イギリスの作家
アンソニー・ホープ(1863.2-1933.7)の
小説『ゼンダ城の虜(とりこ)』を読みました。
著者31歳の時(1894年)に出版された作品です。
アンソニー・ホープ著
井上勇(いのうえいさむ)訳
『ゼンダ城の虜(とりこ)』
(創元推理文庫、1970年2月)
※初出は『世界大ロマン全集 第43巻 ゼンダ城の虜』(東京創元社、1958年)であるが、抄訳である。創元推理文庫への収録に際し、はじめて全訳された。文庫には、正編『ゼンダ城の虜』に加えて、続編の『ヘンツォ伯爵』(1898)の抄訳も収録されている。
先にやさしい英語で読んでいた『ゼンダ城の虜』、
ようやく翻訳を読み終えました。
調べてみると、
2011年12月に
マクミラン・リーダーズのレベル2(600語レベル)、
2015年1月に
オックスフォード・ブックワームズのステージ3(1,000語レベル)
を読み、次は翻訳をと思って一気に読み上げました。
最初に読んだ時は、
600語レベルで簡単にまとめすぎていたからか、
どこが魅力なのか今一つ理解できなかったのですが、
英米において広く親しまれてきた作品で、
フランスの『三銃士』に似た位置づけの作品であることなどがわかって来ると、
だんだんと興味が深まってきました。
実際読み終えてみると、
よくできた冒険小説のひとつとして、
『三銃士』よりも充実した読後感が得られたと思います。
冒険中での恋愛、失恋の描き方は、
明らかにこちらの方が真に迫っていました。
残念なのは
1970年に井上勇(いのうえいさむ)氏の翻訳が出て以来、
新訳が出ていないことです。
まずまずこなれた訳文で、
むつかしい言葉づかいもなく、
今でもふつうに読める翻訳だと思いますが、
半世紀近く前ではあるので、
感覚的に多少のぎこちなさを感じることも確かです。
娯楽小説なので読みやすさを重視した、
新しい翻訳がそろそろほしいところです。
この話には続編『ヘンツォ伯爵』があるので、
少し時間を置いてから読んでみようと思います。
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