2013年5月12日日曜日

【読了】トウェイン著 『トム・ソーヤの冒険』(土屋京子 訳)



マーク・トウェイン著/土屋京子 訳
『トム・ソーヤの冒険』(光文社古典新訳文庫、平成24年6月)

ようやく読み終えました。

土屋京子氏の翻訳を選んだのは、
最初の数頁を読んで、波長が合ったことが一番ですが、

「マーク・トウェインの文章は、「ゴシック」なのである。
 比喩や形容詞が大仰で、饒舌。
 場面展開が芝居がかっていて、持って回った表現が多い。
 現代の書き手ならば動詞や形容詞で「ほぐして」書くところを、
 硬質な名詞を多用して示唆的・抽象的に表現する。」

「トウェインの文章は、いわばゴシック建築の大聖堂のように重厚で古めかしい。
 そして、そのゴシック的なところが魅力なのである。」
 (本書536・537頁)

という土屋氏の指摘に興味をもったのも一因です。

そうした文体ゆえか、今回、
全訳に近いものをいくつか手に取ってみましたが、
意外に読みにくいものが多く、

訳者のみなさんの苦労の跡がしのばれました。


文体への相性は人それぞれでしょうが、

ほんの少し堅めの、
しかし独特の魅力のある文章で、

これまでよりも一段深いところで、
『トム・ソーヤ』の世界を楽しめたと思います。

お薦めです。

願わくは続編『ハックルベリー・フィンの冒険』のほうも、
土屋氏の翻訳でぜひ読んでみたいと思っております。


0 件のコメント:

コメントを投稿