スウェーデン語系フィンランド人の作家トーベ・ヤンソン(Tove Jansson, 1914年8月9日~2001年6月27日)の小説『ムーミン谷の彗星』を、下村隆一(しもむらりゅういち。1928年-1969年11月)氏の翻訳で読みました。ムーミン・シリーズの第2作目に当たります。
本書は1946年にスウェーデン語で『Kometjakten(彗星を追って)』と題して出版されました。1951年には英語版で『Comet in Moominland(ムーミン谷の彗星)』、1955年にはフィンランド語で『Muumipeikko ja pyrstötähti(ムーミン谷の彗星)』と題して出版。その後、1956年にスウェーデン語で第2版が出版される際に『Mumintrollet pa lometjakt(彗星を追うムーミントロール)』、1968年に第3版が出版される際に『Kometen kommer(彗星せまる)』と改題されました。
日本では、1969年1月にトーベ=ヤンソン全集(講談社)の第7巻として初めて紹介されました(下村隆一訳)。こちらは1968年出版の第3版『Kometen kommer(彗星せまる)』からの翻訳となっています。
※以上、ムーミンの公式サイト所載の「Introduction to Moomin Stories: Comet in Moominland, 1964」(2015年11月26日)【https://www.moomin.com/en/blog/introduction-to-moomin-stories-comet-in-moominland-1946/#773ec201】、および内山さつき氏のブログ「『ムーミン谷の彗星』改訂のためにトーベが本に書き込んだメモ」(2021年1月8日)【https://www.moomin.co.jp/news/blogs/79172】、および『新装版 ムーミン谷の彗星』(講談社文庫、2011年4月)241~243頁に収録された下村隆一氏の「1969年1月24日 初版への『解説』」を参照しました。
日本語版は(どれも下村訳ですが)次の7種見つかりました。
下村隆一訳『ムーミン谷の彗星』
(講談社〈トーベ=ヤンソン全集7〉1969年1月◆242頁)
下村隆一訳『ムーミン谷の彗星』
(講談社文庫、1978年10月◆210頁)
下村隆一訳『ムーミン谷の彗星』
(講談社青い鳥文庫、1981年2月◆221頁)
下村隆一訳『ムーミン谷の彗星』
(講談社〈ムーミン童話全集1〉1990年6月◆246頁)※ハードカバー
◯下村隆一訳『新装版 ムーミン谷の彗星』
(講談社文庫、2011年4月◆256頁)
◯下村隆一訳『ムーミン谷の彗星 新装版』
(講談社青い鳥文庫、2014年2月◆249頁)
下村隆一訳『ムーミン谷の彗星』
(講談社〈新版 ムーミン童話全集1〉2019年3月◆226頁)※ソフトカバー
今回はとりあえず、2011年刊行の講談社文庫『新装版 ムーミン谷の彗星』と、2014年刊行の講談社青い鳥文庫『ムーミン谷の彗星 新装版』を手に入れました。2つを比較するとほぼ同文ですが、漢字の使い方にわずかな違いがあり、青い鳥文庫(総ルビ)のほうが多めに漢字を使っていました。
青い鳥文庫を読み終えてから、ごく最近、2019年に刊行された〈新版 ムーミン童話全集〉では訳文を大幅に見直し、いっそう読みやすく改訂されていることを知りました。翻訳は新しいほうが読みやすいことが多いので、近々〈新版〉を手に入れようと思っています。ただ〈新装版〉の訳文もそれほど読みにくくはなく、安値で全巻手に入るのが魅力的。なので飽きるまではこのまま青い鳥文庫で読み進めようと思います。
当初はこのまま第3作目『たのしいムーミン一家』に進むつもりでいたのですが、『ムーミン谷の彗星』を読んでいて、登場人物や場面設定について何の説明もないまま、突然話が始まっていくところに違和感がありました。調べてみると、第1作目『小さなトロールと大きな洪水』を読み落としていたこと、そして何とこのブログで9年前に取り上げていたことに気がつきました(2013年10月12日)。しかし記憶からまったく消えているので、再読しようと思います。
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