毛沢東の評伝を読んだのに続いて、
ヒトラーに関する平易な入門書を1冊読みたいと思っていました。
本屋でふと手にした
東京大学大学院総合文化研究科(地域文化研究専攻)教授の
石田勇治(いしだゆうじ)氏による概説がとてもわかりやすく、
一気に読み終えることができました。
石田勇治著
『ヒトラーとナチ・ドイツ』
(講談社現代新書、2015年6月)
ドイツの近現代史について、
ほとんど知識のない状態で読みましたが、
そんな私にも読みやすい文章だったので助かりました。
第一次世界大戦の敗戦と同時に、
帝政を廃止して共和制を導入し、
民主的なワイマール憲法を公布し、
近代的な議会制民主主義が導入されたはずのドイツ国民が、
その後ヒトラーを選択するまで、
20年しか経っていなかったことに驚きました。
毛沢東と比べると、
ありきたりな政治的な手段を用い、
(プロバガンダや暴力に流れる傾向があったとはいえ、)
わりと真っ正面から選挙を戦って、
選挙に圧勝することで政権を手に入れ、
政治的に瑕疵のない手法によって、
ヒトラーが全権を掌握していく様子は、
もっと強引な手法を想定していたので、
意外な印象が残りました。
これならどこかでヒトラーを止められたのではないかと。
著者の石田氏については、カバーの扉に
「東京外国語大学卒業、
東京大学大学院社会学研究科(国際関係論)修士課程修了、
マールブルク大学社会科学哲学部博士課程終了、Ph.D.取得。
現在、東京大学大学院綜合文化研究科(地域文化研究専攻)教授。
専門はドイツ近現代史、ジェノサイド研究。」
とありました。
専門の先生の書かれる本は、
とっつきにくいことが多いのですが、
石田氏の文章は素人の私にもわかりやすかったです。
何となくの印象に過ぎませんが、
ヒトラーは第2次世界大戦の終了前に死亡しているので、
毛沢東に比べれば、遥かに重厚な研究の蓄積があるように感じました。
調べてみると、石田氏は
ほかにも概説を2冊書かれているようなので、
近々手に入れて読んでみようと思います。
石田勇治著
『20世紀ドイツ史』
(白水社〔シリーズ・ドイツ現代史Ⅰ〕2005年7月)
石田勇治編著
『図説 ドイツの歴史』
(河出書房新社〔ふくろうの本〕2007年10月)
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