
 昭和33年(1958)にできた
 「釧路市丹頂鶴自然公園」で、

 丹頂鶴の研究に携わり、
 捕獲された野性の鶴の飼育、繁殖、
 野性の雛の飼育を行い、

 昭和46年(1971)に人工孵化と人工育雛を成功させていた
 高橋良治氏への取材をもとに描かれています。

 のちに出版された高橋氏の著書として、
 『鶴になったおじさん』(偕成社、昭和63年12月)
 『鶴になった老人 ―丹頂鶴の恩返し』(角川書店、平成22年5月)
 があるようなので、近々手に入れ読んでみたいと思います。
 

「梟の森Ⅰ・Ⅱ」の2章は、

 昭和46年(1971)に国の天然記念物に指定された
 「シマフクロウ(指定名はエゾシマフクロウ)」についてのルポです。

 翼を広げると180センチにもなる
 日本最大のフクロウと言われると興味がわいてきますが、

 本書の執筆時(昭和50年代)には、
 姿を目にすることがかなり困難であったようです。

 他人の目撃談、自身の失敗談をおりまぜながら、

 根室市を流れる別当賀川河口での、
 ご自身の目撃の記録を基軸に描かれています。


 本書が執筆されてから、
 もう30年以上過ぎていますが、

 今も絶滅こそしていないものの、
 実際にめったに目撃されない状況は続いているようです。


どの章も興味深く、楽しみながら読み進めることができました。

お次は
『馬の岬 ―天然記念物の動物たち』(昭和54年)
に進みます。

※Wikipediaの「天然記念物」
 「鳥類天然記念物一覧」「哺乳類天然記念物一覧」
 「瓢湖」「オオハクチョウ」「ニホンカモシカ」
 「タンチョウ」「シマフクロウ」の各項目を参照。

2013年2月9日土曜日

【読了】オルコット著 『若草物語』(掛川恭子訳)

若草物語 (講談社文庫)

オルコット著/掛川恭子 訳
『若草物語』(講談社文庫、平成5年8月


『若草物語』の日本語訳、
なかなか納得するものに出会えなかったのですが、

『赤毛のアン』シリーズで親しんだ、
掛川恭子氏の翻訳が出ていたことを知り、
古本で手に入れてみました。


届いてみると、
全訳でありながら、
わかりやすく先へ先へと読ませる力のある
日本語に訳されていて、

読み始めたら止まらなくなって、
飛び切り楽しい2週間を送らせてもらいました。


話自体は、
古き良きアメリカの一般家庭を描いた
ごくオーソドックスな内容であり、

突拍子もない物語が次々と展開していくわけではないので、

編訳でないと少々厳しいのかな、
と思っていたのですが、

掛川氏の翻訳を読むと、
全訳だからこそ腑に落ちるところも多くあって、

『若草物語』がそのままで十分に魅力的な作品であることを知ることができました。


これはぜひ掛川氏の訳で、
『続・若草物語』も読んでみようと思います。

2013年2月1日金曜日

【読了】John Grogan, Marley & Me(PR Level2)

やさしい英語の本、通算39冊目、
Penguin Readers Level2の3冊目、

アメリカの作家(新聞コラムニスト)
ジョン・グローガン(1957.3 - )の
『マーリーと私』を読みました。

48歳のとき(2005.10)に出版された作品です。


John Grogan
Marley & Me

Retold by Anne Collins
(Penguin Readers Level2)
2012年刊(10,666語)

「おバカな犬」といえば、ピンとくる方も多いのではないでしょうか。

『マーリー ― 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』
という邦題で、古草秀子氏による全訳が出ています。



古草秀子 訳
『マーリー ― 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』
(ハヤカワ文庫、平成21年3月。初出の単行本は早川書房、平成18年10月)

新刊が出たときに、
おもしろそうだなと何度か手にとった記憶がありますが、
実際読んでみることはありませんでした。

今回やさしい英語でも読めることを知り、
そのときの記憶が甦り、読んでみることにしました。


初めて読んだわけですが、
動物はかなり好きな方なので、

昔飼っていた犬のことを思い出しつつ、

はじめはうふふと笑いながら、
後半は涙を流し、一気に読み終えました。


やさしい英語とはいえ、
英語の本を読んで涙を流せる、というのは良い感じです。

英文は、
高校入試を終えたくらいの方なら、
難なく読みこなせるレベルだと思います。

翻訳も、文庫本でまだ手に入るようなので、近々読んでみようと思います。


※計39冊 計318,783語。