2012年3月30日金曜日

【読了】バーネット 『小公女』(鈴木美朋 訳)



フランシス・ホジソン・バーネット著
鈴木美朋 訳『小公女』(ヴィレッジブックス、平成24年3月)


バーネットは、
以前『秘密の花園』を読んで、
強い感銘を受けていました。

そのうち他の作品も、と思っていましたが、

『小公子』や『小公女』は
表紙が子ども向けのものばかりで、
二の足を踏んでおりました。


最近ヴィレッジブックスから
「おとなの少女文学」シリーズと題して、
過去の名作が新訳で刊行されることを知り、
注目していました。

同シリーズの翻訳は、必ずしも
読みやすいものばかりではないようですが、

この『小公女』は
本屋で手にとってみると、
波長が合って読みやすかったので、
読んでみることにしました。


翻訳者は違っていても、
『秘密の花園』で記憶していた
バーネット独特の世界が広がり、
楽しみながら、あっという間に読み終えることができました。

子ども向けの作品ながら、
感情描写のおどろくほどの冴えは、

幼いころに父親を亡くし、
苦労を重ねたバーネットの経験がもたらしたものでしょう。

お金持ちを描いた部分には
多少違和感があったのですが、

全体として『秘密の花園』につぐ感銘を受けた作品でした。
これはぜひ、原文でも読んでみたいと思います。


翻訳もたくさん出ています。
網羅的ではありませんが、手に入りやすいものをあげておきます。

 伊藤整 訳『小公女』
  (新潮文庫、改版、昭和28年12月)

 谷村まち子 訳『小公女(上・下)』
  (偕成社文庫、昭和60年8月)

 曽野綾子 訳『リトルプリンセス ―小公女― 新装版』
  (講談社青い鳥文庫、平成19年10月)

 秋川久美子 訳『小公女』
  (ポプラポケット文庫、平成19年1月)

 秋川久美子 訳『リトルプリンセス ―小公女セアラ―』
  (西村書店、平成20年12月))

 河原れん 訳『小公女セイラ ―リトルプリンセス―』
  (SDP、平成21年9月)

 高楼方子 訳『小公女』
  (福音館古典童話シリーズ、平成23年9月)

教室には、曽野綾子さんの訳本が置いてあります。

2012年3月21日水曜日

【読了】Robert Louis Stevenson, Dr Jekyll and Mr Hyde(MMR Elmentary)

やさしい英語の本、
MMRシリーズの17冊目は、
『宝島』でよく知られるイギリスの小説家
ロバート・ルイス・スティーヴンソン(1850-11/13生 1894-12/3没)の
もう一つの代表作『ジキル博士とハイド氏』を読みました。



Robert Louis Stevenson
Dr Jekyll and Mr Hyde

Retold by Stephen Colbourn
(Macmillan Readers Elmentary Lever)

2005年刊(9,340語)


有名な話しですが、
これまで読んだことはありませんでした。

これは何という分野になるのでしょう。

犯人探しの推理小説のようでもあり、
ジキル博士の苦悩を描いた心理小説のようでもある。

読んでいて
明るい気持ちになる作品ではないので、

それほど好きな内容ではありませんが、
それなりに興味深い、楽しめる作品でした。

わからない単語が多めでしたが、
文法的にはわかりやすい文章ばかりでしたので、
ふつうに楽しんで、読み通すことができました。

日本語訳も色々出ていますが、

村上博基 訳(光文社古典新訳文庫、平成21年11月)

を購入してあります(未読)。

翻訳を読む前に、
英語の簡略版を読んで、
あらすじを知る、というのも面白いものです。


語数はようやく15万語を超えたところですが、

やはり量をこなすことで、
前よりも英文を読むときの違和感が
減ってきたことを強く感じます。

何より、
特に勉強している気はなく、
遊びで読み進められるのがいいです。

年末までに30万語くらい読めるように、
月に2,3冊ずつ続けていこうと思います。


※計17冊 計145,333語。

2012年3月12日月曜日

【読了】與謝野晶子 『全訳 源氏物語 三』



紫式部 著/與謝野晶子 訳
『全訳 源氏物語 三 新装版』
(角川文庫、平成20年4月)

※「蛍(ほたる)」「常夏(とこなつ)」
 「篝火(かがりび)」「野分(のわき)」
 「行幸(みゆき)」「藤袴(ふじばかま)」
 「真木柱(まきばしら)」「梅が枝(うめがえ)」
 「藤のうら葉(ふじのうらは)」
 「若菜(わかな) 上」「若菜 下」の11帖を収録。


第2巻から1月半ほどかけて、
第3巻を読み終わりました。

掲載のカバーは、もともと
紅葉をあしらった和装の
センスの良いものでした。

この新しい表紙には違和感があります。


このあたりからは、
まだまだざっとあらすじが
頭に入っているくらいなので、

魅力を深く味わうのには
もう少し時間がかかると思いますが、

平安朝に思いを寄せて、
急がず騒がず、のんびりと読み進めるうちに、
独特の魅力にはまっていました。


因果応報の「若菜」の帖に至り、
恋に生き、苦しむ人々の感情の渦巻きに、
よくこんな小説が書けたなと、
感心しました。


では、次は第4巻に進みます。

2012年3月6日火曜日

【読了】塩野七生 『ローマ人の物語』9

ひと月ほどかけて、
『ローマ人の物語』の第9巻を読み終えました。



塩野七生 著
『ローマ人の物語9 ユリウス・カエサル ルビコン以前[中]』
(新潮文庫、平成16年9月。初出は平成7年9月)

 第五章 壮年前期 Virilitas
     紀元前六〇年~前四九年一月(カエサル四十歳―五十歳)

  ガリア戦役一年目(紀元前五八年)
  ガリア戦役二年目(紀元前五七年)
  ガリア戦役三年目(紀元前五六年)
  ガリア戦役四年目(紀元前五五年)
  ガリア戦役五年目(紀元前五四年)


十年に及ぶガリア戦役の前半を描いた1冊です。

『ガリア戦記』は随分前から
本棚に並んでいたのですが、
翻訳とはいえ、まったく馴染みのない
人名、部族名、地名の連続で、読み通すことはできませんでした。

本書は、塩野氏の手による
『ガリア戦記』のすぐれた解説書にもなっております。
こうしたていねいな手引きがあって初めて、
『ガリア戦記』が私の側に近寄ってきた気がします。

近々また手に取ってみようと思います。


しかしこれだけの
戦記を残しうる知力の持ち主は、
確かに尽きない魅力のある人物だと、

だんだんカエサルの魅力にはまっている私がいます。

このカエサルにして、
若き20代、30代において、
不遇の時期を送りながら、少しずつ
政治的な基盤を整えていくさまは、
たいへん勉強になりました。

集団の意見を統一して、
ひとつの方向へ向かわせようとするなら、
それ相応の準備が必要となることを、
勉強しました。


では次は、10巻に進みましょう。