マクミラン・リーダーズの
レベル3(1100語レベル)の8冊目として、
イギリスの小説家
アーサー・コナン・ドイル(1859.5-1930.7)の
推理小説『バスカヴィル家の犬』を読みました。
シャーロック・ホームズ・シリーズの
3番目の長編小説であり、
著者42歳の時に、
月刊誌『ストランド The Strand Magazine 』
1901年8月号から1902年4月号まで、
9回に分けて連載され、
連載終了前の1902年3月に
単行本が刊行されました(英国版)。
※米国版は月刊誌『ストランド』
1901年9月から1902年5月まで連載。
単行本は1902年4月に刊行。
Sir Arthur Conan Doyle
The Hound of the Baskervilles
〔Macmillan Readers Level 3〕
This retold version by Stephen Colbourn for Macmillan Readers
First published 1992
This edition first published 2005
8,901語
ホームズ物は、
小中学生の時にほんの少しかじった程度なので、
書名だけ知って読んでいない作品がたくさんあります。
『バスカヴィル家の犬』も
書名は子供の頃から知っていましたが、
読むのは今回が初めてでした。
著者34歳の時(1893年12月)に発表された
24番目の短編「最後の事件 The Final Problem 」で
ホームズを死亡させたドイルが、
ホームズ物を再開するきっかけになったのが、
ドイル42歳の時(1901.8-1902.4)に発表された
3番目の長編『バスカヴィル家の犬』でした。
発表の前年、
41歳の時(1900.7)にイギリスの駆け出しの作家
バートラム・フレッチャー・ロビンソン
(Bertram Fletcher Robinson 1870.8-1907.1)
と出会い、
彼から物語の着想を得たことが、
8年余りの沈黙を破るきっかけとなったそうです。
原作者としてどの程度寄与していたのか、
興味深い議論があるようですが、
ここでは深入りしません。
ちなみに25番目の短編
「空き家の冒険 The Adventure of the Empty House 」
が発表されたのは、
それから1年半をへた44歳の時(1903年10月)のことでした。
***
やさしい英語版とはいえ、
ホームズの長編を読めるのか心配でしたが、
読みやすい英文で、
あらすじのみ上手にまとめてあって、
楽しみながら読み進めることができました。
翻訳は、
まずほかの短編の時と同じように、
日暮まさみち訳を手に入れました。
日暮まさみち訳
『名探偵ホームズ バスカビル家の犬』
(講談社青い鳥文庫、2010年12月)
子供向けに、
文章を若干読みやすくしてあるので、
短編のあらすじを急いで知りたい時に便利だったのですが、
長編だとかえってまどろっこしい感じもありました。
そこで、大人向けの
日暮雅通(ひぐれまさみち)訳を手に入れてみたところ、
こちらのほうが
歯切れのよい、テンポ感のある訳文で、
全体的にうまく整理されている感じがあって、
先へ先へと読み進めることができました。
日暮雅通(ひぐらしまさみち)著
『新訳シャーロック・ホームズ全集 バスカヴィル家の犬』
(光文社文庫、2007年7月)
大人向けの翻訳は、
このほか以下の4点も手に入れましたが、
読みやすさの点では、
日暮雅通訳が秀でているように感じました。
延原謙(のぶはらけん)訳
『バスカヴィル家の犬』
(新潮文庫、1954年5月。103刷改版、2011年6月)
※2011年の改版において、延原謙氏の嗣子延原展氏の手により、訳文の修正が行われている。
小林司/東山あかね共訳
[注・解説]W・W・ロブスン(高田寛訳)
『シャーロック・ホームズ全集5 バスカヴィル家の犬』
(河出文庫、2014年4月)
※単行本は河出書房新社、2002年5月刊。1993年刊の「オックスフォード大学出版社版の注・解説付 シャーロック・ホームズ全集」の文庫化(文庫458頁参照)。
深町眞理子訳
『バスカヴィル家の犬』
(創元推理文庫、2013年2月)
駒月雅子訳
『バスカヴィル家の犬』
(角川文庫、2014年2月)
子供向けの翻訳としては、
古本屋で偶然手に入れた
偕成社の完訳決定版 シャーロック=ホームズ全集
からの1冊が、個人訳ではありませんが
凝った作りの丁寧な翻訳で好感がもてました。
各務三郎訳
『シャーロック=ホームズ3 バスカビル家の犬』
(偕成社、1985年8月)
※通算121冊目。計992,916語。
※Wikipediaの「アーサー・コナン・ドイル」「バスカヴィル家の犬」「最後の事件」を参照。
※書誌の情報は、日暮雅通著『新訳シャーロック・ホームズ全集 バスカヴィル家の犬』(光文社文庫、2007年7月)の解説を参照。
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