やさしい英語の本、通算177冊目は、
IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル2(1300語レベル)の15冊目として、
スコットランド生まれの小説家
ロバート・ルイス・スティーヴンソン
(1850年11月~1894年12月)の
小説『ジキルとハイド』を読みました。
著者35歳の時(1886年1月)に出版された作品です。
R. L. Stevenson
Dr. Jekyll and Mr. Hyde
ジキルとハイド[新版]
〔Ladder Series Level 2〕
IBC Publishing,Inc. 2014年6月
11,970語 ※編訳者の記載なし。
[新版]とあるので旧版を探してみると、
2006年8月にラダーシリーズのレベル4として刊行されていました。
レベルが2つも違うのですが、
見比べてみると、全く同じ章構成で、
文章もよく似ているので、
旧版(レベル4)を簡略化して
[新版](レベル2)ができたことがわかります。
やさしい英語では、2012年3月に
マクミラン・リーダーズのレベル3
(1,100語レベル/9,340語)で読んで以来なので、
2回目の『ジキルとハイド』になりました。
ただスティーブン独特の
よく練り込まれた文体が反映されているからか、
レベル2にしては文の構造がわかりにくく感じました。
***
翻訳は読みやすさ重視で選ぶなら、
岩波少年文庫の海保眞夫(かいほまさお)訳が一番です。
海保眞夫(かいほまさお)訳
『ジーキル博士とハイド氏』
(岩波少年文庫、2002年1月◇173頁)
海保訳は、この7年程前(1997年11月)に、
岩波文庫から大人向けの翻訳も刊行されていたからか、
原文に忠実かつよくこなれた訳文になっていて、
日本語として違和感を感じさせない、
見事な翻訳に仕上がっていると思います。
もとの岩波文庫のほうも、
少年文庫版ほど読みやすくはありませんが、
大人向けの味のある訳文ではあるので、
いずれじっくり取り組んでみたいです。
海保眞夫訳
『ジーキル博士とハイド氏』
(岩波文庫、1994年11月◇144頁)
ほかの訳本はまだ網羅していないので、
取り敢えず手元にある訳本を掲げておきます。
◯印をつけたものが読みやすいです。
佐々木直次郎(ささきなおじろう)訳
『ジーキル博士とハイド氏』
(新潮文庫、1950年*月◇119頁)
◯大谷利彦(おおたにとしひこ)訳
『ジーキル博士とハイド氏』
(角川文庫、1963年2月◇126頁)
田中西二郎(たなかにしじろう)訳
『ジーキル博士とハイド氏』
(新潮文庫、1967年3月◇頁)
百々佑梨子(ももゆりこ)訳
『ジキル博士とハイド氏』
(ポプラポケット文庫、2006年12月◇174頁)
※初出はポプラ社文庫(1985年7月◇174頁)
◯加藤まさし訳
『ジキル博士とハイド氏』
(講談社青い鳥文庫、1999年4月◇217頁)
夏来健次(なつきけんじ)訳
『ジキル博士とハイド氏』
(創元推理文庫、2001年8月◇154頁)
村上博基(むらかみひろき)訳
『ジーキル博士とハイド氏』
(光文社古典新訳文庫、2009年11月◇159頁)
田口俊樹(たぐちとしき)訳
『ジキルとハイド』
(新潮文庫、2015年1月◇153頁)
田内志文(たうちしもん)訳
『新訳 ジキル博士とハイド氏』
(角川文庫、2017年4月◇144頁)
スティーブンソンの文章を、
日本語としてうまく翻訳するのは一筋縄ではいかないようで、
新しいものが必ずしも読みやすいわけではないので、
注意が必要です。
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