2012年12月31日月曜日

【読了】Frances Hodgson Burnett, Little Lord Fauntleroy (OBW1)

やさしい英語の本、通算36冊目、
Oxford Bookworms Stage1 の5冊目、

イギリス生まれの作家
フランシス・ホジソン・バーネット(1849.11-1924-10)の
名作『小公子』を読みました。

バーネット37歳のとき(1886年)の作品です。


Frances Hodgson Burnett
Little Lord Fauntleroy

Retold by Jennifer Bassett
(Oxford Bookwoems の Stage1)
2009年刊(7,250語)

先に翻訳を読み終えたばかり
ということもありますが、

もう少し詳しくてもいいかな、
と思えるレベルで、あっさりと読み終えることができました。

『小公子』について何も知らなければ、
ほどよくあらすじがつかめて便利だと思います。


ただしあらすじだけでは、

気難しい老人の微妙な感情の変化や、
母親の気品、セドリックの性格的な美しさの微妙な部分は描き切れません。

より詳しいものを読みたいな、
と思えるようになって来ました。


翻訳はつい先日紹介したばかりなので、
脇明子さんの翻訳(岩波少年文庫)が、今のオススメです。





※計36冊 計296,872語。


2012年12月24日月曜日

【読了】Robert Louis Stevenson, Treasure Island (MMR Elmentary)

やさしい英語の本、通算35冊目、
Macmillan Readers Elementary Level の5冊目、

イギリスのスコットランド生まれの小説家
ロバート・ルイス・スティーヴンソン(1850.11-1894.12)の、
冒険小説『宝島』を読みました。

スティーヴンソン33歳のとき(1883年)に出版された作品です。


Robert Louis Stevenson
Treasure Island

Retold by Stephen Colbourn
(Macmillan Readers の Elmentary Level)
2005年刊(9,863語)


『宝島』は今年の6月に、
金原瑞人氏の翻訳(偕成社文庫、平成6年)で読んだことを
ブログで報告しております。

翻訳を読んでまだそれほど間がありませんので、

あらすじを思い出しながら、
楽しんで読み通すことができました。


このお話、はじめは少し
荒々しすぎるような気がして、
それほど好きではなかったのですが、

ストーリーが頭に入って来ると
よりいっそう魅力が増してくる作品のようで、
ほどよい刺激に満ちた傑作と思えるようになって来ました。

ぜひ原書で楽しめるようになりたいと思います。


翻訳は、
あれからまた幾つか触れてみましたが、
今のところ金原氏の訳がいちばんです。



※Wikipedia の「ロバート・ルイス・スティーヴンソン」「宝島」を参照。

※総語数、YL(読みやすさレベル)については、
 古川昭夫 編『めざせ!100万語 読書記録手帳』
 (第6版、2010年4月)を参照しました。

計35冊 計289,622語。


 間もなく30万語をこえます。
 仕事をしながら、ひと月2冊くらいのペースなので、
 1年4ヶ月かかりました。

 実感としては、高校入試レベルの英語なら、
 いきなり読んでも大丈夫な感じになって来ました。

 そろそろ上のレベルに挑戦しても良いのですが、
 まだ気になって読み終えていないタイトルがあるので、
 40万語までは今くらいのレベルを続けたいと思います。

 中3から高1くらい、英検3・4級のレベルで、
 これだけ楽しめる作品があることは嬉しい驚きです。

 徐々に読むスピードは上がるはずなので、
 切りよく3年くらいで100万語到達ができるといいなと思っております。

2012年12月20日木曜日

【読了】塩野七生 『ローマ人の物語14 パクス・ロマーナ[上]』


塩野七生 著
『ローマ人の物語14 パクス・ロマーナ[上]』
(新潮文庫、平成16年11月、初出は新潮社、平成9年7月)

