2025年12月3日水曜日

【暗唱用21-29】『古今和歌集』巻第1 春歌上②

21 〈仁和のみかど、みこにおましましける時に、人に若菜たまひける御歌〉
君がため春の野にいでてわかなつむわが衣手に雪はふりつつ

(※「仁和のみかど」光孝天皇にまします。)


22 〈歌たてまつれと仰せられし時、よみてたてまつれる〉
                       貫之
かすが野のわかなつみにや白妙の袖ふりはへて人の行くらむ


23 〈題しらず
                 在原行平朝臣
春のきる霞の衣ぬきをうすみ山かぜにこそみだるべらなれ


24 〈寛平の御時きさいの宮の歌合によめる〉
                   源宗于朝臣
とき葉なる松のみどりも春くれば今ひとしほの色まさりけり


25 〈歌たてまつれと仰せられし時、よみてたてまつれる〉
                      貫之
わがせこが衣春雨ふるごとに野辺のみどりぞ色まさりける


26
あをやぎのいとよりかくる春しもぞみだれて春のほころびにける


27 〈西の大寺のほとりの柳をよめる〉
               僧正遍昭
浅緑糸よりかけて白露を珠にもぬける春の柳か

(※「西の大寺」にしのおほてら。羅城門の外にあつたが、いまは廃れ、東の大寺は東寺として残つてゐる。)


28 〈題しらず〉 
                      読人しらず
ももちどりさへづる春はものごとにあらたまれども我ぞふりゆく

29
をちこちのたづきもしらぬ山中におぼつかなくも喚子鳥かな



※個人的な暗唱用に。本文のテキストは、西本経一(にししたきょういち)校註『日本古典全書 古今和歌集』(毎日新聞社、1948年9月)による。解釈は今はおもに、久曽神昇(きゅうそじんひたく)全訳注『古今和歌集(一)』(講談社学術文庫、1979年9月)と、小沢正夫(おざわまさお)・松田茂穂(まつだしげほ)校注・訳『完訳 日本の古典9 古今和歌集』(小学館、1983年4月)を参照している。


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