2019年11月29日金曜日

【216冊目】Ellis Peters, A Morbid Taste for Bones (Oxford Bookworms Stage 4)

やさしい英語の本、通算216冊目は、
オックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1400後レベル)の29冊目として、

イギリスの小説家
エリス・ピーターズEllis Peters, 1913年9月28日-95年10月14日)
が執筆した推理小説
『聖女の遺骨求む A Morbid Taste for Bones
を読みました。

エリス・ピーターズは
彼女が推理小説を発表するときの筆名で、
もともとは本名 イーディス・パージター(Edith Pargeter)で、
歴史小説を発表していました。

著者63歳の時(1977年8月)
一風変わった推理小説「修道士カドフェル」のシリーズ第1作、
『聖女の遺骨求む』を発表する際に、
初めてエリス・ピーターズの筆名が用いられました。

歴史小説のほうは翻訳紹介されていませんが、

修道士カドフェル・シリーズのほうは、
すべて(長編20冊、短編集1冊)翻訳され、
現代教養文庫から1990-96年に刊行されたのち廃刊。
そののち 2003-06年に光文社文庫から復刊されました。


Ellis Peters
A Morbid Taste for Bones

Retold by John Escott
〔Oxford Bookworms Stage 4〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 2002
15,300語

オックスフォード・ブックワームズの目録を眺めているうちに、
ふと気になって手に取った1冊です。

21作ものシリーズで、
すべて翻訳紹介されている本格的な推理小説ということで、
大町健(おおまちけん)氏の翻訳も手に入れて、
読み進めてみました。


大出健(おおいでけん)訳
『聖女の遺骨求む 修道士カドフェル・シリーズ①』
(光文社文庫、2003年3月◇336頁)


大出健(おおいでけん)訳
『聖女の遺骨求む 修道士カドフェル・シリーズ①』
(現代教養文庫 ミステリ・ボックス、1990年11月◇318頁)


現代教養文庫は未見ですが、
光文社文庫のほうは魅力的な装丁に、
活字もきれいで読みやすいです。

主人公のカドフェルは、
「十二世紀イギリスのベネディクト会
 シュルーズベリ大修道院に所属する修道士」であり、
「年齢は五十七、
 十五年かけてつくりあげた修道院附属の薬草園」を自慢とする、
ユニークな人物設定だったので、
イギリス史に不慣れな私には難しいのでは
と心配だったのですが、

よく練られた構成で、
前提となる知識がなくても、
ふつうに読み通せるように仕上げてあって、

久しぶりにシャーロック・ホームズと同じレベルの、
イギリスらしい本格的な推理小説に出会った気がしました。
(※引用は大津波悦子「解説」〔大出健訳『聖女の遺骨求む』光文社文庫、327頁〕による。)


まずは翻訳で、
シリーズのほかの巻にも親しんで、
いずれ原著も読めるようになったら楽しいなと思いました。

私が知らないだけですが、
思わぬ掘り出し物に出会えた気分です。


※第216冊目。総計2,368,275語。


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2019年11月14日木曜日

【215冊目】Jonathan Swift, Gulliver's Travels (Oxford Bookworms Stage 4)

やさしい英語の本、通算215冊目は、
オックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1400後レベル)の28冊目として、

イングランド系アイルランド人の作家
ジョナサン・スウィフト
(Jonathan Swift, 1667年11月30日-1745年10月19日)
の小説『ガリバー旅行記 Gulliver's Travelsを読みました。

著者58歳の時(1726年10月)に出版された作品です


Jonathan Swift
Gulliver's Travels

Retold by Clare West
〔Oxford Bookworms Stage 4〕
(c) Oxford University Press 2000
First published in Oxford Bookworms 1993
15,325語


2013年9月に
ペンギン・リーダーズのレベル2
(600語レベル/計9,681語)、

2018年4月に
JBCパブリッシング・ラダーシリーズのレベル2
(1300語レベル/計15350語)

で読んで以来、3回目の『ガリバー旅行記』となりました。


 ***

子供のころに、
ちゃんと読んだ記憶はないのですが、
いつの間にか、凡そのあらすじは知っていたように思います。

やさしい英語で初めて
ガリバーと向き合ってみると、
今から300年近く前の作品だからか、
そこまで奇想天外な印象は受けず、

翻訳と一緒に読み進めてみると、
だらだらとした冗長な叙述にうんざりして、
それほど面白いとは思えない自分がいました。

それでも英文学史上欠かせない作品だからか、
やさしい英語でも複数のガリバーが見つかるので、
やはり読んでおくべきだろうと
改めて挑戦することにしました。

さすがに3回目ともなると、
大体のあらすじが頭に入っているので、
今回初めて、行間にこぼれ落ちる
スウィフトのひねりの効いた言葉の数々に気がつくことができました。

物語そのものよりも、ガリバーに仮託して、
スウィフトは何を訴えたかったのだろうと考えながら読めば、
もっと興味深く読み進められるような気がしました。


大人の作品として読むのならと、
平井正穂(ひらいまさお)訳の岩波クラシックス版を手に入れまいsた。


平井正穂(ひらいまさお)訳
『ガリヴァー旅行記』
(岩波クラシックス5、1982年6月◇461頁)

 ※初出は岩波文庫(1980年10月◇461頁)。


大人が読む作品として、
節度を保ちながら程々に読みやすく仕上げてあるので、
併読するのに役立ちました。それでも正直なところ、
まだ全編読み通すだけの興味はわいていません。

今後に備えて、
手元に今置いてある翻訳を掲げておきます。
子供向けに読みやすく、しかし全編を扱ったものとしては、坂井晴彦(さかいはるひこ)氏の翻訳がお薦めです。


山田蘭(やまだらん)訳
『ガリバー旅行記』
(角川文庫、2011年3月◇461頁)



坂井晴彦(さかいはるひこ)訳
『ガリヴァー旅行記』
(福音館書店、1988年1月◇586頁)

 ※のちに福音館文庫 (2006年1月◇288・325頁)。



中野好夫(なかのよしお)訳
『ガリヴァ旅行記』
(新潮文庫、1951年7月。72刷改版、1992年5月◇423頁)

『ガリヴァー旅行記 1・2』
(岩波少年文庫、1951年4・5月。改版、1968年4・5月◇276・241頁)

『ガリヴァー旅行記』
(岩波少年文庫、新版、2001年3月◇266頁)
 ※1の再刊。「小人国」「大人国」の2編のみ。


個人的に気になっているのは、
富山太佳夫(とみやまたかお)氏の最新の訳業ですが、
かなり高価なので購入しようか迷っているところです。

まだ少し距離のある作品ですが、
今後も気長に繰り返し再読していきたいと思います。


※第215冊目。総計2,352,975語。


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