2018年4月28日土曜日

【読了】ディケンズ著〔加賀山卓朗訳〕『オリヴァー・ツイスト』(2017年刊行)

イギリスの小説家
チャールズ・ディケンズ
(Charles Dickens, 1812年2月7日-1870年6月9日)の
小説『オリヴァー・ツイスト Oliver Twistを読みました。

1837年2月から1839年4月まで〔25-27歳〕
ディケンズ自ら初代編集長を引き受けた月刊誌
『ベントリーズ・ミセラニー Bentley's Miscellany
に分冊掲載され、

単行本は雑誌の掲載が終わるより早く、
1838年11月に3巻本で刊行されました。

その後、
版を重ねるたびに改訂が加えられ、
1867年に刊行された版が、
ディケンズによる最終稿となりました。

※Wikipediaの「チャールズ・ディケンズ」「オリバー・ツイスト」の項目(日本語版と英語版)を参照。


  ***

翻訳はいろいろ出ていますが、

今回は
『二都物語』の画期的に読みやすい翻訳で感銘を受けた
加賀山卓朗(かがやまたくろう)氏によるディケンズ第二弾として
『オリヴァー・ツイスト』の翻訳が出ましたので、
加賀山訳で読んでみることにしました。


加賀山卓朗(かがやまたくろう)訳
『オリヴァー・ツイスト』
(新潮文庫、2017年5月◇728頁)
 ※月刊誌に掲載時の原稿を底本とする。
  訳者あとがき(727・728頁)参照。


一年前に刊行されてすぐに購入したのですが、
忙しくて読む暇がありませんでした。

お盆休みの頃にあらすじだけでも知っておこうと、

ポーランド出身の映画監督
ロマン・ポランスキー(Roman Polanski, 1933年8月18日- )
による映画『オリバー・ツイスト Oliver Twistをみて感動し、
これはぜひ読まねばと思いましたが、
その後さらに忙しくなり、

落ち着いたのは
受験の季節も過ぎてからのことだったので、
ゴールデンウィーク中に読もうと思って再び手に取ってみたところ、

3分の1をこえたあたりから一気に速度を増して、
ゴールデンウィークを待つことなく、
4月末までに読了することができました。

確かにこれはおもしろい!

どちらかといえば、
陰惨で暗い話が続くのですが、
ディケンズの性格によるものか、
根本的な部分で人生に絶望しない、
芯の強さ、心持ちを明るくさせる所があって、

わくわくどきどきしながら、
頁をどんどん繰っていく充実感を久しぶりに味わうことができました。

映画で観た時よりも、
圧倒的な臨場感があって、
ディケンズの筆の冴えも感じることができました。

大著なので、
それほど繰り返し読む暇はないかもしれませんが、
少し時間を置いてから、
これはぜひ再読したいと思いました。


  ***

加賀山訳のほかにも、
次のような翻訳が見つかりました。


・馬場孤蝶(ばばこちょう)訳
 『オリヴァー・ツウィスト』
 (改造社〔世界大衆文学全集9〕1930年1月)
  ※改造社〔世界大衆文学名作選集17〕1939年11月に再録。


・松本泰(まつもとやすし)
・松本恵子(まつもとけいこ)共訳
 『漂泊の孤児』
 (中央公論社〔ヂッケンス物語全集1〕1936年10月)


・片山昌造(かたやましょうぞう)訳
 『オリバー・ツイスト』
 (大日本雄弁会講談社〔世界名作全集56〕1953年7月)


・鷲巣尚(わしのすひさし)訳
 『オリヴァ・トウィスト(上・下)』
 (角川文庫、1953年8・10月)


・中村能三(なかむらよしみ)訳
 『オリバー・ツイスト(上・下)』
 (新潮文庫、1955年。改版 2005年12月。
  1955年版の原題『オリヴァ・ツイスト』)
  ※初出は『オリヴァ・ツイスト』(新潮社、1953年9月)。


・本多季子(ほんだすえこ)訳
 『オリヴァ・ツウィスト(上・下)』
 (岩波文庫、1956年6月)


・松本恵子(まつもとけいこ)訳
 『オリバーの冒険』
 (小学館〔少年少女世界名作文学全集32〕1963年8月)


・北川悌二(きたがわていじ)訳
 『オリバー・ツイスト(上・下)』
 (角川文庫、2006年1月◇413・372頁)
  ※文庫の各巻末に
   「この作品は一九七一年十一月、
    日本メール・オーダー社より刊行されました」とあるが、
   この版については詳細不明。

   インターネット上では、
    『オリヴァ・トウィスト(続)』(三笠書房、1968年)
    『オリヴァ・トウィスト』(三笠書房、1971年)
    『オリヴァ・トウィスト(1・2)』(三笠書房、1972年)
   の3種が見つかるが、こちらも詳細は不明。

  このほか、
    『オリヴァー・トウィスト』
    (日本ブック・クラブ〔世界文学全集11〕1974年7月)
  に再録もされている。


・小池滋(こいけしげる)訳
 『オリヴァー・トゥイスト(上・下)』
 (ちくま文庫、1990年12月)
  ※初出は講談社〔世界文学全集13〕1970年5月。
   その後、講談社文庫(1971年)に再録。
   その他、学習研究社〔世界文学全集9〕1977年11月に再録。


・本多顕彰(ほんだあきら)訳
 『オリバー・ツウィスト』
 (あかね書房〔少年少女世界の文学5〕1971年5月)


・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『新訳 オリヴァー・トゥイスト』
 (あぽろん社、2009年10月◇546頁)


この中で、
 新潮文庫の中村能三(なかむらよしみ)訳
 角川文庫の北川悌二(きたがわていじ)訳
の2つは手元に置いてあります。

どちらも丁寧なわかりやすい訳文で、
とくに北川訳は、加賀山訳よりも
やさしく噛み砕いた表現を用いているので、
中学生向けに大きめの活字で再刊されれば、
今でも需要があるように感じました。

加賀山訳は、
恐らく中学生では語彙の面で多少難しいように思いますが、
大人にとってほどほどに読みやすいレベルの語彙で、
日本語の文章のリズム感を重視して翻訳してあるので、
最初のとっかかりをつかめば、
あとはすいすい読み進めることができました。

個人的には、
 ちくま文庫の小池滋(こいけしげる)訳
が気になっているので、
次に読む機会があれば、
小池訳に挑戦しようと思っています。


0 件のコメント:

コメントを投稿