2022年10月31日月曜日

【読了】トーベ・ヤンソン作・絵/山室静訳『たのしいムーミン一家(新装版)』(講談社青い鳥文庫)

スウェーデン語系フィンランド人の作家トーベ・ヤンソン(Tove Jansson, 1914年8月9日~2001年6月27日)の小説『たのしいムーミン一家』を、山室静(やまむろしずか 1906年12月~2000年3月)氏の翻訳で読みました。ムーミン・シリーズの第3作目に当たります。

1948年にスウェーデン語で『Trollkarlens Hatt(魔物のぼうし)』と題して出版されました。1950年に英語で『Finn Family Moomintroll(フィンランドの一家ムーミントロール)』と題して刊行(イギリス版)。アメリカでは1952年に『The Happy Moomins(たのしいムーミン一家)』と題して刊行されました。そして1956年にフィンランド語で『Taikurin hattu(魔物のぼうし)』と題して刊行されました。

※以上、ムーミンの公式サイト所載の「Introduction to Moomin Stories: Finn Family Moomintroll, 1948」(2015年11月30日)【https://www.moomin.com/en/blog/introduction-to-moomin-stories-finn-family-moomintroll-1948/#773ec201】、および『たのしいムーミン一家』(講談社文庫、2011年4月)274~283に収録された山室静氏の「1978年4月15日 文庫版への『解説』」を参照しました。


日本では1965年12月に、山室静氏の翻訳で講談社から出版されました。1948年刊行の『Trollkarlens Hatt』からの翻訳です。ムーミン単独の本として日本で最初に刊行された作品で、2015年7月にムーミン出版70周年として復刻版が刊行されました。

山室静訳『たのしいムーミン一家』
(講談社、1965年12月◆278頁)
 ※復刻版、2015年7月◆282頁。

ざっと調べてみると、次のような版が見つかりました。

山室静訳『たのしいムーミン一家』
(講談社文庫、1978年4月◆242頁)

◯山室静訳『たのしいムーミン一家』
 (講談社青い鳥文庫、1980年11月◆261頁)

山室静訳『たのしいムーミン一家』
(講談社〈ムーミン童話全集2〉1990年6月◆278頁)

◯山室静訳『新装版 たのしいムーミン一家』
 (講談社文庫、2011年4月◆288頁)

◯山室静訳『たのしいムーミン一家 新装版』
 (講談社青い鳥文庫、2014年4月◆288頁)

山室静訳『たのしいムーミン一家』
(講談社〈ムーミン全集[新版]2〉2019年6月◆242頁)

◯印のを手に入れ、主に講談社青い鳥文庫(2014)で読み進めました。これが案外おもしろい。1・2作目もそれなりに楽しめましたが、3作目の充実度はそれをはるかに凌いで、世界中で話題になったのも肯ける心地よいお話でした。ごく最近(2019年)刊行されたムーミン全集[新版]では、訳文が大幅に改善されているとのこと、少し間をおいてから改めて挑戦しようと思います。

2022年10月24日月曜日

【読了】トーベ・ヤンソン著/冨原眞弓訳『小さなトロールと大きな洪水(新装版)』(講談社青い鳥文庫)

スウェーデン語系フィンランド人の作家トーベ・ヤンソン(Tove Jansson, 1914年8月9日~2001年6月27日)の小説『小さなトロールと大きな洪水』を、冨原眞弓(とみはらまゆみ。1954年1月‐)氏の翻訳で読みました。ムーミン・シリーズの第1作目に当たります。

本書は1945年にスェーデン語で『Småtrollen och den stora översvämningen(小さなとトロールと大きな洪水)』と題して出版されましたが、219部売れただけですぐに絶版になりました。再刊されたのは45年後の1991年のこと。この時、フィンランド語でも『Muumit ja suuri tuhotulva(ムーミンと大きな洪水)』と題して刊行されました。英語版は2005年に『The Moomins and the Great Flood(ムーミンと大きな洪水)と題して刊行されました。

※以上、ムーミンの公式サイト所載の「Introduction to Moomin Stories: The Moomins and the Great Flood, 1945」(2015年11月16日)【https://www.moomin.com/en/blog/introduction-to-moomin-stories-the-moomins-and-the-great-flood-1945/#773ec201】、および『小さなトロールと大きな洪水』(講談社青い鳥文庫、2011年9月)94~98に収録された富原真弓氏の「1999年2月15日 青い鳥文庫版への『訳者あとがき』」を参照しました。

日本では1992年にムーミン童話全集の別巻として、冨原眞弓氏の翻訳で講談社から出版されました。調べてみると、以下の5種が見つかりました。

冨原眞弓訳『小さなトロールと大きな洪水』
(講談社〈ムーミン童話全集 別巻〉1992年6月◆113頁)

冨原眞弓訳『小さなトロールと大きな洪水』
(講談社青い鳥文庫、1999年2月◆123頁)

◯冨原眞弓訳『小さなトロールと大きな洪水』
 (講談社文庫、2011年9月◆109頁)

◯冨原眞弓訳『小さなトロールと大きな洪水(新装版)』
 (講談社青い鳥文庫、2015年2月◆121頁)