 ※第一部 統治前期(紀元前29年~前19年)
      アウグストゥス34歳~44歳


文庫本で6冊に及ぶカエサルの評伝に続くのは、
カエサルから後継者として指名されたアウグストゥスの評伝3冊です。

カエサルのことすらよく知らなかった私ですから、
その後継者たるアウグストゥスについても、
当然何も知らなかったわけですが、

そんな私が読んでも、引き続き、
引き寄せられるわかりやすい叙述でした。


カエサルという奇跡が、
暗殺という最悪のかたちで終わりを告げたあと、

これ以上ないくらい理想的なかたちで、
彼の遺志を継いだアウグストゥスという、
もう一人の奇跡があったとは、

フィクションなら、
出来過ぎと批判されるレベルでしょう。


カエサルのように、
戦乱に生きた指導者ではないので、
評伝を書きやすい人物ではないと思いますが、

十分興味深く、
歴史を読む醍醐味を、
存分に楽しませてもらいました。

2012年12月18日火曜日

【読了】バーネット著『小公子』(脇明子 訳)


フランシス・ホジソン・バーネット著/脇明子 訳
『小公子』(岩波少年文庫、平成23年11月)


イギリス生まれの作家
フランシス・ホジソン・バーネット
(Frances Hodgson Burnett 1849.11-1924-10)
が37歳のとき(1886年)に書いた小説

『小公子(Little Lord Fauntleroy)』を読みました。


バーネットは、
三十代半ばを過ぎてから
『秘密の花園』『小公女』と読んできて、

美しい自然の描写と、
人の感情のより美しい部分を描いていこうとする姿勢に共感し、
お気に入りの作家になりました。

もとは英語で書かれているので、
いずれ原書のまま楽しめるようになりたいと思っていますが、

今回は日本語訳で、
『小公子』を読んでみました。

『小公子』は、なかなか
自分にしっくり来る翻訳に出会わなかったので、
後回しになってきたのですが、

昨年出版された
脇明子さんの翻訳は、
現代の日本語としてよくこなれており、
違和感なく、話に入り込むことができました。


一種のおとぎ話ではありますが、
バーネットの筆にかかると何となくありえそうな話にも思えて来て、
想像していた以上に楽しむことができました。

人の心の美しく明るい側面が、
周りに与える良い影響について、
考えなおす機会になりました。

現実はそんなに甘くないにせよ、
後ろ向きに悪いことばかり心配していても、
良いことは起こらないわけで、

心を美しい方向へ導いてくれる物語の存在は貴重です。


脇明子さんは
ごく最近『小公女』の訳も上梓されたようなので、
そちらも近々読んでもたいと思います。


ざっと『小公子』の翻訳を調べてみました。  

西田佳子 訳
(西村書店、平成22年3月)※書名『小公子セドリック』

坂崎麻子 訳
(偕成社文庫、昭和62年9月)

吉野壮児 訳
(角川文庫、昭和62年11月)※書名『小公子セディ』

蕗沢忠枝 訳
(ポプラ社文庫、昭和62年12月)

岡上鈴江 訳
(旺文社文庫、昭和53年1月)

川端康成 訳
(河出書房新社〔世界文学の玉手箱〕平成4年12月)
 ※初出はポプラ社〔世界の名著〕昭和42年8月

村岡花子 訳
(講談社〔21世紀版少年少女世界文学館〕平成22年12月)
 ※初出は講談社〔少年少女世界文学全集13 アメリカ編3〕昭和33年。
  講談社〔少年少女世界文学館10〕昭和62年9月に再録。
  講談社〔青い鳥文庫〕昭和62年12月に再録。

吉田甲子太郎 訳
(岩波少年文庫、改版、昭和61年。初版、昭和28年)

中村龍三 訳
(新潮文庫、改版、昭和62年。初版、昭和28年)

若松賤子 訳
(岩波文庫、改版、昭和14年8月)


村岡花子訳も手に入れましたが、
「お母さま」という訳が今では古めかしく、少し違和感がありました。

最近の西田佳子氏の訳は、近々読んでみようと思っています。


※Wikipediaの「フランシス・ホジソン・バーネット」「小公子」の項目を参照。

2012年12月5日水曜日

【読了】ビクトル=ユゴー 『レ・ミゼラブル - ああ無情』(塚原亮一 編訳)

フランスの小説家
ビクトル・ユゴー(1802-1885)

