日本の英文学者
河合祥一郎(かわいしょういちろう 1960.7-)氏の翻訳で、
イギリスの作家
ルイス・キャロル(1832.1-1898.1)の
『かがみの国のアリス』を読みました。
前作『不思議の国のアリス』の続編で、
前作の出版(1865.11)から6年をへて、
著者39歳の時(1871.12)に出版された作品です。
河合祥一郎訳
『新訳 かがみの国のアリス』
(角川つばさ文庫、2010年8月)
やさしい英語用に、
さっとあら筋をつかめるものを探していたら、
河合祥一郎氏の翻訳に落ちつきました。
今実際に使われている言葉で、
誰にでもわかりやすく翻訳されている点では、
これがベストです。
挿絵の斬新さにも拍手を送りたいです。
大人になってみれば、
初出時のジョン・テニエル氏の挿絵は、
独特の味わいがあっておもしろいのですが、
子供の時は生々しくて不気味に感じ、
アリスを読まない一因になりました。
河合氏には、
ジョン・テニエル氏による旧来の挿絵を用いた
大人向けの訳もあるので、
次に読む機会があればそちらをと思っています。
キャロルの文章は、
どこにも何かしらひねりがあって、
文意のつかみにくいところがあるので、
まずはわかりやすさを重視し、
角川つばさ文庫で読むことをお薦めします。
河合祥一郎訳
『鏡の国のアリス』
(角川文庫、2010年2月)
『不思議の国のアリス』は、
芹生一(せりうはじめ)氏の翻訳で通読したので、
『鏡の国のアリス』も芹生訳でと思ったのですが、
今回はなぜか訳文に古めかしさを感じました。
芹生一訳
『鏡の国のアリス』
(偕成社文庫、1980年11月)
改めて『不思議の国のアリス』のほうも、
河合訳で読み返してみようと思います。
こういうジャンルをナンセンス文学というようですが、
意味をなさないこと、ナンセンスなことに
独特のユーモアを感じる世界というのは、
私にとって新しい笑いの世界なので、
ほかの翻訳も読み返しながら、
気長に楽しんでいきたいと思います。
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