冨原眞弓訳『小さなトロールと大きな洪水』
(講談社〈新版 ムーミン童話全集9〉2020年10月◆109頁)
 ※訳文に大幅な改訂あり。

とりあえず2011年刊行の講談社文庫と、2015年刊行の青い鳥文庫を手に入れました。初めて読むつもりでいたのですが、このブログ上(2013年10月12日)で一度読んでいたことを発見。すっかり忘れていました。9年前はファンタジー系にあまり慣れていなかったころに読んだからか、あまり印象に残らなかったようです。

その後『ナルニア国物語』の読破をきっかけとして、ファンタジーの世界に多少は馴染んできたので、今回は(もう忘れないくらい)印象深く最後まで読み進めることができました。短めなこともありますが、物語の道筋がはっきりしていて、まずまずの面白い作品でした。このまま、第3作『楽しいムーミン一家』に取りかかります。

2022年10月16日日曜日

【読了】トーベ・ヤンソン著/下村隆一訳『ムーミン谷の彗星(新装版)』(講談社青い鳥文庫)

スウェーデン語系フィンランド人の作家トーベ・ヤンソン(Tove Jansson, 1914年8月9日~2001年6月27日)の小説『ムーミン谷の彗星』を、下村隆一(しもむらりゅういち。1928年-1969年11月)氏の翻訳で読みました。ムーミン・シリーズの第2作目に当たります。

本書は1946年にスウェーデン語で『Kometjakten(彗星を追って)』と題して出版されました。1951年には英語版で『Comet in Moominland(ムーミン谷の彗星)』、1955年にはフィンランド語で『Muumipeikko ja pyrstötähti(ムーミン谷の彗星)』と題して出版。その後、1956年にスウェーデン語で第2版が出版される際に『Mumintrollet pa lometjakt(彗星を追うムーミントロール)』、1968年に第3版が出版される際に『Kometen kommer(彗星せまる)』と改題されました。

日本では、1969年1月にトーベ=ヤンソン全集(講談社)の第7巻として初めて紹介されました(下村隆一訳)。こちらは1968年出版の第3版『Kometen kommer(彗星せまる)』からの翻訳となっています。

※以上、ムーミンの公式サイト所載の「Introduction to Moomin Stories: Comet in Moominland, 1964」(2015年11月26日)【https://www.moomin.com/en/blog/introduction-to-moomin-stories-comet-in-moominland-1946/#773ec201】、および内山さつき氏のブログ「『ムーミン谷の彗星』改訂のためにトーベが本に書き込んだメモ」(2021年1月8日)【https://www.moomin.co.jp/news/blogs/79172】、および『新装版 ムーミン谷の彗星』(講談社文庫、2011年4月)241~243頁に収録された下村隆一氏の「1969年1月24日 初版への『解説』」を参照しました。


日本語版は(どれも下村訳ですが)次の7種見つかりました。

下村隆一訳『ムーミン谷の彗星』

(講談社〈トーベ=ヤンソン全集7〉1969年1月◆242頁)

下村隆一訳『ムーミン谷の彗星』

(講談社文庫、1978年10月◆210頁)

下村隆一訳『ムーミン谷の彗星』

(講談社青い鳥文庫、1981年2月◆221頁)

下村隆一訳『ムーミン谷の彗星』

(講談社〈ムーミン童話全集1〉1990年6月◆246頁)※ハードカバー

◯下村隆一訳『新装版 ムーミン谷の彗星』

 (講談社文庫、2011年4月◆256頁)

◯下村隆一訳『ムーミン谷の彗星 新装版』

 (講談社青い鳥文庫、2014年2月◆249頁)

下村隆一訳『ムーミン谷の彗星』

(講談社〈新版 ムーミン童話全集1〉2019年3月◆226頁)※ソフトカバー

今回はとりあえず、2011年刊行の講談社文庫『新装版 ムーミン谷の彗星』と、2014年刊行の講談社青い鳥文庫『ムーミン谷の彗星 新装版』を手に入れました。2つを比較するとほぼ同文ですが、漢字の使い方にわずかな違いがあり、青い鳥文庫(総ルビ)のほうが多めに漢字を使っていました。

青い鳥文庫を読み終えてから、ごく最近、2019年に刊行された〈新版 ムーミン童話全集〉では訳文を大幅に見直し、いっそう読みやすく改訂されていることを知りました。翻訳は新しいほうが読みやすいことが多いので、近々〈新版〉を手に入れようと思っています。ただ〈新装版〉の訳文もそれほど読みにくくはなく、安値で全巻手に入るのが魅力的。なので飽きるまではこのまま青い鳥文庫で読み進めようと思います。

当初はこのまま第3作目『たのしいムーミン一家』に進むつもりでいたのですが、『ムーミン谷の彗星』を読んでいて、登場人物や場面設定について何の説明もないまま、突然話が始まっていくところに違和感がありました。調べてみると、第1作目『小さなトロールと大きな洪水』を読み落としていたこと、そして何とこのブログで9年前に取り上げていたことに気がつきました(2013年10月12日)。しかし記憶からまったく消えているので、再読しようと思います。