2014年5月17日土曜日

【読了】シェイクスピア著(河合祥一郎訳)『新訳 ハムレット』〔角川文庫〕

先日やさしい英語で読んだのを受けて、
完訳で、

イングランドの劇作家
ウィリアム・シェイクスピア(1564.4-1616.4)の
戯曲『ハムレット』を読みました。

シェイクスピア39歳の時(1603)に初めて出版された作品です。


ウィリアム・シェイクスピア著
河合祥一郎(かわいしょういちろう)訳
『新訳 ハムレット』
(角川文庫、平成15年5月)


『ハムレット』には版の問題があります。
(巻末「訳者あとがき」221・222頁を参照。)

初版本の
1603年の第1クォート版〔Q1:約2,154行〕は、
テクストの乱れがひどく、不完全なものとして、
ふつう底本とされることはありません。

信頼できる版には、
1604年の第2クォート版〔Q2:約3,674行〕と、
1623年のフォリオ版〔F:約3,535行〕の2つがあります。

それまでの翻訳の多くは、
Q2とFの折衷版を底本としてきたのですが、

草稿レベルのQ2に、
シェイクスピアが改訂を加えて上演用のFができた、

という考え方から、

Fを翻訳の底本とし、
Q2固有のセリフは脚注に盛り込む

というスタイルで翻訳されたのが本書です。


本書は、

平成15年(2003)8-9月に行われた、
狂言師 野村萬斎(のむらまんさい 1966.4-)氏が主演する
「ハムレット」公演のために、

河合祥一郎氏が訳した台本をもとに、
公演でカットされた部分を補った上で、

平成15年5月に刊行されたものです。


パッと見、小さめの活字で
読みにくそうだったのですが、

実際に読んでみると、
言葉の感覚に独特の冴えがあって、
読んでいてカッコイイ!と感じる翻訳でした。


公演台本の部分は、
野村萬斎氏が「徹底的に吟味」され、
二人の共同作業によって仕上げられたそうなので、

そうした経緯が、
本書の読みやすさに
影響を与えているように感じました。



最初に『ハムレット』を読んだのは、
安西徹雄(あんざいてつお)氏の翻訳でした。


安西徹雄 訳
『ハムレットQ1』
(光文社古典新訳文庫、平成22年2月)

上記Q1を底本としてある点で、
かなり特色のある翻訳なのですが、

この時はまだQ1どころか、
シェイクスピアといわれても何もわからない状態でしたので、

難なくすらすら読み通せたこと以外、
どんな内容だったのか余り記憶に残っていません。



続いて読んだのは、
福田恆存(ふくだつねあり)氏の翻訳でした。


福田恆存訳
『ハムレット』
(新潮文庫、昭和42年9月。改版、平成22年10月)
 ※初出は『シェイクスピア全集10 ハムレット』(新潮社、昭和34年10月)

日本語のリズムを重視した訳文で、
実際の舞台を観るような雰囲気があって、
まずまず楽しめた記憶があります。

ただし今となっては古めの言い回しが多く、

現在の日本語として
多少の読みにくさを感じさせる訳文だと思います。


ほかに現代の翻訳として、
読みやすさで抜きん出ていたのは、

小田島雄志(おだしまゆうし)氏と
松岡和子(まつおかかずこ)氏のおふたりなのですが、

まだ読み通していません。

もう購入してあるので、
少し時間を置いてから挑戦しようと思っています。

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