2015年3月29日日曜日

【読了】塩野七生著『ローマ人の物語23 危機と克服[下]』

塩野七海(しおのななみ)氏の
『ローマ人の物語』第23巻を読み終えました。


塩野七生著
『ローマ人の物語23 危機と克服[下]』
(新潮文庫、平成17年10月)
 ※初出〔単行本Ⅷ〕は新潮社、平成11年9月。

第21-23巻『危機と克服』では、

◯21巻
 皇帝ガルバ    (在位 68.6-69.1)
 皇帝オトー    (在位 69.1-69.4)
 皇帝ヴィテリウス (在位 69.4-69.12)
◯22巻
 皇帝ヴェスパシアヌス(在位 69.12-79.6)
◯23巻
 皇帝ティトゥス  (在位 79.6-81.9)
 皇帝ドミティアヌス(在位 81.9-96.9)
 皇帝ネルヴァ   (在位 96.9-98.1)

という7名の皇帝を取り上げていました。

カエサルの血を分けた「ユリウス=クラウディウス朝」が、
皇帝ネロまでで途絶えたのち、

およそ1年の内乱をへて、
皇帝ヴェスパシアヌスとその息子たち
(皇帝ティトゥス、皇帝ドミティアヌス)によって、
再びの安定を取り戻すまでが描かれていました。


といっても、

そろそろ流れがわからなくなってきましたので、
ローマ皇帝の移り変わりをまとめなおしておきます。


   ***

帝政ローマの礎を築いた
ガイウス・ユリウス・カエサル【第8-13巻】のあと、


遠縁にせよ、
カエサルの血を分けた皇帝が5代続きました。
この5代を「ユリウス=クラウディウス朝」と呼んでいます。

 ①皇帝アウグストゥス(在位BC31-AD14)【第14-16巻】
 ②皇帝ティベリウス (在位 14-37)【第17・18巻】
 ③皇帝カリグラ   (在位 37-41)【第18巻】
 ④皇帝クラウディウス(在位 41-54)【第19巻】
 ⑤皇帝ネロ     (在位 54-68)【第20巻】

皇帝ネロの自害によってカエサルの血が途絶えたあと、
ローマ帝国は内乱に陥り(ローマ内戦 68-70)、
互いに血のつながらない皇帝が4代続きました。

この時、
1年のうちに4人の皇帝が擁立されたので
「四皇帝の年」と呼ばれています。

 ⑥皇帝ガルバ   (在位 68-69)【第21巻】
 ⑦皇帝オトー   (在位 69)【第21巻】
 ⑧皇帝ヴィテリウス(在位 69)【第21巻】

4人目の⑨皇帝ヴェスパシアヌで安定が取り戻され、
息子2人が皇帝(⑩兄、⑪弟)として彼に続きました。
この3代を「フラヴィウス朝」と呼んでいます。

 ⑨皇帝ヴェスパシアヌス(在位 69-79)【第22巻】
 ⑩皇帝ティトゥス   (在位 79-81)【第23巻】
 ⑪皇帝ドミティアヌス (在位 81-96)【第23巻】

皇帝ドミティアヌスの暗殺によって
「フラヴィウス朝」が途絶えあと、

いわゆる「五賢帝時代」が訪れるのですが、
その1人目⑫皇帝ネルヴァまでが本巻に描かれていました。

「五賢帝」についてもまだ何も知らない状態ですので、
またしばらく読み進めてからまとめたいと思います。

2015年3月26日木曜日

【読了】Mark Twain, The Adventures of Tom Sawyer (LS Level1)

やさしい英語の本、通算101冊目!は、

IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル1(1,000語レベル)の4冊目として、

アメリカの小説家
マーク・トウェイン(1835.11-1910.4)の
小説『トム・ソーヤーの冒険』を読みました。

著者40歳の時(1876.6)にイギリスで刊行された作品です。
※アメリカ版は同年12月。


Mark Twain
The adventures of Tom Sawyer

Retold by David Thayne
〔Ladder Series Level1〕
IBC パブリッシング、2005年8月
17,540語


これまで『トム・ソーヤーの冒険』は、

2011年9月に
 マクミラン・リーダーズのレベル2
 (600語レベル 計8,200語)、

2012年7月に
 ペンギン・リーダーズのレベル1
 (300語レベル 計4,003語)、

2013年4月に
 オックスフォード・ブックワームズのステージ1
 (400語レベル 計5,825語)

を読んできたので、
4冊目のトムソーヤということになります。


今回は1,000語レベル(計17,540語)ですので、
これまでで一番読み応えがありました。

原著に近い33章構成で(原著は35章)、
翻訳で読んできたのに一番近い内容でした。

中学レベルの英文法で、
一文一文が短くまとめられていたので、
意外に読みやすかったです。


翻訳は、
土屋京子(つちやきょうこ)訳で読み終えて以来、
再読していなかったのですが、


土屋京子訳
『トム・ソーヤーの冒険』
(光文社古典新訳文庫、2012年6月)

ほぼ同時期に出版された
柴田元幸(しばたもとゆき)訳のおもしろさに気がついて、
最近読み始めたところです。


柴田元幸訳
『トム・ソーヤーの冒険』
(新潮文庫、2012年7月)


