2018年6月30日土曜日

【184冊目】Shakespeare's Stories Twelfth Night(Ladder Series Level 2)

やさしい英語の本、通算184冊目は、
IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル2(1300語レベル)の22冊目として、

イングランドの劇作家
ウィリアム・シェイクスピア
(William Shakespeare, 1564年4月-1616年4月)の
戯曲『十二夜』の小説版を読みました。

本作の古い版本は、
没後の1623年に出版されたものがあるだけで、
成立時期については議論があります。

本作中に、
1599年に出版された世界地図への言及があることから、
1599年以降の成立であることは確実です。

また確かな上演の記録として、
1602年2月のものが残されているので、
1602年以前の成立であることもわかっています。

そのほか最近(2000年)、
河合祥一郎氏の研究によって、
1600年に出版された当時の喜劇の中に、
『十二夜』を前提とした記載がみえることも確認されています。

この河合説を取り入れるのなら、
シェイクスピア35-36歳の頃
(1599-1600年)の成立ということになります。

※河合祥一郎訳『新訳 十二夜』(角川文庫、2011年10月)の「訳者あとがき」(157-57頁)を参照。


Shakespeare's Stories
Twelfth Night
(シェイクスピア 十二夜)

by Stuart Varnam-Atkin
ステュウット・ヴァーナム・アットキン

〔Ladder Series Level 2〕
IBC Publishing,Inc. 2007年2月
13,900語

「十二夜」は初めて読みました。

簡単に手に入る映像はなかったので、
最近の翻訳をとなりに置いて読み始めましたが、

小説仕立てにするために、
編者のステュウット・ヴァーナム=アットキン氏によって、
ある程度、構成面での変更が行われていたため、

翻訳はあまり紐解くことなく、
最後まで読み進めることになりました。

幸いわかりやすい英文でしたので、
それなりに複雑に入り組んだ喜劇でしたが、
筋を見失うことなく、楽しみながら最後まで読み進めることができました。

ストーリーが頭に入って来るまで
ある程度時間がかかるはずなので、

今後繰り返し読んでいくことで
より面白くなりそうな作品ですが、
初めてでもかなり楽しめました。


 ***

翻訳は、
最近の一番手に入れやすいものを
3種購入しました。

これまでの経験からすると、
河合訳が読みやすいはずなのですが、

読みやすさなら安西訳も負けていないので、
今後時間があるときにじっくり読み比べようと思います。


河合祥一郎(かわいしょういちろう)訳
『新訳 十二夜』
(角川文庫、2011年10月◇157頁)


安西徹雄(あんざいてつお)訳
『十二夜』
(光文社古典新訳文庫、2007年11月◇245頁)


松岡和子(まつおかかずこ)訳
『十二夜 シェイクスピア全集6』
(ちくま文庫、1998年9月◇201頁)


本来は演劇なので、映像(DVD)があると一番なのですが、
程々の値段ですぐに手に入るものは見当たりませんでした。

そうした中で、
今気になっているのはオーディオブック(CD)で、
大久保ゆう監修『50分でわかる十二夜』
というものが出ています。


大久保ゆう(監修、翻訳)
『50分でわかる十二夜 シェイクスピアシリーズ11』
(でじじ発行/パンローリング発売、2014年10月)

よく出来たラジオドラマなら、
はじめにこれを聴くのが一番のようにも思うので、
近々手に入れてみようと考えています。


※第184冊目。総計1,876,013語。


にほんブログ村 本ブログ 洋書へ

2018年6月16日土曜日

【183冊目】James Herriot, If Only They Could Talk(Ladder Series Level 2)

やさしい英語の本、通算183冊目は、
IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル2(1300語レベル)の21冊目として、

イギリスの獣医兼作家であった
ジェイムズ・ヘリオット
(James Herriot, 1916年10月~95年2月)の
自伝的小説『ヘリオット先生奮戦記』の前半部分を読みました。

 筆者が54歳の時(1970)に、
 自分が獣医になったころの経験をもとにした
 ①『If Only They Could Talkを刊行したのが初めで、

 その2年後(1972)に続編として
 ②『If Shouldn't Happen to a Vetが刊行されました。

 この時(1972)、①②を合冊した版も
 ③『All Creatures Great and Smallという書名で刊行され、
 この③が世界的なベスト・セラーになりました。

今回のラダーシリーズは、
このうち①をやさしい英語に直したものです。


James Herriot
If Only They Could Talk
(ヘリオット先生奮戦記)

〔Ladder Series Level 2〕
IBC Publishing,Inc. 2005年8月
16,810語 ※編訳者の記載なし。


日本では、
大橋吉之輔
(おおはしきちのすけ, 1924-1993)
氏が、1975年に③を翻訳、刊行されました。

『頑張れヘリオット(上・下)』
(文化放送開発センター出版部、1975年11月◇226・227頁)

その6年後(1981年)、
ハヤカワ文庫に収録される際に、
『ヘリオット先生奮戦記』と改題され、
この書名が一般によく知られることになりました。


『ヘリオット先生奮戦記(上・下)』
(ハヤカワ文庫、1981年12月◇341・333頁)

翻訳も手元に置いておきたかったので、
古本で、文庫のほうを手に入れました。
(上巻1989年5刷、下巻1991年6刷)

小さめの活字で読みにくいのが難点ですが、
訳文そのものは、
40年以上前の翻訳であることを感じさせない、
読みやすい文章だったので、
英文で意味の取りにくいところを確認するのに役立ちました。


  ***

今回手に取るまでまったく知らなかったので、

ヒュー・ロフティング
(Hugh Lofting, 1886-1947)の
「ドリトル先生」シリーズのような、
動物とお話をするファンタジーかと思っていたのですが、
読んでびっくり。

1930年代のイギリスで、大学を卒業し、
小さな村の獣医としてキャリアをはじめた
ヘリオットが、動物たちと格闘する日々を、
ユーモアを交えながら活き活きと描いてありました。

日本でいえば、
畑正憲(はたまさのり, 1935年4月)
の作品に似ている印象で、
生命力にあふれる独特の筆致にどんどん惹き込まれました。

獣医に興味があるような若い人が読むと、
強く影響を受けそうな作品だと思いました。

動物のノンフィクションものがお好きな方は、
ぜひ読んでみることをお薦めします。


※第183冊目。総計1,862,113語。


にほんブログ村 本ブログ 洋書へ