2014年12月31日水曜日

【読了】Tim Vicary , The Bronte Story (OBW Stage3)

やさしい英語の本、通算94冊目!

オックスフォード・ブックワームズの
ステージ3(1,000語レベル)の5冊目として、

イギリスの作家
ティム・ヴィカリー(1949-)が執筆した
歴史小説『ブロンテ家の物語』を読みました。

『ジェイン・エア』『嵐が丘』など、
イギリスを代表する女流作家として知られる
ブロンテ姉妹の評伝です。

父親パトリックが、
三姉妹をはじめとするブロンテ家の歴史を語る、
という形式で、

初学者にもわかりやすく整理されていました。


Tim Vicary
The Brontë Story

〔Oxford Bookworms Stage3〕
This edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1991
10,600語


シャーロットの『ジェイン・エア』と
エミリの『嵐が丘』を読んで、

ブロンテ家への興味を掻き立てられていた時期だったので、
とても興味深く読み進めることができました。

父 パトリック・ブロンテ(1777.3-1861.6)84歳
母 マリア・ブランウェル(1783.4-1821.9)38歳

1812年12月 結婚

 長女 マリア・ブロンテ  (1814.1-1825.5)11歳
 次女 エリザベス・ブロンテ(1815.2-1825.6)10歳
 三女 シャーロット・ブロンテ(1816.4-1854.3)38歳
 長男 ブランウェル・ブロンテ(1817.6-1848.9)31歳
 四女 エミリ・ブロンテ(1818.7-1848.12)29歳
 五女 アン・ブロンテ (1820.1-1849. 5)29歳

父パトリックと母マリアのもと1男5女に恵まれていますが、
みな若くして亡くなっています。

亡くなった順に並べ直してみると、

 母 マリア・ブランウェル(1783.4-1821.9)38歳
 長女 マリア・ブロンテ (1814.1-1825.5)11歳
 次女 エリザベス・ブロンテ (1815.2-1825.6)10歳
 長男 ブランウェル・ブロンテ(1817.6-1848.9)31歳
 四女 エミリ・ブロンテ (1818.7-1848.12)30歳
 五女 アン・ブロンテ  (1820.1-1849. 5)29歳
 三女 シャーロット・ブロンテ(1816.4-1854.3)38歳
 父 パトリック・ブロンテ(1777.3-1861. 6)84歳

となっています。

パトリックが84歳まで長生きしたほかは、

10歳位で長女と次女が、
30歳前後で長男と四女と五女が亡くなり、
38歳の時に妻と三女が亡くなっています。

恐らく当時の平均寿命からみて、
それほど異例なことではないのでしょうが、

牧師である父のもと、
裕福とは言えないものの、
それなりに整った暮らしぶり
(著作活動に至る背景)が描かれていたので、
当時の衛生環境はどんなだったのだろうと興味がわきました。


ブロンテ姉妹について、
日本語で書かれた概説書はたくさん出ているので
選択に困ります。

1冊だけなら、
最新の研究を踏まえた


中岡洋・内田能嗣編
『ブロンテ姉妹を学ぶ人のために』
(世界思想社、2005年2月)

がお勧めです。ただしこれは、
どちらかといえば研究者仕様であり、
楽しみながらぐいぐい読ませる内容ではありません。

まだこれはと思えるものに出会っていませんが、
気になっている1冊があります。


青山誠子著
『ブロンテ姉妹』
(清水書院 Century Books 人と思想、1994年12月)

