半年ほど前に
ネット散策をしていて、
金原瑞人氏の翻訳で、
オスカー・ワイルドの『幸せな王子』が読めることを知りました。
しかも独創的で美しい刺繍仕立ての絵本で。
いずれ購入しようと思っていたところ、
つい最近、近くの本屋に並んでいたのを見つけたので、
買ってきました。
観ました。
読みました。
感動しました。
オスカー・ワイルド著
金原瑞人(かねはらみずと)翻訳
清川あさみ(きよかわあさみ)絵
今井智己(いまいともき)写真
『幸せな王子』
(リトルモア、2006年3月)
絵本には興味があるのですが、
さすがにお金が続かないのでほとんど手を出していません。
刺繍によって絵本を作るということが、
どれくらいポピュラーなのかわかりませんが、
今回の絵本、
何より刺繍で各場面を描かれた
清川あさみ氏の高い芸術性に心を揺さぶられました。
一見、抽象的な表現のなかにも
程良いぬくもりとユーモア、
淡く切ない悲しみ、やさしい愛情が感じられ、
物語の可憐な美しさがうまく表現されていたと思います。
金原瑞人氏の翻訳は、
かねてからの誰にも読みやすい文体で
さらりと進んでいきますが、
強い表現力を感じさせる清川氏の刺繍と、
淡々とした感じの文章がよく合っていると思いました。
ただし編集上、文章によって
ところどころ活字の大きさを変えているのは、
かえって読みにくいように感じました。
同じ大きさの明朝体で
淡々とした感じを出したほうが、
金原氏の文体の冴えを感じさせたように思います。
また恐らく大人向けの絵本という意図なのか、
漢字にあまりフリガナをふっていないのも残念です。
小学生にも読めるように総ルビにしてほしかったです。
この絵本の美しさは、
小さくてもわかる人にはわかるはずです。
清川あさみ氏の作品、
これから注目していこうと思います。
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