北海道旭川市出身の女性作家
三浦綾子(1922.4-1999.10)の
小説『氷点』を読みました。
著者43歳の時(1965.11)に出版された作品です。
アマゾンの検索機能で、
聖書入門の手頃なものを探している時に、
三浦綾子氏の作品群に出会いました。
聖書入門のほうは、
今の私には少し距離があるように感じたのですが、
今から50年前の国民的ベストセラーで、
今なお売れ続けている『氷点』という作品に興味がわき、
読んでみることにしました。
多くの日本人にとって
今なお身近なものとは言いがたい
キリスト教の「原罪」をテーマとした小説であるにも関わらず、
国民的な共感を勝ち得たところにも興味をもちました。
三浦綾子著
『氷点(上・下)』
(角川文庫、1982年1月。改版、2012年6月)
※単行本の初出は朝日新聞社、1965年11月。
文庫下巻の解説
(原田洋一氏執筆)を参照すると、
1964年(昭和39年)12月9日から
1965年11月14日まで「朝日新聞」の
朝刊誌上に連載された長編小説で、
1964年7月10日の「朝日新聞朝刊に、
懸賞小説の当選者として三浦綾子氏の
氏名が発表されて一躍脚光を浴びた」とあります(下巻、379頁)。
単行本の出版(1965.11)とほぼ同時に、
テレビドラマ化(1966.1-4)と映画化(1966.3 公開)もされています。
10年程前(2006)にもドラマ化されていたそうですが、
テレビはほとんど観ないので知りませんでした。
***
長編ですが、
曖昧なところのない、
わかりやすい小説でした。
位置づけのはっきりした登場人物が、
ほどよい塩梅で飽きの来ない物語を展開していくので、
ちょうどテレビドラマを観るような雰囲気で、
楽しみながら読み進めることができました。
キリスト教の原罪に、
どの程度深く切り込んでいるのかは、
キリスト教徒でない私にはわかりませんが、
日本人の伝統的な死生観とは
明らかに違った世界を描いているので、
その点、
今読んでも意外なほど新鮮な印象が残りました。
人を愛することのむつかしさ、
愛するがゆえに憎まざるを得なくなる人の性、
わかさゆえの純真さ、
向こう見ずなところ、
瑞々しいまでの勢いを感じ取ることができました。
「ゆるし」をテーマとした続編も、
直ちに読み進めようと思います。
※Wikipediaの「三浦綾子」「氷点」を参照。
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