60歳のとき(1862年)に執筆した
長編小説『レ・ミゼラブル(ああ無情)』を、
塚原亮一氏が1冊に編訳した版で読みました。


塚原亮一 編訳
『レ・ミゼラブル―ああ無情』
(講談社 青い鳥文庫〈新装版〉、平成24年11月)
 ※旧版は講談社 青い鳥文庫、平成元年4月、原題『ああ無情』。
  初出は講談社 少年少女世界文学館17、昭和61年10月。
  講談社 21世紀版少年少女世界文学館17、平成23年1月にも再録。

もとはフランス語なので、
原書で読むことはないと思い、
翻訳のほうにも手を出さずに来たのですが、

英語のリトールド版でも読めることがわかって、

とりあえず、日本語で手っ取りばやく、
それなりに楽しんで読めるものを探しておりました。

総ルビ付きでわかりやすく、
あまりに簡単過ぎないものを選んでいたら、
塚原亮一氏の1冊本がいちばんしっくり来ました。

はらはらドキドキ楽しみながら、
大事なあらすじを把握した上で、
一気に読み通すことができました。

複雑ですがよく作りこまれた内容で、
これは確かに、多くの人々を魅了するに足る傑作だと思いました。

共和主義者を善とし、
王党派を悪とする図式も、
日本人には好まれる傾向でしょうか。


編訳版は次のようなのが見つかりました。

豊島与志雄氏の編訳は、
全訳版を元にしたていねいな作りで、
次はこれを読もうかと思っていますが、
ルビはほとんどないので、小中学生には難しいかもしれません。

清水正和 編訳
『レ・ミゼラブル』
(上下2冊。福音館書店、平成8年1月)

岩瀬孝・大野多加志 編訳
『レ・ミゼラブル』
(上中下全3冊。偕成社文庫、平成5年3月)

大久保明男 編訳
『レ・ミゼラブル―ああ無情』
(ポプラポケット文庫、平成19年3月)
 ※初出はポプラ社文庫、昭和60年12月、原題『ああ無情』

辻昶(つじとおる)編訳
『ああ無情』
(集英社〈少年少女世界名作の森〉平成元年11月)
 ※初出は集英社〈少年少女世界の名作〉昭和57年3月。


豊島与志雄 編訳
『レ・ミゼラブル』
(岩波少年文庫、上下2冊、新版、平成13年1月)
 ※初出は岩波少年文庫、上下2冊、改版、昭和28年5月、
  原題『ジャン・ヴァルジャン物語』

黒岩涙香 編訳
『噫無情(ああむじょう)』
(はる書房〈世界名作名訳シリーズ〉前後篇2冊、平成17年6月)
 ※初出は扶桑堂、前後編2冊、明治39年1・4月。


全訳版は次のものが見つかりました。

豊島与志雄 訳
『レ・ミゼラブル』
(岩波文庫、全4冊、改版、昭和62年4・5月)
 ※初出は新潮社、全4冊、大正7-8年。

石川湧 訳
『レ・ミゼラブル』
(全4冊、角川文庫、全4冊、平成10年12月、11年1月)
 ※初出は角川文庫、全8冊、昭和31-37年。


佐藤朔 訳
『レ・ミゼラブル』
(新潮文庫、全5冊、改版、昭和42年5-9月)
 ※初出は新潮社〈新版 世界文学全集10-12〉全3冊、昭和34年。

辻昶(つじとおる)訳
『レ・ミゼラブル』
(潮出版社〈潮文学ライブラリー〉全5冊、平成21年7-9月)
 ※もとは潮出版社〈ヴィクトル・ユゴー文学館〉全3冊、平成12年7-9月。
 ※初出は、講談社文庫、昭和50・51年。

豊島与志雄氏のは、
格調の高いていねいな訳で好感がもてますが、
最後まで読み通すのは若干苦労しそうです。

現代文としては、
佐藤朔氏のと辻昶氏のが
スラスラと読みやすそうでした。

全訳で読むとしたら、どちらかの選択になりそうです。

※Wikipediaの「ヴィクトル・ユゴー」「レ・ミゼラブル」を参照。


2012年12月4日火曜日

【読了】Jack London, The Call of the Wild(PAR Level2)