このシリーズは、
新書サイズでわかりやすくまとめてあるものが多いので、
手に入れて読んでみようと思っています。


※通算94冊目。計741,768語。

※生没年などの情報は、「ブロンテ姉妹年譜」(中岡洋・内田能嗣編『ブロンテ姉妹を学ぶ人のために』世界思想社、2005年2月所収)を参照。

2014年12月27日土曜日

【読了】エレナ・ポーター著(村岡花子訳)『パレアナの青春』〔角川文庫〕

アメリカ合衆国の小説家
エレナ・ポーター(1868.12-1920.5)の
小説『パレアナの青春 Pollyanna Grows Upを読みました。

著者46歳の時(1915.3)に出版された作品です。


エレナ・ポーター著
村岡花子訳
『パレアナの青春』
〔角川文庫、昭和37年8月。改版、昭和61年1月〕


前作『少女パレアナ』の続編です。

前作の記憶が薄れるのを待って、
続編を手に取りました。

前作と同じく、
どんな時にも前向きに、
生きていくことの素晴らしさを伝えつつも、

それだけではない、
人生の苦痛に少しだけ足を踏み入れて、
大人に向かって成長していくパレアナの姿が描かれていました。

村岡氏の翻訳は、
最新の訳には見られない古めの言い回しもありましたが、

もともと子ども向けの訳なのか、
全体的にわかりやすく仕上がっていたと思います。


構成面では、
多少取ってつけたようなところもあり、
先が読めてしまう弱さもあるのですが、

弱点を補って余りある、
パレアナの放つ明るく前向きの勢いに、
心洗われるひと時を送ることができました。

これはぜひ、
いずれ原文でも読んでみようと思い、
『少女パレアナ』と『パレアナの青春』
をセットで注文したところです。




実際読めるのは、
まだしばらく先のことだと思いますが、
そろそろ1冊、2冊と原書を買い込んで、

将来読んでみたい作品を
本棚に並べ始めています。

いずれこれらを、
日本語の小説を読むようにスラスラ読めるようになるぞ!
と思うと、

英語の勉強を続ける意欲がわいてきます。

40代のうちに、バーネットやボームなど
簡単めの児童文学ならそのままで楽しめるようになりたいな、
と思っていますがどうでしょうか。


※Wikipediaの「エレナ・ホグマン・ポーター」を参照。

2014年12月16日火曜日

【読了】Robert Louis Stevenson , Kidnapped (OBW Stage3)

やさしい英語の本、通算93冊目!

オックスフォード・ブックワームズの
ステージ3(1,000語レベル)の4冊目として、

スコットランド生まれの作家
ロバート・ルイス・スティーヴンソン(1850.11-1894.12)の
小説『誘拐されて』を読みました。

著者35歳の時(1886.7)に刊行された小説、
小説『宝島』の刊行(1883.11)から2年8ヶ月後の作品です。


Robert Louis Stevenson
Kidnapped

Retold by Clare West
〔Oxford Bookworms Stage3〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1995
12,435語


本書は、
『宝島』の主人公と同じタイプの
少年デイビッドが活躍する冒険小説です。

また、1746年にスコットランドでおきた「カロデンの戦い」
ジャコバイトによるグレートブリテン王国に対する最後の組織的抵抗)を踏まえ、

それから5年後(1751)の
スコットランドを舞台に繰り広げられる歴史小説でもあります。

何も知らずとも、
『宝島』に似た冒険小説として
ふつうに楽しむことができますが、

せっかくなので歴史的な背景について手短にまとめておきます。


ジャコバイトとは、
1688年の名誉革命でフランスに追放された

 ステュアート朝のジェームズ2世/7世
 (イングランドとアイルランドの王ジェームズ2世
  /兼スコットランド王ジェームズ7世)

とその直系男子を、正統な国王としてその復位を支持する勢力です。

ジャコバイトの王位請求者は、この後

 ジェームズ2世/7世
 ジェームズ3世/8世(ジェームズ2世/7世の次男)
 チャールズ3世(ジェームズ3世/8世の次男)
 ………

と続いていくのですが、
彼らの復位に向けた大きな動きとして、

 1715年の反乱1745年の反乱

という2つの武力蜂起があり、
後者(1745年の反乱)の最後に起こったのが

 カロデンの戦い(1746)

でした。この戦いで、
ジェームズ3世/8世が敗北したことによって、

ジャコバイトの王位請求者が、
国王に復位する可能性は完全に絶たれたそうです。


ステュアート朝は、
スコットランドを起源としていたこともあって、
ジャコバイトのおもな支持基盤はスコットランドにありました。

スティーヴンソンはスコットランド生まれなので、

この小説もどちらかと言えば、
ジャコバイトを擁護する立場から描かれています。


  ***

『誘拐されて』は昨年の9月、

ペンギン・リーダーズのレベル2
(600語レベル 総語数9,104語)で読み終えているので、
やさしい英語で2度目の挑戦になります。

語彙が増え、文章も長くなっていたので、
前のより明らかにむつかしくなっていましたが、

すでに全訳も読み終えていたので、
特に苦労せず読み終えることができました。

辞書はひかないのが原則ですが、

やはり1ランクアップすると
わからない単語がところどころ出てきます。
(数ページに1、2語?)

前後の文脈でわかる場合がほとんどですが、
どうしても気になる時は辞書をひいています。

大きなのは持ち運びに不便で、
ひくのも多少手間がかかるので、

ふだんは


堀内克明編
『ポケット プログレッシブ英和辞典 第2版』
(小学館、平成13年2月)

を愛用しています。

あとはパソコンの検索機能を時々利用しています。
それでほぼ事足りるので、電子辞書は持っていません。


  ***

翻訳は、
昨年(2013年)11月に、
坂井晴彦訳を読み終えています。


坂井晴彦(さかいはるひこ)訳
『さらわれたデービッド』
(福音館書店、1972年4月)

42年前の訳ですが、
今でも十分に通用する
よくこなれた読みやすい翻訳だと思います。

これ以外だとさらに19年さかのぼって

大場正史訳
『誘拐されて』
(角川文庫、1953年)

があるくらいなので、
まずは坂井訳を読まれるべきだと思います。

『宝島』より多少わかりにくいところがあるかもしれませんが、
もう少し読まれていもいい名作だと思います。


※通算93冊目。計720,517語。

※書誌情報は、スティーヴンスン著/海保眞夫訳『ジーキル博士とハイド氏』(岩波文庫、1994年11月)略年譜を参照。