オックスフォード・ブックワームズの
ステージ3(1,000語レベル)の14冊目として、
アメリカ合衆国の女性小説家、
イーディス・ウォートン(1862.1-1937.8)の
中編小説『イーサン・フローム』を読みました。
著者49歳の時(1911)に出版された作品です。
Edith Wharton
Ethan Frome
Retold by Susan Kingsley
〔Oxford Bookworms Stage3〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford ひすBookwarms 1997
10,700語
イーディス・ウォートンについて
まったく知らなかったので、
巻末の「著者について」をまとめておきます。
イーディス・ウォートン(Edith Wharton)は、
1862年にニューヨークの裕福な家庭に生まれた。
旧名はイーディス・ニューボルド・ジョーンズ(Edith Newbold Jones)。
1885年に
エドワード・ウォートン(Edward Wharton)と結婚し、
1907年にフランスに移住する。1913年に離婚するが、
そのままフランスで後半生をおくる。
アメリカ生まれの小説家
ヘンリー・ジェイムズ( Henry James 1843.4-1916.2)とも親交があった。
処女作は
『The Decoration of House 』(1897 ※未邦訳)。
最初の成功作は
『歓楽の家 The house of Mirth 』(1905)。
生涯に40冊以上執筆し、
1920年には
『無垢の時代 The Age of Innocence 』で、
女性初のピューリッツァー賞を受賞。
『イーサン・フローム Ethan Frome 』(1911)は
フランスで執筆されたが、
結婚後、数年をマサチューセッツ州で過ごし、
ニューイングランドの農業について学んだ経験に基づく。
1993年にリーアム・ニーソン主演で映画化もされている。
(邦題『哀愁のメモワール』)
***
表紙をみて、
ふつうの恋愛小説かなと思っていましたが、
楽しく心躍る場面はごくわずかで、
全体に重苦しい雰囲気が立ち込めた
切なく悲しい恋愛小説です。
悲恋も小説としてなら嫌いではないのですが、
厳しい自然にかこまれた
貧乏な田舎にありがちな重苦しい雰囲気が
しっかり描き込まれているので、
憂鬱な気分になって
それほどページが進みませんでした。
後半にかけて、
恋の激情に走り出すにつれて惹きこまれ、
意外な結末へと流れていくので、
全体としてみれば、
結構良くできた作品であるように感じました。
少し時間をおいてから、
また読んでみようと思います。
***
邦訳はいくつか出ているようです。
最新のといっても20年前のですが、
宮本陽吉(みやもとようきち)氏の翻訳を手に入れました。
イーサン・フローム
宮本陽吉訳
「イーサン・フローム」
(宮本陽吉・小沢円・貝瀬知花共訳
『イーサン・フローム』築地出版社、1995年10月所収)
※表題作「イーサン・フローム」の中編1編のほか、
「ジェーンの使命」「二人の前夫」「目」の短編3編を収めてある。
表題作は宮本氏1人の訳。短編3編は宮本・小沢・貝瀬3人の共訳。
ざっとみた限りでは、
ふつうに読める翻訳に仕上がっています。
作品の重苦しい雰囲気を忘れたころに、
こちらの翻訳で読んでみようと思っています。
※通算112冊目。計902,071語。
※Wikipediaの「イーディス・ウォートン」を参照。
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