2017年9月25日月曜日

【165冊目】宮沢賢治『風の又三郎 Matasaburo of the Wind 』(Ladder Series Level 2)

やさしい英語の本、通算165冊目は、
IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル2(1300語レベル)の5冊目として、

宮澤賢治(1896年8月-1933年9月)の
短編小説『風の又三郎』を読みました。

著者の没後間もなく編集された
宮澤賢治全集 第三巻』(文圃堂書店、1934年10月◇507頁
に初めて収録されました。

 ※この最初の全集は
  3巻まで刊行されたところで書店廃業のため中断されました。
  『宮澤賢治全集 第一巻』(文圃堂書店、1935年7月◇501頁)
  『宮澤賢治全集 第二巻』(文圃堂書店、1935年9月◇498頁)


Kenji Miyazawa
(宮澤賢治)
Matasaburo of the Wind
(風の又三郎)

Translated by
Yoko Toyozaki and Stuart Varnam-Arkin
(とよざきようこ
 ステュウット A ヴァナーム-アットキン)

〔Ladder Series Level2〕
IBC Publishing,Inc. 2005年10月
12,680語


宮澤賢治の名を知らないはずはありませんが、

文章に独特の読みにくさがあるように感じて、
あまり読んで来ませんでした。

あるいは英訳で読んでみたら、
開眼するかもしれないと思い、今回手に取ってみました。

『風の又三郎』は今回初めて読みました。

先に原作を読んでおこうと思い、
一緒に原作(日本語)の方も紐解きました。

東北の風土を背景にした
素朴で幻想的な世界が広がり、
興味深く読み進めることができました。

賢治の使う言葉には、
やはり独特のわかりにくさがあったので、
すらすら読めたわけではありませんが、

読みにくさの向こうに広がる
賢治ならではの、感性の瑞々しさを
感じ取ることができたように思います。

英文の方も、
原文の読みにくさを反映しているのか、
それほど読みやすくは感じなかったのですが、

原作を横に置きながら、
ああこんなふうに訳したのかと感心しながら
読み進めることができました。


原作の刊本は、
収集がつかないほど刊行されているので、
今回手に取った1冊を上げておきます。


宮澤賢治
『銀河鉄道の夜』
(やのまん〔デカい活字の千円文学!〕2009年3月◇382頁)
 ※「やまなし」「注文の多い料理店」「月夜のでんしんばしら」
  「オツベルと象」「ざしき童子のはなし」「銀河鉄道の夜」
  「風の又三郎」「蜘蛛となめくじと狸」「セロ弾きのゴーシュ」
  「カイロ団長」の十編を収録。

四十を過ぎ、
老眼が出始めた身にはありがたい、
大きな活字で読みやすいです。

このシリーズは以前、夏目漱石の『こころ』や、
芥川龍之介の短編集が出ていましたが、
続編は出ませんでした。

一字一字じっくり読み進めたい時には最適なので、
古本屋などでお安く手に入ることがあれば、
お薦めです。


※第165冊目。総計1,602,763語。


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2017年9月18日月曜日

L. フランク・ボーム著『オズの魔法使い』翻訳目録(抄)

アメリカ合衆国の作家
ライマン・フランク・ボーム
(Lyman Frank Baum, 1856年5月15日-1919年5月6日)が著した
小説『オズの魔法使い The Wonderful Wizard of Ozは、
著者44歳の時(1900年5月)に初めて出版されました

有名な作品なので、
翻訳も早くからたくさん出ているのだろうと思い込んでいたのですが、
意外や意外、出版から半世紀をへた1951年まで、
邦訳が出た形跡は見つかりませんでした。

(調査にそれほど時間をかけていないので、
 間違っているかもしれません。今後、
 探しもれが見つかり次第、適宜修正していきます。)

『オズの魔法使い』といえば、
ヴィクター・フレミング
(Victor Fleming, 1889-1949)監督のもと
アメリカ合衆国で製作され、
1939年8月に公開された映画が有名ですが、

