2015年10月26日月曜日

【読了】Kenneth Grahame, The Wind in the Willows (OBW Stage 3)

やさしい英語の本、通算117冊目は、

再び、オックスフォード・ブックワームズの
ステージ3(1000語レベル)の17冊目として、

スコットランド生まれの小説家
ケネス・グレアム(1859.3-1932.7)の
小説『たのしい川べ ―ヒキガエルの冒険』を読みました。

著者が49歳の時(1908.10)に出版された作品です


Kenneth Grahame
The Wind in the Willows

Retold by Jennifer Bassett
〔Oxford Bookwarms Stage 3〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookwarms 1995
11,540語

自然に包まれた
落ちついた雰囲気の表紙だったので、
大人向けの『徒然草』のような作品かと思っていたのですが、

読んでみてびっくり、

モグラ、ネズミ、カワウソ、
ヒキガエル、アナグマなど、
川辺に住む小動物がたくさん登場する、
子供向けの楽しいお話でした。

知らないのは私だけで、
イギリスの児童文学を取り上げるうえで、
欠かせない作品でした。


はじめはモグラとネズミによる
ほのぼのとしたお話なのですが、

途中から、
キャラの立ったヒキガエルが出てきて、
面白おかしい冒険話が展開していきます。

ケネス・グレアム氏が、
息子アラステア(Alastair)に語り聞かせたお話しにもとづいているそうです。

わが子のために作られたといえば、

ロンドン生まれの作家
アラン・アレクサンダー・ミルン
(Alan Alexander Milne 1882.1-1956.1)の
小説『クマのプーさん』が有名ですが、

プーさんは1926年の出版なので、
ヒキガエルのほうが20年近く早いです。


邦題は一定しておらず、
ざっと調べた限りでは、
「たのしい川べ」(中野好夫訳 1940年)
「ヒキガエルの冒険」(石井桃子訳 1963年)
「たのしい川べ―ヒキガエルの冒険」(石井桃子訳 1963年)
「やなぎに吹く風―ヒキガエルの冒険」(岡松きぬ子訳 1991年)
「川べにそよ風」(岡本浜江訳 1992年)
「川べのゆかいな仲間たち」(鈴木悦夫訳 1993年)
などと訳されています。

直訳なら『やなぎに吹く風』、
意訳なら『ヒキガエルの冒険』、
が一番のように思いますが、

このブログでは、
中野好夫訳を受け継いだ石井桃子訳の邦題
『たのしい川べ―ヒキガエルの冒険』に従いました。


邦訳は完訳だと、
石井桃子(いしいももこ)氏と
岡本浜江(おかもとはまえ)氏のものが見つかりました。


石井桃子訳
『たのしい川べ ―ヒキガエルの冒険― 』
(岩波書店、1963年11月)
 ※初出は英宝社、1950年(原題『ヒキガエルの冒険』)。
 ※のち岩波少年文庫、2002年7月に再録(改題『たのしい川べ』)。


岡本浜江(おかもとはまえ)訳
『川べにそよ風』
(講談社青い鳥文庫、1993年5月。新訂版、1997年11月)
 ※初出の単行本は講談社、1992年6月。

石井氏の訳文には、
多少の古めかしさを感じますが、
最初の取っ付きにくさを越えれば、
かえって味わい深くなりそうです。

新しい岡本訳は、
90年代の子供向けに噛み砕いた表現をしようとして、
今読むとどことなく違和感がありました。

どちらかで読了したら、また報告します。

読んでいるうちに、
新訳が出るなんてこともあるかもしれません。


※通算117冊目。計949,127語。

※Wikipediaの「ケネス・グレアム」「たのしい川べ」を参照。

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