2016年5月15日日曜日

【132冊目】Johann Wyss, The Swiss Family Robinson (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算132冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベル)の3冊目として、

スイスの牧師
ヨハン・ダヴィッド・ウィース
(Johann David Wyss 1743.5-1818.1)の小説
『スイスのロビンソン The Swiss Family Robinsonを読みました。
原著はドイツ語( Der Schweizerische Robinson )です。

イギリスの小説家
ダニエル・デフォー
(Daniel Defoe 1600-1731.4)の有名な小説
『ロビンソン・クルーソー Robinson Crusoe(1719)
を下敷きにした物語としてよく知られています。


Johann Wyss
The Swiss Family Robinson

Retold by Madeleine du Vivier
〔Penguin Readers Level 3〕
First published by Penguin Books 2000
This edition published 2008
13,480語

『スイスのロビンソン』は
著者ヨハン・ダヴィッド・ウィースが、
51-55歳の頃(1794-98)に
自分の子供たちに読み聞かせるために執筆されたもので、
元々は出版を意図していませんでした。

著者69歳の時(1812年)に、
息子の一人ヨハン・ルドルフ・ウィース
(Johann Rudolf Wyss 1782.3-1830.3)が、
父の原稿を編集して出版したのが本書の第1・2巻です。

著者の没後(1818)8年を過ぎた
1826年に第3巻、翌27年に第4巻が、
ルドルフの編集で出版されました。

編者ルドルフの立場からみると、
12-16歳の頃(1794-98)に父から聞いたお話を、
 30歳の時(1812)に第1・2巻、
 44歳の時(1826)に第3巻、
 45歳の時(1827)に第4巻
として編集し出版したことになります。


 ***

本書については、
子どものころ(1981年1-12月)に、
フジテレビ系列の《世界名作劇場》でみた
『家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ』
の原作であることを知ったのが最初でした。

 ※草原ゆうみ編
  『世界名作劇場3 家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ』
  (竹書房文庫、2004年3月)を参照。アニメのノベライズ版。

デフォーの『ロビンソン漂流記』が大好きだったので、
『スイスのロビンソン』も探してみたのですが、
その当時は見つけることができませんでした。

今回やさしい英語で読んでみると、
アニメとは随分違っているのですが、

それなりに似たところもあって、
昔を思い出しつつ、楽しみながら読み進めることができました。

単語はとくに苦労しなかったのですが、
縄ばしごの作り方とか、テントの張り方とか、
様々な場面を具体的に説明するところが、
英語では意味を取りづらくもありました。

それでも眺めているうちに理解できるレベルなので、
ちょうどよい英文読解の練習になりました。


  ***

翻訳は調べてみると、
意外にたくさんありました。

清水暉吉(しみずてるきち)訳
『家族ロビンソン』
(東京朝日新聞社、1940年)
 ※『少年少女世界名作文学全集53』(小学館、1962年10月)に再録。

宇多五郎(うだごろう)訳
『スイスのロビンソン(上・下)』
(岩波文庫、1950-51年)

阿部知二(あべともじ)訳
『家族ロビンソン』
(大日本雄弁会講談社、1952年11月)

白井健三郎(しらいけんざぶろう)訳
「スイスのロビンソン」
(創元社〔世界少年少女文学全集 第2部10 諸国編1〕1957年11月所収)

塩谷太郎(しおやたろう)訳
「スイスのロビンソン」
(講談社〔少年少女世界文学全集24 ドイツ編第7巻〕1959年1月所収)
 ※『少年少女世界名作文学全集10』(講談社、1966年9月)に再録。
 ※『家族ロビンソン漂流記』(少年少女講談社文庫、1981年3月)に再録。

小川超(おがわちょう)訳
『スイスのロビンソン』
(学習研究社〔学研世界名作シリーズ16〕1976年)

1976年の小川超(おがわちょう)訳以来、
もう40年は新訳が出ていません。

古書で高値のついているものも多いので、
そろそろ新訳がほしい時期かもしれません。

個人的には、
まず塩谷太郎(しおやたろう)訳を手に入れました。
今でも十分読めるこなれた訳文で、
ふつうに楽しめましたが、

父親のベッドタイム・ストーリーらしく、
『ロビンソン漂流記』以上に、
嘘っぽく感じる記述がところどころ出て来るので、

大人になって初めて読む場合は、
そこまで感動しないかもしれません。

最近、
岩波文庫の宇多五郎(うだごろう)訳を手に入れてみたところ、
漢字は舊字體ですが、現代仮名遣いで非常に読みやすい訳文に仕上がっていました。

大人向けの完訳としては、
宇多訳で読んだほうが味わい深いかもしれません。


※第132冊目。総計1,132,753語。

※Wikipediaの「ヨハン・ダビット・ウィース」「スイスのロビンソン」の各項目を参照。

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