この映画が日本で公開されたのは、
米国公開から15年をへた1954年12月のことでした。

翻訳が増えてくるのは、
明らかに日本での映画公開の後からなので、

日本の国民のとって、
『オズの魔法使い』が周知の作品になったのは、
日本では1954年に公開された米国映画がきっかけだったようです。


  ***

岸なみ(きしなみ)訳
小坂茂(こさかしげる)絵
『オズの魔法つかい』
(講談社〔世界名作童話全集30〕1951年12月◇166頁)

 ⇒熊田千佳慕(くまだちかぼ)絵
  『オズの魔法つかい』
  (講談社〔講談社の絵本141〕1955年*月◇48頁)


山下寛(やましたひろし)絵
『オズの魔法使い』
(鈴木出版、1955年1月◇96頁)


川端康成(かわばたやすなり)訳
横田昭次(よこたしょうじ)絵
『オズのまほうつかい』
(宝文館〔世界幼年文学全集7〕1957年*月◇229頁)

 ⇒横田昭次(よこたしょうじ)絵
  『おずのまほうつかい』
  (岩崎書店〔世界のひらがな童話18〕1965年*月◇229頁)


奈街三郎(なまちさぶろう)訳
桜井誠(さくらいまこと)絵
『オズの魔法つかい』
(偕成社〔児童名作全集69〕1958年1月◇200頁)


渡辺茂男(わたなべしげお)訳
桜井誠(さくらいまこと)絵
「オズのまほうつかい」
(講談社〔世界名作童話全集14〕1963年1月◇170頁)
 ※併せて「リーマスじいやのお話」を収録。


山本藤枝(やまもとふじえ)訳
小野木学(おのぎまなぶ)絵
『オズのまほうつかい』
(偕成社〔世界のどうわ3〕1964年*月◇124頁)


石坂洋次郎(いしざかようじろう)編集
「オズの魔法使い」
(小学館〔少年少女世界の名作文学13 アメリカ編4〕1966年1月◇493頁)
 ※併せて「少女パレアナ」「モヒカン族の最後」
  「ホイットマン詩」「ケティ物語」を収録。

 ⇒石坂洋次郎(いしざかようじろう)
  ・村岡花子(むらおかはなこ)編集
  「オズの魔法使い」
  (小学館〔少年少女世界の名作文学7 アメリカ編4-5〕1977年5月◇967頁)
   ※併せて「少女パレアナ」「モヒカン族の最後」
    「ホイットマン詩」「ケティ物語」「小公子」
    「小公女」「秘密の花園」「ワンダーブック」を収録。


高杉一郎(たかすぎいちろう)訳
「オズの魔法使い」
(河出書房〔少年少女世界の文学13〕1967年11月◇326頁)
 ※併せて「あしながおじさん」「ドリトル先生航海記」を収録。

 ⇒『オズの魔法使い』
  (河出書房新社〔世界文学の玉手箱19〕1995年1月◇160頁)


土屋由岐雄(つちやゆきお)訳
西村保史郎(にしむらやすしろう)絵
『オズの魔法つかい』
(偕成社〔カラー版・世界の幼年文学9〕1968年2月◇126頁)


谷真介(たにしんすけ)訳
小野木学(おのぎまなぶ)絵
『オズのまほうつかい』
(偕成社〔名作アニメート絵話5〕1968年*月◇37頁)


上崎美枝子(うえざきみえこ)訳
赤坂三好(あかさかみよし)絵
「オズの魔法使い」
(小学館〔少年少女世界の名作11 アメリカ編1〕1973年7月◇357頁)
 ※併せて「タイタニック号の最期」「インディアン民話」
  「恐竜探検隊」「トム・ソーヤーの冒険」を収録。



佐藤高子(さとうたかこ)訳
『オズの魔法使い』
(早川書房〔ハヤカワ文庫〕1974年11月◇258頁)


谷本誠剛(たにもとせいごう)訳
『オズの魔法使い』
(国土社〔国土社版 世界の名作7〕1978年2月◇237頁)

 ⇒『オズの魔法使い』
  (国土社〔世界の名作全集7〕1992年1月◇237頁)

