2016年6月29日水曜日

【135冊目】 Alexandre Dumas, The Count of Monte Cristo (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算135冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベル)の5冊目として、

フランスの小説家
アレクサンドル・デュマ(1802.7-1870.12)の
小説『モンテ・クリスト伯』を読みました。

著者42-43歳の時、
1844年8月から46年1月にかけて
新聞「デバ紙」上に発表された作品です。


Alexandre Dumas
The Count of Monte Cristo

Retold by Karen Holmes
〔Penguin Readers Level 3〕
First published 2000
This edition first published 2008
12,014語

『モンテ・クリスト伯』は2年程前(2014年7月)、
1冊に編訳されたもので読み終えたのが初めてでした。


矢野徹(やのてつ)編訳
『巌窟王―モンテ・クリスト伯』
(講談社青い鳥文庫、1989年5月)

無実の罪によって地下牢に14年も囚われの身になった男
ダンテスの復讐劇という舞台設定は、読んでいて共感を覚えやすく、
手に汗握りながら読み進めることができました。

悪を懲らしめるためなら復讐を認めてもいいのか、
疑問に思うところもありましたが、

俗っぽいところに拍手喝采するのも
人間のありのままの姿ではあるので、
難しいことは言わずに共感しておけば良いのだと納得することにしました。

今回のやさしい英語版では、
後半の復讐劇は描かれておらず、
ダンテスが地下牢から脱獄し、自由の身となって、
財宝を手に入れ家族のもとへと帰るところまでで終わりとなっていました。

肝心の復讐劇がカットされていたわけですが、
それでも意外に面白く読めたのは、

前段だけで十分意外性に富む物語がどんどん展開されていくので、
よく知られた場面を思い出しながら
楽しんで読み進めることができました。

  ***

この機会に再び翻訳をと思い、
編訳版のなかでは最新の大友徳明(おおとものりあき)訳を読み始めました。


大友徳明訳
『モンテ・クリスト伯(上・下)』
(偕成社文庫、2010年10月)

そっけない感じの淡々とした訳文ですが、
変に飾り立てしないところを気に入り、
上巻はもう読み終えました。

もう一点、
昨年末に刊行されたばかりですが、
森山絵凪(もりやまえな)氏の漫画による
『モンテ・クリスト伯爵』も思わぬ力作で楽しめました。


森山絵凪漫画
『モンテ・クリスト伯爵』
(白泉社、2015年12月)
 ※初出は『ヤングアニマル増刊 嵐』2014年11・12号、2015年1-10号。

森山氏にとってかなり思い入れのある作品のようで、
勢いのある作画で全編をわずか1冊にまとめ上げており、
巧みな手腕に脱帽しました。

いずれは全訳はとも思っていますが、
 山内義雄(やまのうちよしお)訳(岩波文庫7冊、1956年2月-57年1月)、
 新庄嘉章(しんじょうよしあきら)訳(講談社文庫5冊、1974年12月-75年6月)、
 最新の大矢タカヤス(新井書院、2012年6月)訳、
いずれを選ぶか迷っているところです。

はじめは最新の大矢訳をと考えていたのですが、
定評ある山内訳も悪くないのではと思い始めています。

新庄訳をまだ手に入れていないので、
そちらも手に入れてから、どれか選んで全訳にも挑戦しようと思っています。


※第135冊目。総計1,160,887語。

2016年6月14日火曜日

【134冊目】 Alan Jay Lerner, My Fair Lady (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算134冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベル)の4冊目として、

アイルランドの作家
バーナード・ショー(Bernard Shaw 1856.7-1950.11)の
戯曲『ピグマリオン(Pygmalion )』を原作として、

アメリカの作家
アラン・ジェイ・ラーナー(Alan Jay Lerner, 1918.8-1986.6)が台本を書き下ろした
ミュージカル『マイ・フェア・レディ(My Fair Lady )』の小説版を読みました。

原作の戯曲は1913年10月に初演、
ミュージカルは1956年3月に初演されました


Alan Jay Lerner
My Fair Lady

Retold by Derek Strange
〔Penguin Readers Level 3〕
This adaptation first published by Penguin Books Ltd 1997
This edition first published 2008
8,116語

戯曲の初演から51年をへた1964年12月に
監督ジョージ・キューカー(George Cukor, 1899.7-1983.1)、
主演オードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburm, 1929.5-1993.1)で
ミュージカル映画『マイ・フェア・レディ』が公開されています。

私が本作に出会ったのもこの映画によってでした。

20代後半(2000年頃?)に、
映画『ローマの休日』をみてにわかファンになった
オードリー主演の映画を1作ずつ観ていくうちに
『マイ・フェア・レディ』に出会いました。

ただ当時はミュージカルについて
何も知らなかったこともあってか、
今一つ良さがわからぬまま終わっていました。

今回やさしい英語で読むのに合わせて、
映画のDVDを買い直してみたのですが、

やはり音楽が魅力的であることを除けば、
そこまで惹き込まれることはありませんでした。

我々が日常的に話す言葉の問題という
堅めのテーマが扱われているからなのか、
今観るとさほど面白いお話にも思えませんでした。

やはりミュージカルである以上、
歌と踊りを楽しみに、舞台で実演に接するのが一番なのかもしれません。

やさしい英語で読んでみると、

物語の場面場面で挿入される歌が
そのまま掲載されているのですが、
歌詞の意味を取るのに苦労しました。

詩はまだ難しいです。
ミュージカル映画のほうをよく知っている人が、
映画を思い出しつつ楽しむ1冊のように思います。


  ***

今回調べてみたところ、
アラン・ジェイ・ラーナー氏による
ミュージカル台本をそのまま翻訳したものは見当たらなかったのですが、

バーナード・ショウ氏による原作の戯曲は、最近、
小田島恒志(おだしまこうし)氏の翻訳で刊行されていました。


バーナード・ショー著
小田島恒志(おだしまこうし)訳
『ピグマリオン』
(光文社古典新訳文庫、2013年11月)

新国立劇場で、
2013年11月13日から12月1日まで
宮田慶子氏の演出、石原さとみ氏の主演で、
翻訳上演されるのに合わせて準備されたものだけに、

現代の日本語として違和感のない、
読みごたえのある作品に仕上がっていました。

映画よりも細かいところまで書き込まれていて、
知的だけれどもユーモアに富んだ
バーナード・ショウの本来の魅力がよく伝わって来ました。

戯曲としても十分に完成されているので、
今後機会があれば、映画以上に舞台『ピグマリオン』をほうを観てみたい思います。


※第134冊目。総計1,148,873語。