やさしい英語の本、通算34冊目、
Penguin Active Reading Level2 の5冊目、

アメリカの小説家
ジャック・ロンドン(1876-1916)の
小説『野性の呼び声』(1903)を読みました。
ロンドン27歳のときの作品です。


Jack London
The Call of the Wild

Retold by Tania Iveson
(Penguin Active Reading の Level2)
2007年刊(9,280語)

実は最近まで、
書名すら知らなかったのですが、

光文社古典新訳文庫から出た
深町眞理子氏訳の『野性の呼び声』が気になって、
いずれ読もうかなと思っていたところ、

名古屋のジュンク堂書店で、
リトールド版が出ているのを確認し、
読んでみることにしました。


カリフォルニアで飼われていた
飼い犬バックが家から盗み出され、
アラスカでそり犬となり、

鍛えられるうちに野性を取り戻し、
狼の群れの中へと入っていく物語です。


1848年に、
カリフォルニアで金が発見され、
ゴールドラッシュが始まったことはよく知られていますが、

1899年に、
アラスカでも金が発見され、
ゴールドラッシュが起こり、

当時、犬ぞりの需要が高まったことが
物語の背景となっているようです。


犬と心が通いあう、
心暖まるストーリーを期待していたところ、
そうした場面も含まれているものの、

調教のために犬を虐待する場面や、
喧嘩で犬同士が殺しあう場面や、
そりを引けなくなっ犬をやむなく射殺する場面なども描かれていて、

自然の中で生きていく厳しさをそのまま描きながら、

それでも力強く生きていこうとする
バックの前向きな姿に感動しました。


これは確かに、
今後も読み返すに足る名作だと思いました。


ロンドンは、アメリカ人に珍しく、
社会主義者として知られているようですが、

今回読んだ限りでは、
『野性の呼び声』の中に、
社会主義を直接 賛美する要素はないようです。



翻訳を調べました。
(網羅していません。)



深町眞理子 訳『野性の呼び声』(光文社古典新訳文庫、平成19年9月)

辻井栄滋 訳『野性の呼び声』(現代教養文庫、平成13年12月。『決定版 ジャック・ロンドン選集1』〔平成20年6月〕に再録)

吉田秀樹 訳『野生の呼び声 ―名作再発見シリーズ』(あすなろ書房、平成11年9月)※挿絵多し。編訳か未見。

海保真夫 訳『荒野の呼び声』(岩波文庫、平成9年12月)

阿部知二 訳『荒野の呼び声』(偕成社文庫、昭和52年2月。初出は『世界大ロマン全集 第28巻 白い牙・荒野の呼び声』〔東京創元社、昭和32年〕)

大石真 訳『野性の呼び声』(新潮文庫、昭和34年6月)

三浦新市 訳『野性の呼び声』(河出文庫、昭和30年)

岩田欣三 訳『荒野の呼び声』(岩波文庫、昭和29年)

山本政喜 訳『荒野の呼び声』(角川文庫、昭和28年)


ロンドンの動物小説は、
『野性の呼び声』のほかにもう一つ、
『白い牙』という作品も有名なので、こちらも調べました。

深町眞理子 訳『白い牙』(光文社古典新訳文庫、平成21年3月)

辻井栄滋 訳『白牙』(現代教養文庫、平成14年6月)

神宮輝夫 編訳『白い牙 ― 痛快世界の冒険文学20』(講談社、平成11年5月)

白石佑光 訳『白い牙』(新潮文庫、改版、昭和33年11月)

阿部知二 訳『白い牙・荒野の呼び声 ―世界大ロマン全集 第28巻』(東京創元社、昭和32年)

本多顕彰 訳『白い牙』(岩波文庫、昭和32年)

山本政喜 訳『白い牙』(角川文庫、昭和28年)


これらの中から、
まずは深町眞理子さんか、
辻井栄滋さんを選ぶべきでしょうか。

『白い牙』は、白石佑光訳(新潮文庫)の勢いのある出だしにも惹かれています。

手に入れて読んでみて、また報告します。


※Wikipedia の「ジャック・ロンドン」「野生の呼び声」を参照。

※日本ジャック・ロンドン協会のホームページ
 〈http://www2d.biglobe.ne.jp/~to_yoshi/JLJAPAN.htm〉を参照。



※計34冊 計279,759語。