2017年7月10日月曜日

【160冊目】H.G.Wells, The Island of Doctor Moreau (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算160冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の24冊目として、

イギリスの作家
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(Herbert George Wells, 1866年9月-1946年8月)の
小説『モロー博士の島』を読みました。

ウェルズ29歳の時(1896年4月:英国、同年8月:米国)に刊行されたSF小説です。


H.G.Wells
The Island of Doctor Moreau

Retold by Fiona Beddall
〔Penguin Readers Level 3〕
This edition first published by Penguin Books Ltd 2007
13,226語

まったく知らなかった作品ですが、
ウェルズの名が気になって調べてみると、

『タイムマシン』や『透明人間』などのSF小説で知られる
H・G・ウェルズの代表作の一つであることを知り、
読んでみることにしました。

『タイムマシン』も『透明人間』も、
書名を知るのみで読んだことがなかったので、
今回が初ウェルズということになりました。


  ***

翻訳を調べてみると、
意外にたくさん出ていました。

 ※藤本直樹編「H・G・ウェルズSF作品邦訳書誌」(中村融訳『モロー博士の島』創元SF文庫、1996年9月所収)をもとに適宜修訂を加えた。一色訳と西原訳を今回付け加えてある。


木村信次(きむらしんじ)訳
『モロオ博士の島』
(アルス〔アルス・ポピュラアー・ライブラリー 第10〕1924年10月◇243頁)


土屋光司(つちやこうじ)訳
『モロー博士の島』
(三邦出版社、1941年7月◇247頁)


宇野利泰(うのとしやす)訳
「モロー博士の島」
『世界大ロマン全集 第7巻 透明人間』
(東京創元社〔世界大ロマン全集7〕1956年12月◇384頁)
 ※「透明人間」「タイムマシン」「モロー博士の島」の計3編を収録。

 ⇒『H・G・ウェルズ短篇集 第3 モロー博士の島』
  (早川書房〔ハヤカワSFシリーズ〕1962年6月◇219頁)に再録。
   ※「ダイヤモンドをつくる男」 「ダイナモの神」
    「盗まれた肉体」 「蜘蛛の谷」
    「妖精の国のスケルマーズデイル君」
    「モロー博士の島」 の計6編を収録。

 ⇒『H・G・ウェルズ傑作集1 モロー博士の島』
  (ハヤカワ文庫、1977年11月◇297頁)に再録。
   ※同上の6編を収録。


一色次郎(いっしきじろう)訳
西村保史郎(にしむらやすしろう)絵
『モロー博士の島』
(偕成社〔名作冒険全集19〕1958年1月◇206頁)


西原康(にしはらこう)訳
小野田俊(おのだとし)絵
「モロー博士の島」
『少年少女宇宙科学冒険全集11 タイム・マシン』
(岩崎書店、1961年月◇214頁)
 ※「タイム・マシン」「モロー博士の島」の計2編を収録。


能島武文(のじまたけふみ)訳
『モロー博士の島 ―他二篇』
(角川文庫、1967年8月◇302頁)
 ※「モロー博士の島」「妖星」「イーピヨルニスの島」の3編を収録。


橋本槙矩(はしもとまきのり)訳
『改造人間の島』
(旺文社〔旺文社文庫〕1977年8月◇193頁)
 ※「改造人間の島」 「魔法の園」 「王様になりそこねた男」
  「怪鳥エピオルニス」の計4編を収録。

 ⇒橋本槙矩・鈴木万里(すずきまり)訳
  『モロー博士の島 ―他九篇』(岩波文庫、1993年11月◇339頁)に再録。
   ※「エピオルニス島」 「蛾」 「紫色のキノコ」
    「パイクラフトの真実」「ブラウンローの新聞」
    「故エルヴィシャム氏の物語」 「マハラジャの財宝」
    「デイヴィドソンの不思議な目」 「アリの帝国」
    「モロー博士の島」の10編を収録。


中村融(なかむらとおる)訳
『モロー博士の島』
(東京創元社〔創元SF文庫〕1996年9月◇238頁)


雨沢泰(あめざわやすし)訳
『モロー博士の島』
(偕成社文庫、1996年8月◇287頁)


中村融訳と雨沢泰訳を手に入れました。

中村訳は大人向けの手堅い訳、
雨沢訳は小学校高学年くらいからでも大丈夫な、
読みやすさ重視の訳文でした。

とりあえず内容を知りたい場合は、
雨沢訳で十分だと思いますが、

じっくり味わいたい場合は、
中村訳のほうを好まれるかもしれません。


  ***

やさしい英語で読んでみて、
あまり好きな分野ではなかったのですが、

英文自体はわかりやすく
あらすじを追っていくことができ、
それなりに面白く、
最後まで読み終えることができました。

最新の科学をテーマにした作品は、
時代の推移とともに、かえって古臭さを感じやすくなるようで、
もっと他の作品も読んでみたいと思わせる深い魅力は残念ながら感じませんでした。

ただまだ1度読んだだけですので、
今後読み返すうちに、
大人の寓話としての価値を見出だせるようになるかもしれません。

かの『フランケンシュタイン』と似た作品ともいえますが、
『フランケンシュタイン』ほど主人公の心の内面へ深く切り込んでいくことがないので、
その分読みやすい作品ではありました。

初ウェルズの感想はこんな感じです。


※第160冊目。総計1,512,173語。

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