やさしい英語の本、通算183冊目は、
IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル2(1300語レベル)の21冊目として、
イギリスの獣医兼作家であった
ジェイムズ・ヘリオット
(James Herriot, 1916年10月~95年2月)の
自伝的小説『ヘリオット先生奮戦記』の前半部分を読みました。
筆者が54歳の時(1970)に、
自分が獣医になったころの経験をもとにした
①『If Only They Could Talk 』を刊行したのが初めで、
その2年後(1972)に続編として
②『If Shouldn't Happen to a Vet 』が刊行されました。
この時(1972)、①②を合冊した版も
③『All Creatures Great and Small 』という書名で刊行され、
この③が世界的なベスト・セラーになりました。
今回のラダーシリーズは、
このうち①をやさしい英語に直したものです。
James Herriot
If Only They Could Talk
(ヘリオット先生奮戦記)
〔Ladder Series Level 2〕
IBC Publishing,Inc. 2005年8月
16,810語 ※編訳者の記載なし。
日本では、
大橋吉之輔
(おおはしきちのすけ, 1924-1993)
氏が、1975年に③を翻訳、刊行されました。
『頑張れヘリオット(上・下)』
(文化放送開発センター出版部、1975年11月◇226・227頁)
その6年後(1981年)、
ハヤカワ文庫に収録される際に、
『ヘリオット先生奮戦記』と改題され、
この書名が一般によく知られることになりました。
『ヘリオット先生奮戦記(上・下)』
(ハヤカワ文庫、1981年12月◇341・333頁)
翻訳も手元に置いておきたかったので、
古本で、文庫のほうを手に入れました。
(上巻1989年5刷、下巻1991年6刷)
小さめの活字で読みにくいのが難点ですが、
訳文そのものは、
40年以上前の翻訳であることを感じさせない、
読みやすい文章だったので、
英文で意味の取りにくいところを確認するのに役立ちました。
***
今回手に取るまでまったく知らなかったので、
ヒュー・ロフティング
(Hugh Lofting, 1886-1947)の
「ドリトル先生」シリーズのような、
動物とお話をするファンタジーかと思っていたのですが、
読んでびっくり。
1930年代のイギリスで、大学を卒業し、
小さな村の獣医としてキャリアをはじめた
ヘリオットが、動物たちと格闘する日々を、
ユーモアを交えながら活き活きと描いてありました。
日本でいえば、
畑正憲(はたまさのり, 1935年4月)
の作品に似ている印象で、
生命力にあふれる独特の筆致にどんどん惹き込まれました。
獣医に興味があるような若い人が読むと、
強く影響を受けそうな作品だと思いました。
動物のノンフィクションものがお好きな方は、
ぜひ読んでみることをお薦めします。
※第183冊目。総計1,862,113語。
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