アンナ・シュウエル(1820.3-1878.4)の
小説『黒馬物語』を読みました。
57歳の時(1877.11)に刊行された、
シュウエル生涯唯一の作品です。
アンナ・シュウエル著
土井すぎの訳
『黒馬物語』
(岩波少年文庫、昭和28年8月。第33刷改版、昭和62年5月)
今年の1月に、
ペンギン・リーダーズのレベル2(400語レベル)で、
初めて『黒馬物語』を読んだあと、
いくつか翻訳を探してみた中で、
一番好感のもてた土井氏の翻訳を読み終えました。
今から61年前の翻訳であり、
文体には多少の古さを感じさせるのですが、
非常にていねいな言葉づかいで
すみずみまで心配りの効いた翻訳であり、
読み慣れてくると、
土井氏の作品への愛情が良く伝わってきて、
心地よく読み進めることができました。
ふだん馬が身近にいるわけではないので、
専門の方からみてどうなのかはわかりませんが、
読んでいて、
シュウエルが馬と馬に関わる人々のことを、
愛情深い眼で、実によく観ているな、と感心しました。
翻訳は、
白石佑光訳
『黒馬物語』
(新潮文庫、昭和35年7月)
藤原英司訳
「黒馬物語」
(講談社『世界動物文学全集7』昭和54年5月)
※この他、グレンドン・スワースアウト著/安達昭雄訳「動物と子供たちの詩」と、バージニア・マッケンナ著/藤原英司訳「私の友だちには尻尾がある」を併録してある。
の二つを手に入れましたが、
ほかにも次の翻訳が見つかりました(未見)。
前田美恵子訳
『黒馬物語』
(春陽堂少年少女文庫 世界の名作・日本の名作、昭和54年2月)
渡辺美里訳
『黒馬物語』
(ハヤカワ文庫、昭和49年)
吉田勝江訳
『黒馬物語』
(角川文庫、昭和30年)
※小学館 少年少女世界名作文学全集33、昭和39年5月に再録。
喜多謙訳
『黒馬物語』
(偕成社、世界名作文庫、昭和26年)
※偕成社 少年少女世界の名作13 改訂新版、昭和58年1月に再録。
山田昌司訳
『黒馬物語』
(岩波文庫、昭和25年)
子供向けも含めるとまだまだあるようですが、
いずれも最近のものではないので、
そろそろ新しい翻訳がほしいところです。
お勧めの名作です。
※Wikipediaの「アンナ・シュウエル」を参照。
0 件のコメント:
コメントを投稿