2019年9月30日月曜日

【212冊目】Arthur C. Clarke, The Songs of Distant Earth (Oxford Bookworms Stage 4)

やさしい英語の本、通算212冊目は、
オックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1400後レベル)の25冊目として、

イギリス出身のSF作家
アーサー・C・クラーク
(Arthur CHarles Clarke, 1917年12月16日-2008年3月19日)
のSF短編集
『遥かなる地球の歌
  The Songs of Distant Earth
                      and Other Stories
を読みました。

アーサー・C・クラークは、
1968年に公開された映画『2001年宇宙の旅』の
原作者として知っていましたが、

私が生まれる前に公開されたからか、
映画はもちろんその原作にも触れる機会のないまま今に至りました。

クラークの他の作品となると、
なおさら読んだことはないのですが、
偶然オックスフォード・ブックワームズの目録で見かけたので、
興味がわいて読んでみることにしました。


Arthur C. Clarke
The Songs of Distant Earth
      and Other Stories

Retold by Jennifer Bassett
〔Oxford Bookworms Stage 4〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1996
15,210語

本書に収録されているのは、
 1)The Nine Billion Names of God (1953)
 2)The Secret (1972)
 3)The Wall of Darkness (1949)
 4)No Morning After (1954)
 5)The Songs of Distant Earth (1958)
の5つの短編です。

このうち
 1)The Nine Billion Names of God
   (九〇億の神の御名)
 3)The Wall of Darkness
   (暗黒の壁)
 4)No Morning After
    (その次の朝はなかった)
 5)The Songs of Distant Earth
   (遥かなる地球の歌)
の4編は、1958年に刊行された第4短編集
『天の向こう側 The Other Side of the Skyのなかに、
同じ題名で収録されています。

残る1編
 2)The Secret
    (秘密)
は、1972年に刊行された第6短編集
『太陽からの風 The Wind from the Sun のなかに、
同じ題名で収録されています。


さらに最後に収められた短編
 5)The Songs of Distant Earth
   (遥かなる地球の歌)
は、何度か稿を改めた後、
『遥かなる地球の歌 The Songs of Distant Earth
という同じ題名の長編に生まれ変わり、
1986年に刊行されています

今回のやさしい英語の本には、
1986年刊行の長編バージョンは収録されていません。


   ***

それぞれにハヤカワ文庫から翻訳も刊行されています。


山高昭(やまたかあきら)訳
『天の向こう側』
(ハヤカワ文庫、1984年6月◇299頁)
 ※新装版、2007年2月◇366頁


山高昭(やまたかあきら)
・伊藤典夫(いとうのりお)訳
『太陽からの風』
(ハヤカワ文庫、1978年5月◇322頁)
 ※新装版、2006年4月◇382頁


山高昭(やまたかあきら)訳
『遥かなる地球の歌』
(ハヤカワ文庫、1987年3月◇346頁)
 ※新装版、1996年3月◇379頁

短編なので、
やさしい英語になるとさらに短くなるのですが、

ふだんSF小説を読まないので、翻訳をみないと、
何を言おうとしているのかピンと来ないところがありました。

ただ実際に読んでみて、
クラークの小説に惹かれたかというと、
SFの宿命なのか、時の流れとともに、
小説の内容自体が時代遅れに感じられるところがありました。

読んでいて、
嫌な気分になることはなかったのですが、
松本零士の『銀河鉄道999』ほどの感銘は受けませんでした。

もしかしたら長編のほうが、
クラークの良さが出るのかもしれないので、
今後、長編を読む機会は作りたいです。


※第212冊目。総計2,307,535語。


にほんブログ村 本ブログ 洋書へ


2019年9月15日日曜日

【211冊目】Arthur Ransome, We Didn't Mean to Go to Sea (Oxford Bookworms Stage 4)

やさしい英語の本、通算211冊目は、
オックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1400後レベル)の24冊目として、

イギリスの小説家
アーサー・ランサム
(Arthur Ransome, 1884年1月18日-1967年6月3日)
の海洋冒険小説
『海へ出るつもりじゃなかった
  We Didn't Mean to Go to Sea
を読みました。

著者53歳の時(1937年11月)に出版された作品です


Arthur Ransome
We Didn't Mean to Go to Sea

Retold by Ralph Mowat
〔Oxford Bookworms Stage 4〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1995
14,860語

オックスフォード・ブックワームズの目録で、
偶然出会った1冊です。

全く知らなかったので調べてみると、

イギリスの小説家アーサー・ランサムによる
『ツバメ号とアマゾン号』に始まる12巻のシリーズの中に、
対応する1巻があることに気がつきました。

このシリーズが、
岩波少年文庫から刊行されているのは知っていましたが、
実際手に取ることはありませんでした。

第1巻『ツバメ号とアマゾン号』(1930)から数えて、
第7巻目に当たるのが本作『海へ出るつもりじゃなかった』(1937)で、

第12巻『シロクマ号となぞの鳥』(1947)まで、
17年間続いたシリーズの半ばに位置する作品です。


あらすじをみて、
ヴェルヌの『十五少年漂流記』のような
物語かと想像していたところ、

4人の兄弟姉妹が、
子供たちだけで小さな帆船を操縦し、
イギリスからオランダへと一昼夜かけて
大西洋を横断する物語でした。

無人島でのサバイバルはないものの、
船上の場面などが臨場感ゆたかに描き出されて、
描写に優れた、手に汗握る楽しい冒険小説でした。

子供のころ海の近くに住んで、
この作品に出会っていたなら、
きっと船へのあこがれを強く抱いていたことでしょう。


ただここまで、
海とは全く縁のない生活を送ってきた私にとっては、
帆船についての描写が少し細かすぎて、
かえってついて行けない所もありました。

個人的にはほどほどに楽しめる内容でしたが、
海に憧れる人達にとって、
より特別な意味のあるシリーズでることは理解できました。


翻訳は、岩波少年文庫の
神宮輝夫(じんぐうてるお)を手に入れました。
誰にもよく分かる読みやすい訳文に仕上がっていると思います。


神宮輝夫(じんぐうてるお)訳
『海へ出るつもりじゃなかった(上・下)』
(岩波少年文庫182・183、2013年5月◇308・310頁)

 ※初出は
  『海へ出るつもりじゃなかった』
  (岩波書店〔アーサー・ランサム全集7〕1967年11月◇443頁)


どちらかというと私には、
スパイ活動を行っていたという
アーサー・ランサム氏の別の側面にも興味がわきました。

ランサムの自伝が出ているようなので、
近々手に入れてみようと思います。

スパイ活動について告白しているはずはありませんが、
何も書いていないとしたら、それはそれで興味深いので。


神宮輝夫訳
『アーサー・ランサム自伝』
(白水社、1984年1月◇536頁)
 ※新装版、1999年12月◇523頁


※第211冊目。総計2,292,325語。


にほんブログ村 本ブログ 洋書へ