40 〈月夜に梅の花を折りてと人のいひければ、折るとてよめる〉
躬恒
月よにはそれともみえず梅の花かをたづねてぞしるべかりける
41 〈春の夜むめのはなをよめる〉
春の夜のやみはあやなし梅の花色こそみえね香やはかくるる
42 〈はつせに詣づるごとに宿りける人の家に、久しくやどらで
程へてのちにいたれりければ、かの家のあるじ、かくさだか
になむやどりはあるといひいだして侍りければ、そこに
立てりける梅の花を折りてよめる〉
貫之
人はいさ心もしらずふるさとは花ぞ昔のかににほひける
人はいさ心もしらずふるさとは花ぞ昔のかににほひける
43 〈水のほとりにむめの花さけりけるをよめる〉
伊勢
春ごとにながるる河を花とみて折られぬ水に袖やぬれなむ
春ごとにながるる河を花とみて折られぬ水に袖やぬれなむ
44
年をへて花のかがみとなる水はちりかかるをやくもるといふらむ
45 〈家にありける梅の花のちりけるをよめる〉
貫之
くるとあくとめかれぬ物を梅の花いつの人まにうつろひぬらむ
46 〈寛平の御時きさいの宮の歌合のうた〉
読人しらず
むめが香を袖にうつしてとどめてば春はすぐともかたみならまし
47
素性法師
ちるとみてあるべき物を梅の花うたてにほひの袖にとまれる
48 〈題しらず〉
読人しらず
ちりぬともかをだにのこせ梅の花恋しき時の思ひいでにせむ
49 〈人の家に植ゑたりける桜の花、咲きはじめたりけるを見て〉
貫之
貫之
ことしより春しりそむる桜花ちるといふ事はならはざらなむ
※個人的な暗唱用に。本文のテキストは、西本経一(にししたきょういち)校註『日本古典全書 古今和歌集』(毎日新聞社、1948年9月)による。解釈はいろいろ購入しているが、今はおもに、久曽神昇(きゅうそじんひたく)全訳注『古今和歌集(一)』(講談社学術文庫、1979年9月)と、小沢正夫(おざわまさお)・松田茂穂(まつだしげほ)校注・訳『完訳 日本の古典9 古今和歌集』(小学館、1983年4月)を参照している。
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