Oxford Bookworms のStage2(700語レベル)の14冊目は、
イギリスの作家
フレデリック・マリアット(1792.7-1848.8)の
小説『ニューフォレストの子供たち』を読みました。
マリアットが亡くなる前年、
55歳の時(1847)に刊行された作品です。
Captain Marryat
The Children of the New Forest
Retold by Rowena Akinyemi
(Oxford Bookworms Stage2)
This simplified edition (c)Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1996
6,605語
マリアットについて何も知らないので、
巻末の「ABOUT THE AUTHOR」を参照すると、
マリアットは1792年、ロンドン生まれ。
14歳の時(1806)イギリス海軍に入隊し、
28歳の時(1820)艦長に昇進したことにちなみ、
キャプテン・マリアットとも呼ばれたそうです。
38歳の時(1830)に海軍を除隊して以降、
作家活動に専念するようになりました。
一般向けの代表作として、
Peter Simple (1834)
Mr Midshipman Easy (1836)
の2作が挙げられています。
邦訳は、
伊藤俊男訳
『ピーター・シムプル』
(岩波文庫、上中下3冊、昭和16年10月、同17年5・9月)
があり、最近復刊されたようですが、未見です。
児童文学に取り組むようになったのは後年のことで、
この分野の代表作として、
Masterman Ready (1841)
The Children of the New Forest (1847)
の2作が上げられています。
近年はむしろ、
子供向けの作品で知られているようですが、
日本ではほとんど紹介されていないままのようです。
ニューフォレストの子どもたち (1983年)
前川俊子訳
『ニューフォレストの子どもたち』
(私家版 岩波ブックセンター信山社、昭和58年5月 254頁)
が出ており私家版ですが、
古本で見つかったので手に入れてみたところ、
巻末の「あとがき」(253頁)に、
「忠実に全訳したためあまりに枚数がかさみ、
これでは活字離れを嘆かれている世代に読んでもらえないのではと考え、
さらにダイジェスト版作成のために年月を費やしてしまいました」
とあり、編訳版であることがわかりました。
とはいえ、
上下2段組で250頁になる分量で、
読み応えのある一冊に仕上がっています。
10数年かけて全訳したのち、
さらに12年かけて編訳版を完成しているので、
ていねいに推敲を重ねた
すぐれた翻訳になっていると思います。
このまま、
岩波少年文庫や偕成社文庫に収められていても、
何の遜色もありません。
近々読んでみようと思います。
***
父母を失った4人兄弟姉妹が
ニューフォレストの森で助け合いながら生き抜き、
それぞれに成長していく様を描いた歴史冒険小説です。
1645年のネイズビーの戦いで、
チャールズ1世率いる国王軍についた父が戦死。
(清教徒革命におけるイングランド内戦で、
議会軍側の勝利を決定づけた戦い)
数ヶ月後に母をも失った4人兄弟姉妹が、
クロムウェル率いる
議会軍の連中に生家を焼かれ、
逃げのびたニューフォレストの森での暮らしが物語の中心となっています。
1649年にチャールズ1世が処刑され、
クロムウェルの独裁による共和国時代をへて、
1660年に王政復古し、
チャールズ2世が即位するまでが、
小説の背景として描かれてますので、
歴史冒険小説としても面白く読めると思います。
ぜひとも全文を読んでみたくなりました。
※通算81冊目。計623,757語。
※森護著『英国王室史話(下)』(中公文庫、平成12年3月)を参照。
※Wikipediaの「ネイズビーの戦い」「チャールズ1世(イングランド王)」「チャールズ2世(イングランド王)」「オリバー・クロムウェル」「清教徒革命」の各項目を参照。
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