土屋訳が、
正統的な品の良い日本語に訳されているとすれば、

柴田訳は、
トウェインの毒気まで含んだ荒々しさのある
リズムの良い日本語に訳されており、

トウェイン本来の姿を伝えているのは
柴田訳のほうではないかしらと思い始めました。

柴田訳は、
若干とっつきにくいところもあるのですが、
はまると癖になりそうです。


※通算101冊目。計798,267語。

※Wikipediaの「マーク・トウェイン」を参照。

2015年3月25日水曜日

【読了】R.L.Stevenson, The Bottle Imp (LS Level1)

やさしい英語の本、通算100冊目!は、

IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル1(1,000語レベル)の3冊目として、


スコットランド生まれの小説家
ロバート・ルイス・スティーヴンソン(1850.11-1894.12)の
短編小説『びんの小鬼』を読みました。

筆者40歳の時、
 「ニューヨーク・ヘラルド紙」(ニューヨーク)1891年2-3月
 「ブラック・アンド・ホワイト紙」(ロンドン)1891年3-4月
に発表された後、

亡くなる1年前(1893)に出版された最後の短編集
『 Island Nights' Entertainments 』に収録された作品です。


Robert Louis Stevenson
The Bottle Imp

〔Ladder Series Level1〕
IBC Publishing 2005年8月
5,450語

まったく知らなかったのですが、
スティーヴンソンならばと思い、
読んでみました。

前半は何となくシリアスな印象で、
『ジキル博士とハイド氏』のような作品かと思ったら、

後半にかけて、
愛する人を守るための自己犠牲のお話になって、

最後はあっさりとハッピーエンドで終わる、
小気味よい読後感のあるお話でした。


個人的には
『ジキル博士とハイド氏』より好きです。


翻訳を探してみると、
よしだみどり氏の翻訳が出ていました。


よしだみどり訳/磯良一画
『びんの悪魔』
(福音館書店、2010年4月)

購入し、
やさしい英語版と併行して読み進めました。

ふつうに読みやすい訳文に仕上がっており、
すらすら読み進めることができました。

晩年(ただし44歳!)の
スティーヴンソンの作風を知る上でも興味深く、
最後の短編集に収められたほかの作品も読んでみたくなりました。

ただし本作以外は翻訳が出ていないようなので、
もう少し英語力を上げて、いずれ原文で読めるように、
日々の多読を続けていきたいと思います。


なお、よしだみどり氏には、
スティーヴンソンの伝記があるようなので、
近々手に入れたいと思っています。


よしだみどり著
『物語る人(トゥシターラ)―『宝島』の作者R・L・スティーヴンスンの生涯』
(毎日新聞社、1999年12月)


※通算100冊目。計780,727語。

※Wikipediaの「ロバート・ルイス・スティーヴンソン」を参照。

2015年3月13日金曜日

【読了】Jeanne-Marie Leprince de Beaumont, Beauty and the Beast (LS Level1)

やさしい英語の本、通算99冊目は、

IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル1(1,000語レベル)の2冊目として、

フランスの童話
『美女と野獣 Beauty and the Beastを読みました。

フランスの作家
ボーモン夫人(Jeanne-Marie Leprince de Beaumont 1711.4-1780.9)によって
1757年に発表された版が広く知られていますが、

それより17年ほど前、
ヴィルヌーヴ夫人(Gabrielle-Suzanne de Villeneuve 1695-1755.12)によって
1740年に発表されたのが最初のようです。

ただしヴィルヌーヴ夫人の童話は、
まとまったかたちでは翻訳されていないようであり、

不明なところも多かったので、従来通り
ボーモン夫人を童話の編者として掲げました。


Jeanne-Marie Leprince de Beaumont
Beauty and the Beast

Retold by Xanthe Smith Serafin
〔Ladder Series Level1〕
IBC Publishing 2006年9月
6,050語


『美女と野獣』のことは、
映画やミュージカルで名前のみ知っていましたが、
実際観ることはありませんでした。

今回初めて読んでみると、
童話だから当然かもしれませんが、

それほど心揺さぶられることもなく、
子供向けのありがちなお話が淡々と進み、

ハッピーエンドの中で、
心地よく読み終えることができました。


18世紀半ばの子供向けのお話なので、
そのままだと多少古めかしい感じがありましたが、

素材としてみると、
どのようにでも加工しやすく、
想像をふくらましやすい要素がつまっている
作品であることもわかる気がしました。


やさしい英語に書き直してあります。
特に文法は現在完了形もなく、いたってシンプルですが、
語彙は中3レベルまで目一杯使われています。

中3で英語が得意な子か、
高1・2生の多読(辞書なしですらすら読むの)に最適なレベルだと思います。


翻訳は、
鈴木豊(すずきゆたか)氏が、
ボーモン夫人の童話集をまとめて翻訳されています。


ボーモン夫人著/鈴木豊訳
『美女と野獣』
(角川文庫、1971年6月。1992年5月改版)

記述はわりと淡々としているので、
ふつうに楽しみで読むには多少退屈です。

話し手がいろいろと脚色し、
面白おかしく語りなおしをしたら、
全然違った印象になりそうでした。

ディズニーで映画化されているので、
近々そちらを観てみようと思います。


フランスの童話にはまったく注目して来なかったので、
『長靴をはいた猫』のシャルル・ペーロー(1628.1-1703.5)など、
古典的なものには目を通していこうと思いました。


※通算99冊目。計775,277語。

※Wikipediaの「美女と野獣」を参照。