イギリスの作家 A・A・ミルン(Alan Alexander Milne, 1882-1/18~1956-1/31)氏の児童小説『 The House at Pooh Corner 』を、2017年11月に刊行された森絵都(もりえと、1968年4月~ )氏の翻訳(『プー通りの家』角川文庫)で読みました。原書は1928年1月にイギリスのメシュエン出版(Methuen Publishing)から、E・H・シェパード(Ernest Howard Shepard, 1879-12/10~1976-3/24)氏の挿絵で刊行されました。第2作目ですが、これで完結です。
森絵都(もりえと)訳
村上勉(むらかみつとむ)絵
村上勉(むらかみつとむ)絵
『プー通りの家』
(角川文庫、2017年6月◇253頁)
(角川文庫、2017年6月◇253頁)
こちらも日本では、石井桃子(いしいももこ 1907-3/10~2008-4/2)氏が『プー横丁にたった家』という邦題で翻訳し、1942年6月に岩波書店から刊行されたのが初出です。よく知られている岩波少年文庫版は1958年9月に刊行(旧版。新版は2000年11月刊行)。手元には岩波少年文庫の新版が置いてありますが、翻訳から80年をへて、訳文に幾分の古めかしさを感じるのは避けがたいことで、今一つ馴染めないまま「積ん読」状態になっていました。
石井桃子(いしいももこ)訳
E・H・シェパード 絵
『プー横丁にたった家』
(岩波少年文庫、新版2000年11月◇272頁)
※旧版は1958年9月刊行。
今回は『クマのプー』に続き、森絵都氏の翻訳で『プー通りの家』を読んでみました。前作の勢いそのままに、違和感なくプーさんの世界にひたることができました。今の言葉でわかりやすく語り直されていて、魅力に富んだ村上勉(むらかみつとむ、1943年~ )氏の挿絵とともに、初めてプーさんの原作の魅力に近づくことができました。2冊で完結するその背景も興味深く、ミルン独特の世界観に惹きつけられました。今後もいろいろな方々に読んでいただきたい、高い完成度の作品だと思いました。
阿川佐和子(あがわさわこ、1953年11月~ )氏の新訳は手元においてあります。前作と同じく、魅力的な文体には惹かれたものの、挿絵が物語の背景をほとんど語っていないことに不満を覚えてまだ読んでいません。今後、あらすじがすっかり頭に入ったころに挑戦しようと思います。
阿川佐和子 訳
100%ORANGE(イラストレーション)
『プーの細道にたった家』
(新潮社、2016年7月◇234頁)