 ⇒『オズの魔法使い』
  (国土社〔世界名作文学集〕2003年12月◇209頁)



守屋陽一(もりやよういち)訳
『オズの魔法使い』
(ポプラ社文庫、1980年6月◇188頁)

 ⇒『オズの魔法使い』
  (ポプラポケット文庫、2005年10月◇188頁)


松村達雄(まつむらたつお)訳
『オズの魔法使い』
(講談社文庫、1981年11月◇243頁)

 ⇒長浜宏(ながはまひろし)絵
  『オズの魔法使い』
  (講談社青い鳥文庫、1984年6月◇277頁)

 ⇒りとうよういちろう絵
  『オズの魔法使い』
  (講談社青い鳥文庫、新装版、2008年3月◇343頁)

 ⇒烏羽雨(からすばあめ)絵
  『オズの魔法使い:ドロシーとトトの大冒険』
  (講談社青い鳥文庫、2013年1月)


大村美根子(おおむらみねこ)訳
『オズの魔法使い』
(偕成社文庫、1986年11月◇291頁)


高橋健(たかはしけん)訳
青山みるく(あおやまみるく)絵
『オズの魔法使い』
(ポプラ社〔こども世界名作童話14〕1988年1月◇125頁)


夏目道子(なつめみちこ)訳
山田千鶴子(やまだちずこ)絵
『オズの魔法使い』
(金の星社〔フォア文庫〕1989年11月◇238頁)


本田博通(ほんだひろみち)訳
『オズの魔法使い』
(第三文明社〔少年少女希望図書館16〕1990年8月◇266頁)



渡辺茂男(わたなべしげお)訳
W.W.デンスロウ絵
『オズの魔法使い』
(福音館書店〔福音館古典童話シリーズ28〕1990年6月◇317頁)


柳谷圭子(やなぎやけいこ)訳
川端英樹(かわばたひでき)絵
『オズの魔法使い』
(小学館〔小学館世界の名作4〕1998年1月◇103頁)


岸田衿子(きしだえりこ)訳
堀内誠一(ほりうちせいいち)絵
『オズの魔法使い』
(世界文化社〔世界の名作6〕2001年5月◇83頁)



幾島幸子(いくしまさちこ)訳
『オズの魔法使い』
(岩波書店〔岩波少年文庫112〕20003年8月◇261頁)


宮本菜穂子(みやもとなおこ)訳
『オズのふしぎな魔法使い』
(松柏社〔アメリカ古典大衆小説コレクション2〕2003年9月◇259頁)


わくはじめ訳
ロバート・サブダ作
『オズの魔法使い』
(大日本絵画〔とびだししかけえほん〕2005年◇頁付けなし)


江國香織(えくにかおり)訳
リスベート・ツヴェルガー絵
『オズの魔法使い』
(BL出版、2008年11月◇101頁)

 ⇒『オズの魔法使い』
  (小学館、2013年3月◇237頁)

 ⇒『オズの魔法使い』
  (小学館文庫、2015年2月◇252頁)



宮坂宏美(みやさかひろみ)訳
『完訳 オズの魔法使い』
(復刊ドットコム〔オズの魔法使いシリーズ1〕2011年10月◇222頁)


河野万里子(こうのまりこ)訳
にしざかひろみ絵
『オズの魔法使い』
(新潮文庫、2012年8月◇253頁)



柴田元幸(しばたもとゆき)訳
『オズの魔法使い』
(角川文庫、2013年2月◇204頁)

 ⇒吉野朔実(よしのさくみ)絵
  『新訳 オズの魔法使い』
  (角川つばさ文庫、2013年2月◇262頁)


西田佳子(にしだよしこ)訳
おのともえ絵
『新訳 オズの魔法使い』
(集英社みらい文庫、2013年6月◇222頁)


立原えりか訳
『オズのまほうつかい』
(学研教育出版〔10歳までに読みたい世界名作〕2014年8月◇153頁)


