吉川英治(明治25年〔1892〕8月-昭和37年〔1962〕9月)が、
43歳の時(1935)から4年の歳月をかけて執筆した
『宮本武蔵』を新潮文庫で読み進めておりますが、
ようやく第6巻を読み終えました。
吉川英治著
『宮本武蔵(六)』
(新潮文庫、平成25年7月)
※全編の初出は
『朝日新聞』昭和10年(1935)8月23日から
昭和14年(1939)7月11日まで。
ここに来て、
多少趣きが変わったというか、
ほとばしる激情をぶつけ、
戦いを至上のものとして生きることへの、
一定の限界を感じたあとに、
人はどのように成熟していけば良いのかを、
試行錯誤していく段階に来たように思いました。
そんな難しいことを、
誰にでもわかりやすい国民文学に昇華させて、
表現することが可能であったことに驚きました。
むしろこの、
人生の後半に向けて、
どのように生き切るべきなのかを描くためにこそ、
吉川氏は「宮本武蔵」を選んだのかもと思いました。
まだあと2冊を残しておりますが、
飽きるよりはむしろ、高まる期待に胸おどらせる
読書の秋を過ごしております。
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