2018年4月30日月曜日

【180冊目】Ian McLellan Hunter, Roman Holiday(Ladder Series Level 2)

やさしい英語の本、通算180冊目は、
IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル2(1300語レベル)の18冊目として、

アメリカ合衆国の映画監督
ウィリアム・ワイラー
(William Wyler, 1902-1981)が監督を務め、

1953年8月に米国公開された
映画『ローマの休日 Roman Holidayの小説版を読みました。


Ian McLellan Hunter
Roman Holiday(ローマの休日)

Retold by Nina Wegner
〔Ladder Series Level 2〕
IBC Publishing,Inc. 2011年2月
10,000語


この映画の台本は、
イギリスの脚本家
イアン・マクレラン・ハンター
(Ian McLellan Hunter, 1915-1991)
が執筆し、

撮影に際して、
イギリスの脚本家
ジョン・ダイトン
(John Dighton, 1909-1989)
が編集を加えたものとされてきました。

 ハンターは
 1953年のアカデミー最優秀原案賞
 (Academy Award for Best Story)を、

 ハンターとダイトンは、
 1953年のアカデミー脚色賞
 (Academy Award for Writing Adapted Screenplay)を受賞しています。

しかし実際は、
アメリカ合衆国の脚本家
ダルトン・トランボ
(Dalton Trumbo, 1905-1976)
がもとの脚本を執筆していたことが知られており、

トランポはレッド・パージの影響で、
名前を明らかにして仕事ができない状況だったので、
ハンターが自分の名前をかしていたことが、
後に明らかにされたため、

 1992年に改めて、トランポに
 1953年のアカデミー最優秀原案賞
 が贈呈され、ハンターの名は削除されることになりました。

つまり台本については、
原案(脚本)
 ダルトン・トランボ
脚本(脚案)
 イアン・マクレラン・ハンター
 ジョン・ダイトン
の3名を想定するのが正しい認識ということになります。


  ***

近くに映画館がなかったので、
映画をそれなりに観るようになったのは、
20代前半を過ぎて、過去の名画が
DVDで出回るようになってからのことでした。

『ローマの休日』は、
映画を観るようになってすぐに嵌った作品で、
半世紀前の映画が、まったく色褪せず、
瑞々しい感動を呼び起こすことに驚かされました。

今でも1作だけ好きな映画をあげるなら、
迷わず上げるくらい好きな作品なので、

今回、小説版を読むことで、
変にがっかりさせられても嫌だなと思っていたのですが、

映画から逸脱することなく、
やさしい英語で忠実に展開がたどられていたので、
映画の場面場面を思い出しながら、
楽しんで読み進めることができました。

この場合、
映画を観るのが一番手っ取り早いと思いますが、
映画の台本の対訳がいくつか出版されており、

手元には、
『ローマの休日 ROMAN HOLIDAY 』
(マガジンハウス〔cine-script book〕1992年2月)
が置いてあります。

そのほか探してみると、
日本語の小説に翻案しているものも見つかったので、
2点手に入れてみました。


池谷律代(いけやりつよ)訳
『ローマの休日』
(ソニーマガジンズ、1998年7月◇295頁)


百瀬しのぶ(翻案)
『ローマの休日』
(ソニーマガジンズ〔ヴィレッジブックス〕2001年12月◇251頁)

池谷氏の方には「訳」とありますが、
ざっと通読した限りでは、映画の脚本をもとに、
本格的な小説風に翻案してあるようなので、
「編訳」とするのが正しいでしょう。

「あとがき」に出版の経緯が
一切記されていないので詳細は不明ですが、

池谷氏は竹書房文庫などで、
映画の脚本をもとに翻案した小説を多数手がけ、
そちらには「編訳」とあるものも多いので、
池谷氏による翻案小説と推測しておきます。

百瀬氏の方は、映画に忠実に、
わかりやすい日本語で語り直した翻案です。

やさし過ぎるように思われましたが、
今回のやさしい英語を読む際には、
一番役に立ちました。


※第180冊目。総計1,813,203語。


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