菅野雪虫(すがのゆきむし)訳
丹地陽子(たんじようこ)絵
『オズの魔法使い』
(ポプラ社〔ポプラ世界名作童話16〕2016年11月◇141頁)


田邊雅之(たなべまさゆき)訳
『オズの魔法使い』
(小学館ジュニア文庫〔世界名作シリーズ〕2017年2月◇312頁)



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2017年9月15日金曜日

【164冊目】L.Frank Baum, The Wizard of OZ (Ladder Series Level 2)

やさしい英語の本、通算164冊目は、
IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル2(1300語レベル)の4冊目として、

アメリカの作家
ライマン・フランク・ボーム(1856年5月-1919年5月)の
小説『オズの魔法使い』を読みました。

著者44歳の時に刊行された作品(1900年5月)です


L.Frank Baum
The Wizard of OZ

Retold by Anna Udagawa
〔Ladder Series Level2〕
IBC Publishing,Inc. 2005年8月
23,300語

『オズの魔法使い』は、

5年前(2012年9月)に
オックスフォード・ブックワームの
ステージ1(400語レベル 総語数5,440語)で読んだのが初めでした。

その後、
宮坂宏美(みやさかひろみ)氏の全訳を読んで、
ヘンテコだけれども倫理的に歪んでいない、
明るく楽しい物語で、いずれは原書で読みたい1冊になりました。


宮坂宏美(みやさかひろみ)訳
サカイノビー絵
『完訳 オズの魔法使い』
(復刊ドットコム〔オズの魔法使いシリーズ1〕2011年9月◇222頁)

今回、語数が一気に4倍ほどになったので、
半月で読み終えられるか心配でしたが、

もともと子供向けの作品ではあるので、
途中で立ち止まることもなく、楽しみながら最後まで読み終えることができました。

やさしい英語に直してあるわけですが、
2万語をこえると内容の省略はほとんどなく、
本来のあらすじをすべて押さえた1冊になっていました。

今回1939年にアメリカで公開された
有名な映画のDVDも観てみましたが、

美しい音楽には耳を奪われたものの、
全体として明らかに子供向けの映画だったので、
途中で眠気に誘われて、最後まで見通すことができませんでした。

少し時間を置いてから、
もう一度挑戦してみます。


翻訳は、ほかの方のも読み返してみましたが、
読みやすさ重視であれば宮坂訳がおすすめです。

※第164冊目。総計1,590,083語。


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2017年9月4日月曜日

【読了】角野栄子著『魔女の宅急便』(1985年刊行)

夏休みに少し軽めの本をと思い、
角野栄子(かどのえいこ、1935年1月1日- )氏の
小説『魔女の宅急便』を読みました。

筆者50歳の時(1985年1月25日)に刊行された作品です


角野栄子(かどのえいこ)著
林明子(はやしあきこ)絵
『魔女の宅急便』
(福音館書店、1985年1月)
 ⇒福音館文庫、2002年6月として再刊。
 ⇒角川文庫、2013年4月として再刊。


映画で有名な作品ですが、
まだ観たことがありません。

映画より前に原作をと思い、
読んでみることにしました。

はじめに、
どんな小説なのかわかって来るまでは、
何がおもしろいのか良くわからなかったのですが、

10代くらいの女の子を対象とした
軽めの筆致の作品であることが飲み込めてくると、

だんだん惹き込まれて、
最後まで飽きずに読み終えることができました。

魔女とはいいながら、
どこにもありそうな日常の平穏な生活が、
程良いユーモアとともに描かれているので、

冒険いっぱいの
刺激的な世界を期待すると肩透かしにあいそうですが、
こんな軽めの息抜きになる小説があってもいいなと思いました。


  ***

映画はいつの公開だったのか調べてみると、
今から28年も前(1989年7月)、
私が高校生のときのことでした。

残念ながら、
当時はそれほど映画に興味がなかったので、
テレビで再放送されるようになるまでは、
存在すら知りませんでした。

小説の続編が第6巻まであるようなので、
続きを読んでから後の楽しみに、
映画はもうしばらく取っておこうと思っています。



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